中国外交部定例記者会見、米国務省定例記者会見:米中で何らかの合意か、北朝鮮のロケット発射に中国は反対 (2017年3月20日)
20日、中国外交部と米国務省の定例記者会見の英文スクリプトがそれぞれのHPに掲載された。
中国外交部の定例記者会見では、やはり朝鮮半島情勢に質問が集中した。報道官は、中国主席や外相と米国務長官のやりとりの詳細には触れることなく、9.19合意が成功裏であったこと、そして王毅提案の正当性について強調した。
米国務長官の訪中期間に北朝鮮が大出力ロケットエンジンの地上噴出実験をしたことのついては、「弾道ミサイル技術を使った発射は安保理決議で禁じられている」と述べた上で、「中国は北朝鮮が関連決議に従うことを望んでいる」と述べ、さらに「中国は、各国が現在の情勢を勘案し、朝鮮半島の緊張を激化させたりお互いが挑発することは自制すべきだと信じている」と述べている。
中国は、北朝鮮のロケット・ミサイル発射には、核実験に比べて比較的寛容であったが、米国が北朝鮮のミサイルを大きな脅威と感じていることからして、今後は北朝鮮のロケット発射にも強く対応すると思われる。ミサイルに対する米国の懸念は、今回の米国務長官の訪中でも中国側に明確に伝えられたはずである。
今回の米国務長官訪中の結果について北朝鮮に伝えたのかについては、「中国は六者会談の当事国とコンタクトしており、王毅提案についても説明してある」と述べた。昨日の記事に書いた、「朝鮮中央通信」に掲載された「北朝鮮外務省回答」でも、北朝鮮はティラーソン訪中を認識していることが確認できる。「北朝鮮外務省回答」は、米国務長官が日韓で「軍事オプション」をちらつかせたことに対抗し、大出力ロケット・エンジンを搭載した衛星ロケットかミサイルを発射するようなことを言っているが、中国の提案をどのように受け入れているのかは分からない。
米国務長官訪中後、米北朝鮮問題担当大使のジョセフ・ユンが中国を訪問し、朝鮮半島問題特別代表の武大偉と会談している。ユンの訪中のタイミングが偶然、国務長官訪中直後になったのか否かは不明ながら、外相レベルで話し合われたことのフォローアップを行っているのであろう。
また、両外相は習近平訪米の準備を始めたとしている。訪米は4月上旬と報じられているが、トランプとの会談では朝鮮半島問題が大きなテーマの一つとなることは間違いない。この時期、北朝鮮では「太陽節」の準備期間となるが、「リョミョン通り」完工のお祝いにとどまらず、大型ロケット・エンジンを搭載したロケットを発射するのか。あるいは、地上噴出実験で実力を見せつけておき、米中首脳が何を言うのか見守るつもりなのか。
Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying's Regular Press Conference on March 20, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1447146.shtml
米国務省定例記者会見でも、朝鮮半島問題に関する質問が多く出された。興味深いのは、ティラーソンが米中関係の理解について、中国の言い方と同じ言い方をしたということに質問が集中していることである。記者会見では、ティラーソンが「非紛争、非対立、相互尊重、ウィン・ウィンの協力 (non-conflict, non-confrontation, mutual respect, and win-win cooperation)」と「言葉対言葉」の発言をしたことに中国に対するメッセージが込められているのかという質問が出された。
この質問に対し報道官は、ティラーソンの訪中は「協力的、生産的、前向きな米中関係」であったとした上で、北朝鮮問題については「今後進展させ、対処し、話し合うべき部分」とした。また報道官は、「北朝鮮問題は最重要課題であったが、現段階において解決策を見出したとは言えない」としている。
記者は中国にとって「言葉対言葉」は大変重要な意味を持つとして、ティラーソンの含意について質問したが、報道官は含意については言及しなかった。
また、ティラーソン訪中期間に、トランプが「(北朝鮮非核化に)中国はほとんど役に立っていない」とツイートしたことが、米中外相会談に影響を与えたのかとの質問に対し、報道官は「与えていない」と答えている。
その他にもティラーソンが日本を「同盟国(allay)」と呼び、韓国を「同伴者(partner)」と呼んだこと、日本外相とは夕食を共にしたが、韓国外相とは夕食を共にしなかったことなどについて質問が出された。報道官は、前者については日韓両国は米国の「同盟国」であり、夕食問題は単なるスケジュールの問題と答えた。
US Department of State, Daily Press Briefing, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2017/03/268530.htm#CHINA4
中国外交部の定例記者会見では、やはり朝鮮半島情勢に質問が集中した。報道官は、中国主席や外相と米国務長官のやりとりの詳細には触れることなく、9.19合意が成功裏であったこと、そして王毅提案の正当性について強調した。
米国務長官の訪中期間に北朝鮮が大出力ロケットエンジンの地上噴出実験をしたことのついては、「弾道ミサイル技術を使った発射は安保理決議で禁じられている」と述べた上で、「中国は北朝鮮が関連決議に従うことを望んでいる」と述べ、さらに「中国は、各国が現在の情勢を勘案し、朝鮮半島の緊張を激化させたりお互いが挑発することは自制すべきだと信じている」と述べている。
中国は、北朝鮮のロケット・ミサイル発射には、核実験に比べて比較的寛容であったが、米国が北朝鮮のミサイルを大きな脅威と感じていることからして、今後は北朝鮮のロケット発射にも強く対応すると思われる。ミサイルに対する米国の懸念は、今回の米国務長官の訪中でも中国側に明確に伝えられたはずである。
今回の米国務長官訪中の結果について北朝鮮に伝えたのかについては、「中国は六者会談の当事国とコンタクトしており、王毅提案についても説明してある」と述べた。昨日の記事に書いた、「朝鮮中央通信」に掲載された「北朝鮮外務省回答」でも、北朝鮮はティラーソン訪中を認識していることが確認できる。「北朝鮮外務省回答」は、米国務長官が日韓で「軍事オプション」をちらつかせたことに対抗し、大出力ロケット・エンジンを搭載した衛星ロケットかミサイルを発射するようなことを言っているが、中国の提案をどのように受け入れているのかは分からない。
米国務長官訪中後、米北朝鮮問題担当大使のジョセフ・ユンが中国を訪問し、朝鮮半島問題特別代表の武大偉と会談している。ユンの訪中のタイミングが偶然、国務長官訪中直後になったのか否かは不明ながら、外相レベルで話し合われたことのフォローアップを行っているのであろう。
また、両外相は習近平訪米の準備を始めたとしている。訪米は4月上旬と報じられているが、トランプとの会談では朝鮮半島問題が大きなテーマの一つとなることは間違いない。この時期、北朝鮮では「太陽節」の準備期間となるが、「リョミョン通り」完工のお祝いにとどまらず、大型ロケット・エンジンを搭載したロケットを発射するのか。あるいは、地上噴出実験で実力を見せつけておき、米中首脳が何を言うのか見守るつもりなのか。
Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying's Regular Press Conference on March 20, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1447146.shtml
米国務省定例記者会見でも、朝鮮半島問題に関する質問が多く出された。興味深いのは、ティラーソンが米中関係の理解について、中国の言い方と同じ言い方をしたということに質問が集中していることである。記者会見では、ティラーソンが「非紛争、非対立、相互尊重、ウィン・ウィンの協力 (non-conflict, non-confrontation, mutual respect, and win-win cooperation)」と「言葉対言葉」の発言をしたことに中国に対するメッセージが込められているのかという質問が出された。
この質問に対し報道官は、ティラーソンの訪中は「協力的、生産的、前向きな米中関係」であったとした上で、北朝鮮問題については「今後進展させ、対処し、話し合うべき部分」とした。また報道官は、「北朝鮮問題は最重要課題であったが、現段階において解決策を見出したとは言えない」としている。
記者は中国にとって「言葉対言葉」は大変重要な意味を持つとして、ティラーソンの含意について質問したが、報道官は含意については言及しなかった。
また、ティラーソン訪中期間に、トランプが「(北朝鮮非核化に)中国はほとんど役に立っていない」とツイートしたことが、米中外相会談に影響を与えたのかとの質問に対し、報道官は「与えていない」と答えている。
その他にもティラーソンが日本を「同盟国(allay)」と呼び、韓国を「同伴者(partner)」と呼んだこと、日本外相とは夕食を共にしたが、韓国外相とは夕食を共にしなかったことなどについて質問が出された。報道官は、前者については日韓両国は米国の「同盟国」であり、夕食問題は単なるスケジュールの問題と答えた。
US Department of State, Daily Press Briefing, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2017/03/268530.htm#CHINA4