中国、北朝鮮からの石炭輸入、停止継続か (2017年3月20日)
米国務長官の中国訪問について、両国が「朝鮮半島の非核化」という点で一致したという以上の詳細が出てきていない。中国外交部の英語版HPの定例記者会見ページも17日以降更新されておらず、米国務長官が中国主席や外相と何を話したのかよく分からない。
久しぶりに、国連安保理関連機関が北朝鮮からの石炭輸入を集計しているページを見た。
2月分は1国(中国と思われる)から申告されており、1232000トンとなっている。1月分と合計すると2673985トンとなり、許容されている総トン数の約36%となる。僅か2ヶ月で1年の3分の1を消化してしまったわけなので、中国が安保理決議を履行するためには、「一時中止」もやむを得ない。金額ベースでは、1月分が126390037ドルとされており、2月分の金額は記されていないが、ほぼ同額とすると252780194ドルとなり、こちらは既に割当額の63%に達している。国際石炭価格が大きく変動しなければ、中国があと1ヶ月120万トン程度の石炭を輸入すると、金額ベースではほぼ許容枠に達してしまうことになる。
北朝鮮に毎月1.3億ドルの石炭輸出で獲得する外貨があったとして、年間で15.6億ドル。安保理の年間割当金額は約4億ドルなので、北朝鮮が石炭輸入出得る外貨はほぼ4分の1になる。単純な計算ではあるが、北朝鮮の人口は約2500万人なので、1人当たりに割り当てられる、石炭輸出による獲得外貨が、62ドルから16ドルに減るということになる。もちろん、問題は、石炭輸出利益が「人民生活」に振り向けられず、その多くが「核・ミサイル開発」に使われたというところにあるのだが。とにかく、人民の生活水準が、4分の1になるようなことだけは、やって欲しくない。
UNSC Subsidiary Organs, Procurement of DPRK coal by Member States, https://www.un.org/sc/suborg/en/sanctions/1718/procurement-of-dprk-coal-by-member-states
過去記事にかいたように、竜口港沖にいた北朝鮮船籍船は1隻を残して北朝鮮に寄港した。一部、南浦沖に停泊している船がいるが、そのほとんどはAISの軌跡が消えている。
竜口港沖の「ムジン3」号。この船は、記憶が正しければ、既に帰港した船よりも後に竜口港にやって来たので、今回の入港許可措置から除外された可能性がある。(以下、北朝鮮船籍船は黄色い丸)

Source: Marine Traffic, 2017/03/20 10JST頃
大規模な石炭取り扱い港である唐山港もワッチしているが、この港については、沖合に停泊している北朝鮮船籍船は依然として入港を許可されていないようでたくさんいる。

Source: Marine Traffic, 2017/03/20 10JST頃
地図上で一番下の陸地から海に向かって船名を確認しておくと、「ヘソン2」、「スプン」、「リョンファ」、一つ上の列が「クムデ」、その次の列が「金剛山2」、「ジンフン9」、「Woory Star」、そして一番上に少し離れているのが「リョンファ3」である。
いずれも北朝鮮から石炭を積んで唐山に来たが、入港を禁じられて沖合に停泊している状態であろう。
唐山港の石炭埠頭。

Source: Google Earth
一方、鉄鉱石を積んだ船については、通常通りに入港しており、下の図にいる「クムジンガン」号のようにかなり奥まった港(丹陽港)にまで入っている。

Source: Marine Traffic, 2017/03/20 1040JST頃
丹陽港は、小規模の鉄鉱石を取り扱う港のように見える。

Source: Google Earth
久しぶりに、国連安保理関連機関が北朝鮮からの石炭輸入を集計しているページを見た。
2月分は1国(中国と思われる)から申告されており、1232000トンとなっている。1月分と合計すると2673985トンとなり、許容されている総トン数の約36%となる。僅か2ヶ月で1年の3分の1を消化してしまったわけなので、中国が安保理決議を履行するためには、「一時中止」もやむを得ない。金額ベースでは、1月分が126390037ドルとされており、2月分の金額は記されていないが、ほぼ同額とすると252780194ドルとなり、こちらは既に割当額の63%に達している。国際石炭価格が大きく変動しなければ、中国があと1ヶ月120万トン程度の石炭を輸入すると、金額ベースではほぼ許容枠に達してしまうことになる。
北朝鮮に毎月1.3億ドルの石炭輸出で獲得する外貨があったとして、年間で15.6億ドル。安保理の年間割当金額は約4億ドルなので、北朝鮮が石炭輸入出得る外貨はほぼ4分の1になる。単純な計算ではあるが、北朝鮮の人口は約2500万人なので、1人当たりに割り当てられる、石炭輸出による獲得外貨が、62ドルから16ドルに減るということになる。もちろん、問題は、石炭輸出利益が「人民生活」に振り向けられず、その多くが「核・ミサイル開発」に使われたというところにあるのだが。とにかく、人民の生活水準が、4分の1になるようなことだけは、やって欲しくない。
UNSC Subsidiary Organs, Procurement of DPRK coal by Member States, https://www.un.org/sc/suborg/en/sanctions/1718/procurement-of-dprk-coal-by-member-states
過去記事にかいたように、竜口港沖にいた北朝鮮船籍船は1隻を残して北朝鮮に寄港した。一部、南浦沖に停泊している船がいるが、そのほとんどはAISの軌跡が消えている。
竜口港沖の「ムジン3」号。この船は、記憶が正しければ、既に帰港した船よりも後に竜口港にやって来たので、今回の入港許可措置から除外された可能性がある。(以下、北朝鮮船籍船は黄色い丸)

Source: Marine Traffic, 2017/03/20 10JST頃
大規模な石炭取り扱い港である唐山港もワッチしているが、この港については、沖合に停泊している北朝鮮船籍船は依然として入港を許可されていないようでたくさんいる。

Source: Marine Traffic, 2017/03/20 10JST頃
地図上で一番下の陸地から海に向かって船名を確認しておくと、「ヘソン2」、「スプン」、「リョンファ」、一つ上の列が「クムデ」、その次の列が「金剛山2」、「ジンフン9」、「Woory Star」、そして一番上に少し離れているのが「リョンファ3」である。
いずれも北朝鮮から石炭を積んで唐山に来たが、入港を禁じられて沖合に停泊している状態であろう。
唐山港の石炭埠頭。

Source: Google Earth
一方、鉄鉱石を積んだ船については、通常通りに入港しており、下の図にいる「クムジンガン」号のようにかなり奥まった港(丹陽港)にまで入っている。

Source: Marine Traffic, 2017/03/20 1040JST頃
丹陽港は、小規模の鉄鉱石を取り扱う港のように見える。

Source: Google Earth