「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話:核実験計画はない」(2012年6月9日 「朝鮮中央通信」)
「朝鮮中央通信」は、北朝鮮外務省が、韓国の李明博政権が北朝鮮の朝鮮少年団創設66周年関連行事を非難していることに対する非難声明を出したと報じた。
非難声明自体は、これまで繰り返させている李明博政権批判の繰り返しが大部分であるが、記録しておべき文章が含まれている。それは、
「我々をわざわざ刺激し、現在、計画もしていない核実験やヨンピョン島砲撃事件のような強行対応措置を発生させて、まるで我々が『好戦的』かのように見せて、我々と周辺国間の関係を緊張させ、反共和国国際制裁圧迫の雰囲気を造り出そうということなのであろうか」
と、核実験や韓国に対する軍事行動計画の存在を否定している。また、
「逆賊一味が、これ以上暴れないよう、静かに引き下がれるようにすることは、地域の平和と安定を願う全ての国の利害関係にも符合する道である」、「もし、南朝鮮を自分たちの利害関係目的に少しでも利用するために、逆賊一味の危険で無謀な挑発策動を続けてそそのかし、目をつぶる周辺国があるとすれば、その結果に対する責任から絶対に免れることはできないであろう」
と威嚇しているが、「李明博逆賊一味」を北朝鮮による「聖戦」のような実力行使で処断するのではなく、国際社会がこれ以上「自らの利益のために」韓国を利用せず、「静かに引き下が」れるようにすれば良いということであろう。
北朝鮮が、このタイミングでこのような宣言をしたのは、4月から6月にかけての一連の行事が一段落し、「2.29合意」に立ち返るための米国との交渉を再開したいという考えがあるのではないだろうか。もちろん、その背景には金正恩訪中に向けた素地作りや異常気象による農業生産減少に対応するための食料・栄養援助をできるだけ早い時期に得られるようにしておきたいという事情もあろう。
<追記:2012年6月13日>
この報道に対して、米国務省報道官は6月11日の定例記者会見で「我々は、北朝鮮の言動ではなくて行動で判断する。彼らがよいことを言っているのはよいことである。しかし、我々は北朝鮮に対し国際的義務を履行し、周辺諸国に対する言葉での挑発も含む挑発をやめることを求めていく」とし、「2.29合意」については「北朝鮮は、国連が課した義務と2005年の会談(6者会談)で課された義務に拘束されている。したがって、2.29合意は、北朝鮮がした約束を再確認し、国際的義務を段階的に履行しながらそうした義務を果たすための試みである。北朝鮮は、1週間でそれを反故にすることを選んだ。しかし、基本的な問題は変わっておらず、米国は北朝鮮が国際的義務を果たすことに期待している」と述べている。
米国の認識は、「2.29合意」は2005年9月19日の6者会談における合意を「段階的に」履行するための措置ということのようである。2.29もそうであるが、9.19も双務的であり「行動に対して行動」という原則が貫かれている。米国の認識としては、これまで「先に行動に出て裏切られた」ということがあるだろうし、また、大統領選挙を前にしたタイミングで敢えてそうしたリスクはおかしたくないということであろう。
報道官は、「米朝接触はない(ようだ)」としているが、何らかの動きに出なければ、事態の進展は見られないであろう。北朝鮮が言っている「よいこと」を米国がどう評価するかである。
"Victoria Nuland
Spokesperson
Daily Press Briefing
Washington, DC
June 11, 2012";
http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/06/192080.htm#NORTHKOREA
非難声明自体は、これまで繰り返させている李明博政権批判の繰り返しが大部分であるが、記録しておべき文章が含まれている。それは、
「我々をわざわざ刺激し、現在、計画もしていない核実験やヨンピョン島砲撃事件のような強行対応措置を発生させて、まるで我々が『好戦的』かのように見せて、我々と周辺国間の関係を緊張させ、反共和国国際制裁圧迫の雰囲気を造り出そうということなのであろうか」
と、核実験や韓国に対する軍事行動計画の存在を否定している。また、
「逆賊一味が、これ以上暴れないよう、静かに引き下がれるようにすることは、地域の平和と安定を願う全ての国の利害関係にも符合する道である」、「もし、南朝鮮を自分たちの利害関係目的に少しでも利用するために、逆賊一味の危険で無謀な挑発策動を続けてそそのかし、目をつぶる周辺国があるとすれば、その結果に対する責任から絶対に免れることはできないであろう」
と威嚇しているが、「李明博逆賊一味」を北朝鮮による「聖戦」のような実力行使で処断するのではなく、国際社会がこれ以上「自らの利益のために」韓国を利用せず、「静かに引き下が」れるようにすれば良いということであろう。
北朝鮮が、このタイミングでこのような宣言をしたのは、4月から6月にかけての一連の行事が一段落し、「2.29合意」に立ち返るための米国との交渉を再開したいという考えがあるのではないだろうか。もちろん、その背景には金正恩訪中に向けた素地作りや異常気象による農業生産減少に対応するための食料・栄養援助をできるだけ早い時期に得られるようにしておきたいという事情もあろう。
<追記:2012年6月13日>
この報道に対して、米国務省報道官は6月11日の定例記者会見で「我々は、北朝鮮の言動ではなくて行動で判断する。彼らがよいことを言っているのはよいことである。しかし、我々は北朝鮮に対し国際的義務を履行し、周辺諸国に対する言葉での挑発も含む挑発をやめることを求めていく」とし、「2.29合意」については「北朝鮮は、国連が課した義務と2005年の会談(6者会談)で課された義務に拘束されている。したがって、2.29合意は、北朝鮮がした約束を再確認し、国際的義務を段階的に履行しながらそうした義務を果たすための試みである。北朝鮮は、1週間でそれを反故にすることを選んだ。しかし、基本的な問題は変わっておらず、米国は北朝鮮が国際的義務を果たすことに期待している」と述べている。
米国の認識は、「2.29合意」は2005年9月19日の6者会談における合意を「段階的に」履行するための措置ということのようである。2.29もそうであるが、9.19も双務的であり「行動に対して行動」という原則が貫かれている。米国の認識としては、これまで「先に行動に出て裏切られた」ということがあるだろうし、また、大統領選挙を前にしたタイミングで敢えてそうしたリスクはおかしたくないということであろう。
報道官は、「米朝接触はない(ようだ)」としているが、何らかの動きに出なければ、事態の進展は見られないであろう。北朝鮮が言っている「よいこと」を米国がどう評価するかである。
"Victoria Nuland
Spokesperson
Daily Press Briefing
Washington, DC
June 11, 2012";
http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/06/192080.htm#NORTHKOREA