「米キング特使:ミャンマーの改革は北朝鮮が見習うべき偉大な改革である」(2012年6月8日 「The Washington Post」
米国のキング人権問題担当特使の記者会見での発言をThe Washington PostがAPを引用しながら紹介している。
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/us-special-envoy-myanmars-reforms-are-a-great-example-for-north-korea-to-follow/2012/06/08/gJQAoAL4MV_story.html
同特使は、昨日の日本における日本外交当局者との協議に続き、今頃はソウルで韓国外交当局者と打ち合わせをしているはずである。
同特使は、北朝鮮に対する食料援助の可能性について、ロケットの発射が「現状において、食料援助を可能性の外に追いやってしまった」とし、「今後、検討する可能性はあるものの、現状では考えていない」としている。これは、米国務省が示してきた態度と一致する。しかし、ロケット発射を直接的な援助中断の原因としながらも、「米国が憂慮しているのは、平壌が援助を最も必要としている人々に物資が届けられているんかどうかについて、米国が監視することを許すかどうかである」とし、「約束」を破った平壌がモニタリングについても「約束」を破るのではないかという憂慮を示している。ただし、ロケットを発射したから絶対に駄目だと言っているのではなく、「約束」を守れるのであれば援助を考慮するという含意もあるように思われる。米国は、人道援助と政治は切り離すとしてきたので、本来であればロケット発射と関係なく栄養不足の朝鮮人民に援助を始めるべきであろう。それが、「援助をしても必要な人々に届けられるかどうか分からないのでしない」、そしてその責任は米国にではなく北朝鮮にあるというのは、ロジックとしては一応成立するが、実は、人道援助と政治が切り離されていないことの証左でもある。オバマさんは、大統領選挙を控え、「2.29合意」での手痛い失敗を繰り返したくないのであろう。
また、キングさんは「北朝鮮の干ばつのニュースは見たが、先週、大雨が降ったというリポートもあるので、干ばつもある程度緩和されたであろう」とも述べている。そして、「米国は北朝鮮の食料状況についての全般的なアセスメントは持っていないが、昨年と同程度であろう」と予測している。なぜ「同程度」なのかは分からないが、別記事にも書いたように、干ばつと集中豪雨は北朝鮮のように河川や農地といった農業基盤が脆弱な国には大きな被害をもたらすことは間違いない。
記事のタイトルにもあるように、キングさんは北朝鮮に対し「ビルマ」の改革を「肯定的なもの」として捉え、自らもそれを進めるようにと述べ、その「肯定的なもの」としてIAEAによる核査察を挙げている。実に、IAEAによる核査察は「2.29合意」に含まれており、北朝鮮も前向きに取り組んでいた事項である。続けてキングさんは、「そうすれば、何か他の方向に向けての肯定的な動きが、ビルマで見られたようにあると思う」と述べているが、「2.29合意」に立ち返ればそうした流れができるということであれば、米朝共に是非、そういう方向に向けて努力してもらいたいものである。
中国もIAEAの理事会で米朝に対して「2.29合意」に立ち返るよう促したという報道があるが、朝鮮半島の安定という中国の国益がこうした動きの背景にあるにせよ、当面進むべき方向はそれしかないのだから、米朝間の仲裁者としての役割を十分に担ってもらいたい。
「聯合ニュース」:「2月の米朝合意 中国高官が履行努力促す」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120606-00000020-yonh-kr
北朝鮮にとってミャンマーの改革は一つの参考にはなろうが、「南ミャンマー」が存在しないミャンマーと「韓国」が存在する北朝鮮、冷戦とはほぼ無関係のミャンマーと冷戦の残滓である朝鮮半島などという点で、「同じように」というわけにはいかないであろう。
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/us-special-envoy-myanmars-reforms-are-a-great-example-for-north-korea-to-follow/2012/06/08/gJQAoAL4MV_story.html
同特使は、昨日の日本における日本外交当局者との協議に続き、今頃はソウルで韓国外交当局者と打ち合わせをしているはずである。
同特使は、北朝鮮に対する食料援助の可能性について、ロケットの発射が「現状において、食料援助を可能性の外に追いやってしまった」とし、「今後、検討する可能性はあるものの、現状では考えていない」としている。これは、米国務省が示してきた態度と一致する。しかし、ロケット発射を直接的な援助中断の原因としながらも、「米国が憂慮しているのは、平壌が援助を最も必要としている人々に物資が届けられているんかどうかについて、米国が監視することを許すかどうかである」とし、「約束」を破った平壌がモニタリングについても「約束」を破るのではないかという憂慮を示している。ただし、ロケットを発射したから絶対に駄目だと言っているのではなく、「約束」を守れるのであれば援助を考慮するという含意もあるように思われる。米国は、人道援助と政治は切り離すとしてきたので、本来であればロケット発射と関係なく栄養不足の朝鮮人民に援助を始めるべきであろう。それが、「援助をしても必要な人々に届けられるかどうか分からないのでしない」、そしてその責任は米国にではなく北朝鮮にあるというのは、ロジックとしては一応成立するが、実は、人道援助と政治が切り離されていないことの証左でもある。オバマさんは、大統領選挙を控え、「2.29合意」での手痛い失敗を繰り返したくないのであろう。
また、キングさんは「北朝鮮の干ばつのニュースは見たが、先週、大雨が降ったというリポートもあるので、干ばつもある程度緩和されたであろう」とも述べている。そして、「米国は北朝鮮の食料状況についての全般的なアセスメントは持っていないが、昨年と同程度であろう」と予測している。なぜ「同程度」なのかは分からないが、別記事にも書いたように、干ばつと集中豪雨は北朝鮮のように河川や農地といった農業基盤が脆弱な国には大きな被害をもたらすことは間違いない。
記事のタイトルにもあるように、キングさんは北朝鮮に対し「ビルマ」の改革を「肯定的なもの」として捉え、自らもそれを進めるようにと述べ、その「肯定的なもの」としてIAEAによる核査察を挙げている。実に、IAEAによる核査察は「2.29合意」に含まれており、北朝鮮も前向きに取り組んでいた事項である。続けてキングさんは、「そうすれば、何か他の方向に向けての肯定的な動きが、ビルマで見られたようにあると思う」と述べているが、「2.29合意」に立ち返ればそうした流れができるということであれば、米朝共に是非、そういう方向に向けて努力してもらいたいものである。
中国もIAEAの理事会で米朝に対して「2.29合意」に立ち返るよう促したという報道があるが、朝鮮半島の安定という中国の国益がこうした動きの背景にあるにせよ、当面進むべき方向はそれしかないのだから、米朝間の仲裁者としての役割を十分に担ってもらいたい。
「聯合ニュース」:「2月の米朝合意 中国高官が履行努力促す」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120606-00000020-yonh-kr
北朝鮮にとってミャンマーの改革は一つの参考にはなろうが、「南ミャンマー」が存在しないミャンマーと「韓国」が存在する北朝鮮、冷戦とはほぼ無関係のミャンマーと冷戦の残滓である朝鮮半島などという点で、「同じように」というわけにはいかないであろう。