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    「マレイシア首相、北朝鮮国民マレイシアから出国禁止」 (2017年3月7日 「The Star」)

    「朝鮮中央通信」では、依然として北朝鮮外務省による「マレイシア国民の出国禁止措置」の記事は読むことができていない。掲載して直ぐに消したのか、今までにこのようなことはなかったので、理由はよく分からない。2つ以上の端末を使い、別々のネットワークで見ているので、ネットワーク環境の問題だとは思えないのであるが不思議である。

    ともあれ、マレイシア首相がこの問題について言及していることからすれば、誤報などということはありえない。7日、マレイシアのナジブ首相がこの問題に言及し、マレイシアも対抗措置として北朝鮮国民のマレイシアからの出国を禁止するよう警察当局に命じたととThe Starが報じた。

    The Star, PM Najib to N. Korea: Release our people, Read more at http://www.thestar.com.my/news/nation/2017/03/07/pm-najib-to-north-korea-release-our-people/#h4gzxlfZOiGCt6uo.99

    前の報道では、「北朝鮮大使館員」とされていたが、北朝鮮に対する報復として北朝鮮国民全てに措置を拡大したようだ。マレイシアには大使館員とWFP職員合わせて11人のマレイシア人しかいないが、マレイシアには1000人以上の北朝鮮人がいるとされている。

    今回の北朝鮮とマレイシアの関係悪化の原因は、100パーセント北朝鮮に非がある。米国や韓国との関係では、北朝鮮の主張にも耳を傾ける私であるが、今回はその余地が全くない。

    マカオでは中国との関係で殺害できない金正男をマレイシアで殺害したところまではよいとしよう(殺人行為をよしとしているわけではなく、北朝鮮の目的達成という観点からである)。現時点では、金正男事件で逮捕されているのは、北朝鮮からすれば外国人の女2人だけであり、マレイシアが容疑者とする4人は出国済み、2等書記官と高麗航空職員は大使館にいるものと思われるが、高麗航空職員ですら、有罪と決まったわけではない(有罪になった際の言い訳は、過去記事に書いた)。そして、逃走中とされる2人については、恐らく、今後も逮捕されることはないであろう。

    カン・チョル元北朝鮮大使が追放されたのは、マレイシア当局の捜査を批判したからであるが、それすらマレイシア当局は、批判について謝罪をすれば容赦するという寛容な態度を示していた。結局、それさえ北朝鮮は受け入れずに国外追放された。謝罪の仕方も色々あったはずで、北朝鮮の顔をできるだけ潰さず、マレイシアの名誉を回復するような外交的レトリックも北朝鮮から派遣された使節団も交えて検討できたはずである。

    大使追放の後は、外交関係断絶に向けた話し合いが始まるものと思っていたが、北朝鮮が大使館員と国際機関職員の出国禁止措置を発動した。この行為は、事実上、人質を確保したのと同じであり、米国に言われるまでもなく「rouge state」(ならず者国家)のやることである。

    マレイシアは、この際、北朝鮮と断交し、逮捕状が出ている容疑者以外の北朝鮮人は、期限を設けて国外追放とするのが適切であろう。人道的には、本人の意思でマレイシアに留めることもできようが、そうすれば北朝鮮は韓国の介入を云々し、北朝鮮人が最終的に韓国に渡ることになれば、また難癖を付けてくるであろう。

    今回の出鱈目な振る舞いは、北朝鮮と比較的良好な関係を築いてきたASEAN諸国にも計り知れない影響を与えているはずである。結果として殺人という非人道的行為を行ってしまったが、そうしたことに自国民の若い女性を巻き込んだ北朝鮮に対し、インドネシアもベトナムも静観はしているが、内心穏やかではないはずである。

    <追記>
    「朝鮮中央通信」でやっと確認できた。

    ***************

    朝鮮民主主義人民共和港外務省儀礼局は、7日、当該機関の要請により、マレイシアで発生した事件が公正に解決され、マレイシアにいる朝鮮民主主義人民共和国外交官と公民の安全保証が完全になされるまで、朝鮮域内にいるマレイシア公民の出国を臨時に許可できないということを、駐朝マレイシア大使館に通報しながら、朝鮮駐在マレイシア大使館とマレイシア外務省が、両国の関係を大切にし、発展させていこうという善意の立場から今回の事件を迅速に公正に解決していくことを希望した。

    この期間、朝鮮駐在マレイシア大使館の外交官と公民は、以前のような条件と環境の中で正常に事業し、生活することとなる。
    조선민주주의인민공화국 외무성 의례국은 7일 해당 기관의 요청에 따라 말레이시아에서 일어난 사건이 공정하게 해결되여 말레이시아에 있는 조선민주주의인민공화국 외교관들과 공민들의 안전담보가 완전하게 이루어질 때까지 조선 경내에 있는 말레이시아공민들의 출국을 림시 허용할수 없다는것을 주조 말레이시아대사관에 통보하면서 조선주재 말레이시아대사관과 말레이시아외무성이 쌍무관계를 귀중히 여기고 발전시켜나가려는 선의의 립장에서 이번 사건을 조속히 공정하게 해결하기를 희망하였다.
    이 기간 조선주재 말레이시아대사관 외교관들과 공민들은 이전과 같은 조건과 환경속에서 정상적으로 사업하고 생활하게 될것이다.(끝)
    ****************

    「マレイシア外交官と公民の安全」は、そもそも通常の国レベル以上にマレイシアでは「保証」されていた。「金チョル公民」の安全を害したのは、マレイシアでもなく、マレイシアの責任でもない。「公正に解決」するのは、国際基準に則した「公正さ」であり、誰それが主張する「公正さ」ではない。さらにいえば、この「公正さ」に「米帝の傲慢さ」など介入する余地もない。「地球観測衛星発射」の話ではないのだから。

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    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
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