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    「50年ぶりの干ばつ現象」(2012年5月25日「朝鮮中央通信」)

    昨日書いた記事の続報が「朝鮮中央通信」に出ていた。

    それによると、こうした干ばつは50年ぶりということで、「4月26日から現在まで、西海岸地方で、30日間ほとんど雨が降らなかった」としている。そして降雨量は「平壌2mm、海州市5mm、平城市4mm、新義州市1mm、沙里院市0mmであり、克服できないほど少ない」と報じている。そして、「1日平均蒸発量は4~8mmで、土壌湿度は60%と非常に低い状態である」としている。

    また、「今月末まで雨が降らなければ、西海岸の大部分の地域の5月の降雨量が1962年以来、最も少なくなり、土壌湿度は55%程度と干ばつはさらに深刻になる」と予想している。

    「今、干ばつを克服するための事業が全群衆的運動として展開されている」としているが、雨だけは動員だけではどうにもならないということは明白である。

    食料不足が深刻になることを予想してか、「帝国主義の食料支配戦略を覚醒しよう」という記事を同じく「朝鮮中央通信」が配信している。非常に長い記事であるが、結局、米国を中心とした「帝国主義勢力」が食料市場を独占し、価格操作などを通じて食料価格を引き上げ、さらに開発途上国において農産物を収奪しており、その結果としてアフリカなどで深刻な食料危機が発生したという内容である。斜め読みしただけであるが、北朝鮮の苦難の行軍については直接的に触れられていない。しかし、予想される干ばつによるさらに深刻な食料不足の一因が、あたかも「帝国主義勢力」によるものであるというインプリケーションを持つ。

    そして「他人の米で腹を膨らますことはできないということだ」と結論づけ、その方法としては「ただ自給自足することにある」とし、「共同の努力で帝国主義者の挑戦に立ち向かうことが」必要であるとしている。実に、北朝鮮が採用してきた「自主・自立」の精神を正当化しようとする主張であるが、こんな主張でいつまで朝鮮人民を騙し続けるつもりであろうか。

    90年代の苦難の行軍では、朝鮮人民は飢餓で黙って死んでいった。しかし、2回目はそうは行かないのではないだろうか。金正日さんは、苦難の行軍の時代、陰に隠れて、亡くなった金日成さんを正面に立ててしのいだ。だから、朝鮮人民も偉大な首領様のために黙って死んでいったのであろう。ただ、今度は事情が違う。金正恩さんが正面に立っている。いくら、金日成さんのコピーをしても、限界がある。

    金正恩政権は、事態ををきちんと認識し、再び朝鮮人民を餓死させるような最悪の状況を招来させてはならない。「アラブの春」はIT技術により到来した。北朝鮮ではそれはないというのが私の主張であるが、「2度目の飢餓」はアラブの春よりも強力に、そして悲惨に北朝鮮の体制を崩壊させる可能性をはらんでいる。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
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