「北部被害戦闘復旧戦闘場からのニュース」:川沿いの道路は長持ちしなさそう、鉄道橋の復旧はまだ、オンソン郡の被害、船名にボカシ、「人民の声放送」、「元帥様」が「注射器工場」を「現地指導」するも (2016年9月24日 「朝鮮中央TV」)
24日、「朝鮮中央TV」で、咸鏡北道被災地の様子を伝える番組が放送された。多くの映像は既報のものであるが、拙ブログでの扱いでは、復旧された川沿いの道路、破壊された鉄道橋、オソン郡の被害状況などが新しいだろうか。
他地域に向かう軍人建設者の支援で川沿いの道路が復旧し、トラックが走っている。災害復旧のための仮設道路ということならばよいが、このような作りでは、洪水が発生しなくても水流による侵食で長持ちしそうにない。
番組では触れられていないが、鉄道の橋桁が流されて線路がぶら下がっている場面も出る。北朝鮮では、特に物流を鉄道輸送に大きく依存している(はず)なので、こうした橋の復旧も急がなければならないわけだが、当面は、住宅建設に集中しているようである。
その住宅建設現場として、オソン郡が紹介されている。映像を見ると、5階建てぐらいの住宅が2棟残っているだけで、周囲の平屋住宅は全て流されている。そこを整地しながら、新たな住宅建設に住民や建設軍人が取り組んでいる様子が伝えられている。当面、住民はどこに避難しているかなどについては、例によって一切触れられていないが、青いテントのようなものも写っている。
日本語字幕付き。
Source: KCTV, 2016/09/24
一方、同日の「20時報道」では、ウォンサン港からのセメント積み出し作業が伝えられた。クレーンでセメントを積み込んでいる様子が見られるが、船名にボカシが入れてある。
黒い文字が上に3文字、下に数文字書かれている。この映像からは判読不能。

Source: KCTV, 2015/09/24
ところが、文字の部分が大きく映る映像では、ボカシが入っている。船名を隠しているのか、船体に書かれたスローガンを隠しているのかは分からないが、文字の並びからして、上の3文字が船名、下の数文字がスローガンか海運会社名であろう。朝鮮文字よりも画数が多いようにも見えるので、漢字なのかもしれない。だとすると、これは中国の船舶か、北朝鮮が中国から購入したばかりで中国の船舶名などがそのまま残されているものということだと思う。煙突が写っていれば、北朝鮮の国旗が描かれているかどうかである程度判断できるが、その場面は出ない。クレーンの動きからや空の船倉からすると、セメントを積み込んでいるように見えるが、中国から送られてきたセメントを降ろしている可能性もある。

Source: KCTV, 2016/09/24
24日夜、「人民の声放送」を聞いていた。同放送は、韓国での報道や噂を誇張・脚色して伝えているのだと思うが、今回の水害について「金正恩世襲一味による人災」と言っていた。その報道では、上流のダムを放水する必要が生じ、「被害地域の住民に事前に告知することもなく放水したので被害が大きくなった」、挙げ句の果てには、毎年北朝鮮で発生する水害は、「世襲一味」による「計画的殺人」とさえ言っていた。
日本のように、河岸整備が比較的しっかりと行われている国でさえ、集中豪雨による水害はしばしば発生しているので、河岸整備がほとんど行われていない北朝鮮では、日本以上に大雨に脆弱であることは間違いない。「核・ミサイルに使う金があるなら、河岸整備に金を使え」という話はあり得るが、日本ですら国防整備に使う金を全て社会福祉事業や国土整備事業に振り向けるわけにはいかないので、「常態的に米帝の核威嚇を受けている」北朝鮮としては、そうもいかないのであろう。「人民の声放送」は、「水害が起こっている最中、莫大な金を使って核弾頭爆発実験を実施した」とも非難していたが、「莫大な金を使って核弾頭爆発実験」の準備が終わったところで、運悪く水害が発生してしまったという順であろう。
「元帥様」昨日の報道では、白衣を着て「大同江注射器工場」を「現地指導」していた。被災地では衛生状態の悪化による病気も発生しているという国際機関関係者の声を伝える報道もあるので、「大同江注射器工場」で生産された注射器は、被災地でも必要となるのであろうが、「現地指導」で「元帥様」は「被災地に医薬品と共に送れ」などという指示はしていない。

Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 대동강주사기공장을 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-09-24-0001_photo
他地域に向かう軍人建設者の支援で川沿いの道路が復旧し、トラックが走っている。災害復旧のための仮設道路ということならばよいが、このような作りでは、洪水が発生しなくても水流による侵食で長持ちしそうにない。
番組では触れられていないが、鉄道の橋桁が流されて線路がぶら下がっている場面も出る。北朝鮮では、特に物流を鉄道輸送に大きく依存している(はず)なので、こうした橋の復旧も急がなければならないわけだが、当面は、住宅建設に集中しているようである。
その住宅建設現場として、オソン郡が紹介されている。映像を見ると、5階建てぐらいの住宅が2棟残っているだけで、周囲の平屋住宅は全て流されている。そこを整地しながら、新たな住宅建設に住民や建設軍人が取り組んでいる様子が伝えられている。当面、住民はどこに避難しているかなどについては、例によって一切触れられていないが、青いテントのようなものも写っている。
日本語字幕付き。
Source: KCTV, 2016/09/24
一方、同日の「20時報道」では、ウォンサン港からのセメント積み出し作業が伝えられた。クレーンでセメントを積み込んでいる様子が見られるが、船名にボカシが入れてある。
黒い文字が上に3文字、下に数文字書かれている。この映像からは判読不能。

Source: KCTV, 2015/09/24
ところが、文字の部分が大きく映る映像では、ボカシが入っている。船名を隠しているのか、船体に書かれたスローガンを隠しているのかは分からないが、文字の並びからして、上の3文字が船名、下の数文字がスローガンか海運会社名であろう。朝鮮文字よりも画数が多いようにも見えるので、漢字なのかもしれない。だとすると、これは中国の船舶か、北朝鮮が中国から購入したばかりで中国の船舶名などがそのまま残されているものということだと思う。煙突が写っていれば、北朝鮮の国旗が描かれているかどうかである程度判断できるが、その場面は出ない。クレーンの動きからや空の船倉からすると、セメントを積み込んでいるように見えるが、中国から送られてきたセメントを降ろしている可能性もある。

Source: KCTV, 2016/09/24
24日夜、「人民の声放送」を聞いていた。同放送は、韓国での報道や噂を誇張・脚色して伝えているのだと思うが、今回の水害について「金正恩世襲一味による人災」と言っていた。その報道では、上流のダムを放水する必要が生じ、「被害地域の住民に事前に告知することもなく放水したので被害が大きくなった」、挙げ句の果てには、毎年北朝鮮で発生する水害は、「世襲一味」による「計画的殺人」とさえ言っていた。
日本のように、河岸整備が比較的しっかりと行われている国でさえ、集中豪雨による水害はしばしば発生しているので、河岸整備がほとんど行われていない北朝鮮では、日本以上に大雨に脆弱であることは間違いない。「核・ミサイルに使う金があるなら、河岸整備に金を使え」という話はあり得るが、日本ですら国防整備に使う金を全て社会福祉事業や国土整備事業に振り向けるわけにはいかないので、「常態的に米帝の核威嚇を受けている」北朝鮮としては、そうもいかないのであろう。「人民の声放送」は、「水害が起こっている最中、莫大な金を使って核弾頭爆発実験を実施した」とも非難していたが、「莫大な金を使って核弾頭爆発実験」の準備が終わったところで、運悪く水害が発生してしまったという順であろう。
「元帥様」昨日の報道では、白衣を着て「大同江注射器工場」を「現地指導」していた。被災地では衛生状態の悪化による病気も発生しているという国際機関関係者の声を伝える報道もあるので、「大同江注射器工場」で生産された注射器は、被災地でも必要となるのであろうが、「現地指導」で「元帥様」は「被災地に医薬品と共に送れ」などという指示はしていない。

Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 대동강주사기공장을 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-09-24-0001_photo