『労働新聞』での核実験の扱い:威力に反して軽すぎ、「元帥様」に直接言及していない (2016年9月10日 「労働新聞」)
10日付けの『労働新聞』を見た。昨日の「朝鮮中央TV」もそうであるが、第5回核実験の扱いが非常に軽い。「朝鮮中央TV」では、確認した限り、李チュンフィ放送員のアナウンスによる報道が4回(一時、ストリーミングが止まっていたので、5回の可能性はあるが)あっただけで、平壌市民の反応などは一切報じられていない。海外がこれほど騒いでいるにもかかわらず、朝鮮では大事ではないし、「党創建68周年記念行事」の方が重要な扱いとなっている。
テレビなので、取材、撮影など、準備に手間が掛かるにしても、1月の「水素弾」や2月「光明星4号」の時とは随分雰囲気が違っている。
『労働新聞』を確認すると、非常にテレビと近い扱いである。下の写真が、2016年9月10日付けの『労働新聞』1面(インターネット配信版)であるが、「核武器研究所声明」が一番下に出ているだけで、上の方には「党創建68周年」に際して「首領様」と「将軍様」の銅像に挨拶したり、花輪を送ったりという記事が出ている。北朝鮮では、銅像に挨拶をしたり花輪を贈呈することが重要なことは間違いないが、それにしても「核武器研究所声明」をもう少し上に持って来てもよさそうな気がする。
2016年9月10日『労働新聞』(インターネット配信版)の1面。黄色で囲んだ部分が「声明」
Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_04_01
さらに、核実験関連の記事を調べてみると、3面に「『朝鮮、核弾頭爆発実験で成功』、『標準化、企画化された核弾頭の威力最終確認』・・・朝鮮民主主義人民共和国核武器研究所声明を各国メディアが一斉に報道」という記事と「核弾頭爆発実験の成功ニュースを聞いた我々軍隊と人民の反応」という朝鮮人民の反応を伝える記事があるだけである。
今回の実験の主体が「核武器研究所」であり、核実験成功という報告を受けて「党中央委員会が、熱烈な祝賀を北部核実験場に送ってきた」というのも、何か他人事のような扱いである。「朝鮮中央TV」報道にも『労働新聞』にも、「元帥様」に関する記述は一切ない。この点、1月6日の「水素弾」実験とは全く扱いが異なっている。
1月7日の『労働新聞』を見ると、1面トップに「朝鮮労働党中央委員会、初の水素弾実験を行うことに関する歴史的命令を下達」という記事があり、その中で「元帥様」が「2015年12月15日に主体朝鮮初の水素弾実験を行うことに関する命令を下達し、2016年1月3日に最終命令書に署名した」と「水素弾」実験に終始「元帥様」が関与しているように書かれている。
そして、2面に出ている「朝鮮民主主義人民共和国政府声明、主体朝鮮初の水素弾実験完全成功」には、「朝鮮労働党の戦略的決心により、2016年1月6日10時、主体朝鮮初の水素弾実験が成功裏に行われた」と、「水素弾実験」の主体が「朝鮮労働党」であり、実験は同党の「戦略的決心」で行われたとはっきりと書かれている。
このように、1月6日と今回だけを比べても、「元帥様」は全く出てきていない。これまで北朝鮮が行った、ロケット発射や核実験は、全て元帥様の命令か立ち合いで行われており、それらが「元帥様の細心な指導」や「献身的な労苦」により、成功に導かれたということになっている。
それなのに、今回の過去最大規模の爆発実験成功は、現在までの報道を見る限りでは、「元帥様」の知らないところで勝手に行われて成功し、党中央委員会は「よかったね、おめでとう」とうい程度の対応しかしていないように扱われている。
国内的には、「元帥様の指導」の結果の大成功とした方がよいに決まっているにもかかわらず、それをしていない背景には、もしかすると中国との関係があるのかもしれない。
今日の「朝鮮中央TV」はまだ始まっていないが、どのような報道がなされるのかが見物である。普通であれば、「元帥様」が「大成功」させた科学者と記念撮影をしたり、核弾頭を最大規模の威力で爆発させたならば、「モランボン楽団」を動員した宴会ぐらいやってもよさそうなものである。
テレビなので、取材、撮影など、準備に手間が掛かるにしても、1月の「水素弾」や2月「光明星4号」の時とは随分雰囲気が違っている。
『労働新聞』を確認すると、非常にテレビと近い扱いである。下の写真が、2016年9月10日付けの『労働新聞』1面(インターネット配信版)であるが、「核武器研究所声明」が一番下に出ているだけで、上の方には「党創建68周年」に際して「首領様」と「将軍様」の銅像に挨拶したり、花輪を送ったりという記事が出ている。北朝鮮では、銅像に挨拶をしたり花輪を贈呈することが重要なことは間違いないが、それにしても「核武器研究所声明」をもう少し上に持って来てもよさそうな気がする。
2016年9月10日『労働新聞』(インターネット配信版)の1面。黄色で囲んだ部分が「声明」
Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_04_01
さらに、核実験関連の記事を調べてみると、3面に「『朝鮮、核弾頭爆発実験で成功』、『標準化、企画化された核弾頭の威力最終確認』・・・朝鮮民主主義人民共和国核武器研究所声明を各国メディアが一斉に報道」という記事と「核弾頭爆発実験の成功ニュースを聞いた我々軍隊と人民の反応」という朝鮮人民の反応を伝える記事があるだけである。
今回の実験の主体が「核武器研究所」であり、核実験成功という報告を受けて「党中央委員会が、熱烈な祝賀を北部核実験場に送ってきた」というのも、何か他人事のような扱いである。「朝鮮中央TV」報道にも『労働新聞』にも、「元帥様」に関する記述は一切ない。この点、1月6日の「水素弾」実験とは全く扱いが異なっている。
1月7日の『労働新聞』を見ると、1面トップに「朝鮮労働党中央委員会、初の水素弾実験を行うことに関する歴史的命令を下達」という記事があり、その中で「元帥様」が「2015年12月15日に主体朝鮮初の水素弾実験を行うことに関する命令を下達し、2016年1月3日に最終命令書に署名した」と「水素弾」実験に終始「元帥様」が関与しているように書かれている。
そして、2面に出ている「朝鮮民主主義人民共和国政府声明、主体朝鮮初の水素弾実験完全成功」には、「朝鮮労働党の戦略的決心により、2016年1月6日10時、主体朝鮮初の水素弾実験が成功裏に行われた」と、「水素弾実験」の主体が「朝鮮労働党」であり、実験は同党の「戦略的決心」で行われたとはっきりと書かれている。
このように、1月6日と今回だけを比べても、「元帥様」は全く出てきていない。これまで北朝鮮が行った、ロケット発射や核実験は、全て元帥様の命令か立ち合いで行われており、それらが「元帥様の細心な指導」や「献身的な労苦」により、成功に導かれたということになっている。
それなのに、今回の過去最大規模の爆発実験成功は、現在までの報道を見る限りでは、「元帥様」の知らないところで勝手に行われて成功し、党中央委員会は「よかったね、おめでとう」とうい程度の対応しかしていないように扱われている。
国内的には、「元帥様の指導」の結果の大成功とした方がよいに決まっているにもかかわらず、それをしていない背景には、もしかすると中国との関係があるのかもしれない。
今日の「朝鮮中央TV」はまだ始まっていないが、どのような報道がなされるのかが見物である。普通であれば、「元帥様」が「大成功」させた科学者と記念撮影をしたり、核弾頭を最大規模の威力で爆発させたならば、「モランボン楽団」を動員した宴会ぐらいやってもよさそうなものである。