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    「朝鮮外務省共和国の合法的な衛星発射権利を踏みにじろうとする国連安保理の処置を排撃」(2012年4月17日「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮外務省が、国連安保理の議長声明に対しする非難声明を出したこと「朝鮮中央通信」が報じた。

    「労働新聞」の同記事
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-04-18-0024

    声明では、安保理議長声明を「米国とその追随勢力が再び盗用して我々の衛星発射の権利を蹂躙する敵対行為を強行した」とし、議長声明が「米国による敵対行為」であると断じている。そして「安保理決議1718と1874号は、我々を敵対視し押さえ込もうとする強権の産物であり、普遍的な国際法まで無視して無理に作り出した不法の極致ある」と今回の北朝鮮非難に繋がった「根拠」を否定し、「今日の事態は国連憲章に明記された主権平等の原則というのは言葉だけで、正義は自らの力で守護しなければならないということを明博に示している」と北朝鮮の軍事力増強の正当性を強調している。

    そして、第一に「民族の尊厳と国家の自主権を蹂躙し、侵害しようとする小さな要素もぜったに許さない」ことを原則とし、第二に「国連安保理決議より上位にある普遍的な国際法に基づき公認された宇宙利用の権利を継続して行使」し「国家の経済発展に必要な各種の実用衛星を継続的に発射する」、第三に「米国の露骨な敵対行為により崩壊した2.29米朝合意に我々もこれ以上拘束されない」としている。

    特に、第三の点に関しては、「我々ははじめから平和的衛星発射は、2.29米朝合意と別個の問題であり、米朝合意は最後まで誠実に履行するという立場を繰り返し明らかにし、実際に履行措置も執った」、「しかし米国は、我々の衛星発射計画が発表されるやいなや、それを理由に米朝合意による食料提供過程を中止し、今回は国連安保理議長の地位を悪用し、我々の正当な衛星発射の権利を侵害する敵対行為を直接主導した」と主張している。

    最後に、「我々は米朝合意から脱し、必要な対応措置を思うがままに執ることができるようになり、それにより生じる全ての結果は米国が全的に責任を取らなければならない」とし、「平和は我々にこの上なく貴重であるが、民族の尊厳と国家の自主権はそれ以上に貴重である」と締めくくっている。

    やはりここでも、「衛星発射」と安保理決議1874の「弾道ミサイル技術を使った発射」が問題となっている。過去記事にも書いたが、なぜ2.29合意でこの部分をきちんと文書化しなかったのであろうか。「衛星発射もしてはいけない」ということを北朝鮮側が受け入れた受け入れないで(「言ったのか言わなかったのかで」という方が正確かもしれない)、米朝の主張は真っ向から対立している。確実に合意文書には、「弾道ミサイル技術を使った発射」とも安保理決議1874に直接的に結びつく記述もない。可能性としては、北朝鮮側から「衛星発射も含むことは分かったから、文書化するのはやめてくれ」という要請が出され、米国がそれを飲んだのかもしれない。そうだとしたら、米国は北朝鮮にまんまと騙されたことになる。

    ともかくも、結果として不完全な「合意」文書ができてしまった。このような不完全な「合意」文書が出されてしまった背景は米国と北朝鮮双方の事情から推測することができる。まず米国は、北朝鮮の新しい指導者に対する期待とオバマ大統領の再選に向け朝鮮半島情勢を悪化させたくなく、あわよくば好転させようという目論見があったのではないだろうか。一方北朝鮮は、外務省と軍部の意思疎通、もっといえば金正恩さんによる政策一元化機能しておらず、本当に米国と「衛星発射もしない」と交渉担当者が口約束をしてしまったものの、本国にそれを持ち帰ったら「金正日将軍の遺訓」を理由に軍部にひっくり返されてしまったのではないだろうか。

    現時点では、北朝鮮はこれまでのパターン同様に次に核実験をやるのではないかという観測が圧倒的である。そして、米国はその場合、制裁内容をさらに強化すると警告している。しかし、これ以上何をどう強化しようというのであろうか。そして、何回も書いているが、制裁を強化したところで中国というバックドアが存在する限りは、制裁の効力はいくらそれを強化したところで発揮されない。そもそも、過日の閲兵式に登場したICBMと思わしき物を搭載した車両は、どの国で作られたものなのだろうか。

    中国は、北朝鮮の衛星発射について、「憂慮」を表明しながらも、伝統的な中朝友好関係を重視しながら、金正恩さんに対して祝電などを送っている。一方で、安保理議長声明が直ぐにまとまったという状況からしても、それを出すことについて中国は特に反対をしなかったのであろう。安保理議長声明は、「これ以上何かをしたら大変なことになるのよ」という北朝鮮に対する警告のメッセージである。表面的には、制裁の対象となる物品や人物が追加されることが検討されているが、前にも書いたとおり、そんなことは別に北朝鮮にとっては「大変なこと」ではない。北朝鮮にとって本当に「大変なこと」は中国だけが引き起こすことが可能であり、議長声明を通して中国は北朝鮮に対してその明らかな警告を発しているのではないだろうか。中国は衛星発射までは容認しても、3度目の核実験は中国の対面からしても容認しないであろう。

    一方、米国にとっても3度目の核実験はいろいろと都合が悪い。ロイターの報道では、「アジア太平洋の米軍を統括するロックリア米太平洋軍司令官は17日、北朝鮮による3度目の核実験を阻止するため、『あらゆる選択肢』を検討している」とのことであるが、米国が北朝鮮の核施設に対する軍事攻撃をするようなことがあれば、北朝鮮は間違いなく限定的であれ韓国を攻撃するであろう。そのようなプランに韓国が賛成するはずがない。また、3度目の核実験がウラニウムを使った原爆の初の実験となる可能性も十分にある。これが成功すると、北朝鮮は核爆弾製造の2つの道を手に入れることになり、特にウラン鉱山を有する北朝鮮では、ウラン型核爆弾がいくらでもできることになる。

    ロイター記事:
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120417-00000114-reut-int

    では、北朝鮮にとってはどうかというと、こちらも色々と都合が悪い。まず、中国が確実に安保理決議の制裁の隊列に加われば、北朝鮮の経済は完全に麻痺する。人民生活の向上どころか、燃料が切れて軍用トラックさえ走らせることができなくなるであろう。また、米国に核施設を限定攻撃され、それに反撃もせずに黙っているとすれば、金正恩政権どころか、朝鮮人民の精神的なよりどころである先軍政治や朝鮮人民軍の威力も否定されることになり、政権崩壊に繋がる。一方、反撃をして戦火が拡大、全面戦争に至ったとしても敗戦により政権は崩壊する。上記の理由から、どうせ核爆弾など使えないのであるから、プルトニウム型の「実戦で使える」核爆弾を「持っていること」にしておき、「核保有国」と宣伝するのが政権維持には最も都合が良いのである。

    韓国を除く主たるアクターについて書いたが、ついでに「アウトサイダー」の日本について書いておけば、「朝鮮半島を不安定化させない」ように努力することにつきる。それは、朝鮮半島で戦争が勃発したときに、200発あるといわれいているノドンミサイルがどこに飛んでくるのか想像するだけで分かるであろう。発射を予告された人工衛星ロケットの破片を打ち落とすだけであれだけ大騒ぎをし、しかもシビリアンコントロールの中枢部がきちんと機能しなかった日本が、次々と飛来するノドンミサイルを全部迎撃することができるなどと夢にも思わない方が良い。日本にノドンミサイルを撃ち込んだ「憎き」北朝鮮はどのみち米国に敗れる。残されるのは、日本本土の被害と混乱し破壊された朝鮮半島。韓国経済の崩壊による世界経済の大混乱。

    こう考えると、結果における有利不利はあるにせよ、大きなベクトルは同じ方向を向いているのではないだろうか。結局は、外交と交渉により問題を解決していく以外に方法はないと思うが、さてどうすべきか。

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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