「『政治とメディアの距離がおかしい』 いま問い直される大本営発表の歴史」+「尖閣防衛、ミサイル開発へ…23年度の配備目標」:射程300kmのミサイルの射程 (2016年8月14日 前者「BuzzFeed Japan」、後者「読売新聞」)
14日、Yahoo Newsに掲載された2つの記事から考えさせられることがあった。まず読んだのは、「『政治とメディアの距離がおかしい』 いま問い直される大本営発表の歴史」という『Buzz Feed Japan』の記事である。この記事は、辻田真佐憲さんという若い研究者が、「大本営発表」など、当時の資料を掘り起こしながら、メディアが「大本営発表」と同質化して行く過程について書かれている。
中でも「言葉が作られる」という項目で、「(日本軍の)劣勢による撤退は『転進』となり」と書かれている部分で、北朝鮮軍が米軍の仁川上陸後中朝国境に追い込まれていく局面を北朝鮮が「戦略的後退」と呼んでいるのと共通していると思いながら読んでいた。
辻田さんは、現代の日本のマスコミが70年前の教訓を忘れてはならないと警鐘を鳴らしているわけだが、北朝鮮はこの点、どうにもならない現状である。北朝鮮メディアの何を読んでも聞いても言っていることが同じというのは、簡単で分かりやすいが、まさにそれが「大本営発表」に通じる部分なのであろう。
Buzz Feed Japan, 「『政治とメディアの距離がおかしい』 いま問い直される大本営発表の歴史」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160814-00010001-bfj-pol&p=1
一度、Yahooニュースの項目に関するページに戻ったら、尖閣防衛に関する『読売新聞』の記事が出ていた。この記事は、政府が「飛距離300キロを想定し」た地対艦ミサイルを「宮古島など先島諸島の主要な島に配備する方針で、尖閣諸島の領海までを射程に入れる」という内容のものである。
問題はこの記事に添付された下の地図である。

Source: 『読売新聞』、「尖閣防衛、ミサイル開発へ…23年度の配備目標」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160813-00050138-yom-pol.view-000
「地対艦ミサイル」としているにもかかわらず円の中心が海上に設定されている。これはあり得ないと思い、与那国島と石垣島を中心に300kmの円を描いてみた。
石垣島に配備した場合、中国本土からはまだ距離があるが、台北市はほぼカバーされてしまう。

Source: Google Earth
また、政府の計画にはないようだが、与那国島に配備すると台湾のかなりの地域が射程に収まるだけではなく、中国本土近海にまでその射程は達することになる。当面、台湾はターゲットにしていないはずなので、尖閣有事の際に中国本土から出港した軍艦を攻撃することを目的とするためには、与那国への配備が最も効果的なはずで、有事における与那国配備オプションも充分に計算してあるはずである。

Source: Google Earth
このように台湾がその射程に収まるだけではなく、中国本土に近い海域にまで達する地対艦ミサイルの配備については議論の余地があろうが、それよりも『読売新聞』の記事に掲載された台湾をかすめる程度の地図は何を意識して作成したのであろうか。
民主主義国日本には、「大本営発表」など存在しないはずなのだが。
中でも「言葉が作られる」という項目で、「(日本軍の)劣勢による撤退は『転進』となり」と書かれている部分で、北朝鮮軍が米軍の仁川上陸後中朝国境に追い込まれていく局面を北朝鮮が「戦略的後退」と呼んでいるのと共通していると思いながら読んでいた。
辻田さんは、現代の日本のマスコミが70年前の教訓を忘れてはならないと警鐘を鳴らしているわけだが、北朝鮮はこの点、どうにもならない現状である。北朝鮮メディアの何を読んでも聞いても言っていることが同じというのは、簡単で分かりやすいが、まさにそれが「大本営発表」に通じる部分なのであろう。
Buzz Feed Japan, 「『政治とメディアの距離がおかしい』 いま問い直される大本営発表の歴史」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160814-00010001-bfj-pol&p=1
一度、Yahooニュースの項目に関するページに戻ったら、尖閣防衛に関する『読売新聞』の記事が出ていた。この記事は、政府が「飛距離300キロを想定し」た地対艦ミサイルを「宮古島など先島諸島の主要な島に配備する方針で、尖閣諸島の領海までを射程に入れる」という内容のものである。
問題はこの記事に添付された下の地図である。

Source: 『読売新聞』、「尖閣防衛、ミサイル開発へ…23年度の配備目標」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160813-00050138-yom-pol.view-000
「地対艦ミサイル」としているにもかかわらず円の中心が海上に設定されている。これはあり得ないと思い、与那国島と石垣島を中心に300kmの円を描いてみた。
石垣島に配備した場合、中国本土からはまだ距離があるが、台北市はほぼカバーされてしまう。

Source: Google Earth
また、政府の計画にはないようだが、与那国島に配備すると台湾のかなりの地域が射程に収まるだけではなく、中国本土近海にまでその射程は達することになる。当面、台湾はターゲットにしていないはずなので、尖閣有事の際に中国本土から出港した軍艦を攻撃することを目的とするためには、与那国への配備が最も効果的なはずで、有事における与那国配備オプションも充分に計算してあるはずである。

Source: Google Earth
このように台湾がその射程に収まるだけではなく、中国本土に近い海域にまで達する地対艦ミサイルの配備については議論の余地があろうが、それよりも『読売新聞』の記事に掲載された台湾をかすめる程度の地図は何を意識して作成したのであろうか。
民主主義国日本には、「大本営発表」など存在しないはずなのだが。