「『張成沢の痕跡を消せ』 正恩氏、テーマパーク解体を指示」:またガセネタ? (2016年6月15日、2016年8月20日(追記1) 「東京新聞」)
<追記:2016年8月20日>
何となく「民俗公園」のことを思い出し、Google Earthで確認してみた。
2016年5月11日に撮影された写真を見ると、同公園の右下のブロックの建物が取り壊されている。

Source: Google Earth

Source: Google Earth
このブロックだけを取り壊しているのか、このブロックの取り壊しから着手したのかは、さらにアップデートされた写真を見なければ確認できないので、「民俗公園」全体の取り壊しなのか、一部取り壊しなのか、それとも改築なのかは分からない。『東京新聞』の記事に準ずるのであれば、張成沢が関与した部分を取り壊しているということになるのかもしれないが、単に建物に問題があっただけなのかもしれない。
どこかに、同公園の地図が出た画像があったと思うので、このブロックに何があったのか確認してみたい。
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15日、『東京新聞』HPに掲載された記事「『張成沢の痕跡を消せ』 正恩氏、テーマパーク解体を指示」が掲載された。記事には
「北朝鮮関係者によると、この施設は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の叔父で、二〇一三年十二月に処刑された張成沢(チャンソンテク)元国防委員会副委員長の主導で整備され、金正恩氏が「民俗公園がある限り張成沢を思い出す」として解体を指示したという。」
『東京新聞』HP、「『張成沢の痕跡を消せ』 正恩氏、テーマパーク解体を指示」、http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201606/CK2016061502000128.html?ref=rank
と書かれているが、「北朝鮮関係者」にガセ情報を掴まされたような気がしてならない。
「朝鮮中央通信」で「平壌民俗公園」をキーワードに検索してみると、最新記事として2015年9月10日「平壌民俗公園、竣工後、過去3年間117万人あまり参観」が出てくる(『東京新聞』も同記事を引用している)。
記事には、「平壌民俗公園」には、「白頭山と白頭山密営故郷の家(著者注:「将軍様」生家)を形象した建築物、主体思想塔と凱旋們、人民大学習堂、千里馬銅像などの縮小模型建築物が配置されている」と書かれている。
「白頭山密営故郷の家」は、朝鮮人民にとって「首領様」の生家である「万景台故郷の家」に継ぐ聖地である。例え模型であるにせよ、それらを解体、しかも「爆破」するなど、いくら「元帥様」でも「道徳義理」的にできることではないし、それ以外の「首領様」や「将軍様」と関わる「記念碑的建造物」も最も丁重に扱われるべきものばかりである。
解体する理由を張成沢と結びつけているが、なぜ今更、張成沢を持ち出すのか分からない。側近であった張成沢は、金正恩時代の「記念碑的建造物」の建設事業全てに少なからず関わっているはずなので、もし、張成沢憎しなら他の「建造物」も「爆破」しなければならないことになる。また、張成沢が、いわれているように経済部門の利権を牛耳ろうとしていたのなら、大した金にもならない「民俗公園」に関わることなどあまり考えられない。
「平壌民俗公園」建設により関与したのは、崔龍海のはずである。建設期間中、彼は人民軍総政治局長(2012.4-2014.3)であったので、「軍人建設者」動員には少なからぬ影響力を行使したはずである。同公園は2012年末に完工している。
また、2014年12月30日に初回放送され、2015年12月31日に再放送されている「朝鮮記録映画」の中でも、「金正恩時代の建造物」として「元帥様」が建設した建物のリストが出るが、その中に「民俗公園」は含まれている。
偶然、字幕を付けてYouTubeにアップロードしてあった。
Source: KCTV, 2015/12/31
その後、数ヶ月の間で「元帥様」の気が変わったといえばそれまでであるが、「ムンス・ウォーターパーク」を「爆破」するならまだしも、上述のように「聖地」の模型がある同公園を「爆破」することなど考えにくい。
下は、2015年10月27日に撮影された「平壌民俗公園」である。今後公開される衛星写真で消えているかどうか。

Source: Google Earth
何となく「民俗公園」のことを思い出し、Google Earthで確認してみた。
2016年5月11日に撮影された写真を見ると、同公園の右下のブロックの建物が取り壊されている。

Source: Google Earth

Source: Google Earth
このブロックだけを取り壊しているのか、このブロックの取り壊しから着手したのかは、さらにアップデートされた写真を見なければ確認できないので、「民俗公園」全体の取り壊しなのか、一部取り壊しなのか、それとも改築なのかは分からない。『東京新聞』の記事に準ずるのであれば、張成沢が関与した部分を取り壊しているということになるのかもしれないが、単に建物に問題があっただけなのかもしれない。
どこかに、同公園の地図が出た画像があったと思うので、このブロックに何があったのか確認してみたい。
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15日、『東京新聞』HPに掲載された記事「『張成沢の痕跡を消せ』 正恩氏、テーマパーク解体を指示」が掲載された。記事には
「北朝鮮関係者によると、この施設は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の叔父で、二〇一三年十二月に処刑された張成沢(チャンソンテク)元国防委員会副委員長の主導で整備され、金正恩氏が「民俗公園がある限り張成沢を思い出す」として解体を指示したという。」
『東京新聞』HP、「『張成沢の痕跡を消せ』 正恩氏、テーマパーク解体を指示」、http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201606/CK2016061502000128.html?ref=rank
と書かれているが、「北朝鮮関係者」にガセ情報を掴まされたような気がしてならない。
「朝鮮中央通信」で「平壌民俗公園」をキーワードに検索してみると、最新記事として2015年9月10日「平壌民俗公園、竣工後、過去3年間117万人あまり参観」が出てくる(『東京新聞』も同記事を引用している)。
記事には、「平壌民俗公園」には、「白頭山と白頭山密営故郷の家(著者注:「将軍様」生家)を形象した建築物、主体思想塔と凱旋們、人民大学習堂、千里馬銅像などの縮小模型建築物が配置されている」と書かれている。
「白頭山密営故郷の家」は、朝鮮人民にとって「首領様」の生家である「万景台故郷の家」に継ぐ聖地である。例え模型であるにせよ、それらを解体、しかも「爆破」するなど、いくら「元帥様」でも「道徳義理」的にできることではないし、それ以外の「首領様」や「将軍様」と関わる「記念碑的建造物」も最も丁重に扱われるべきものばかりである。
解体する理由を張成沢と結びつけているが、なぜ今更、張成沢を持ち出すのか分からない。側近であった張成沢は、金正恩時代の「記念碑的建造物」の建設事業全てに少なからず関わっているはずなので、もし、張成沢憎しなら他の「建造物」も「爆破」しなければならないことになる。また、張成沢が、いわれているように経済部門の利権を牛耳ろうとしていたのなら、大した金にもならない「民俗公園」に関わることなどあまり考えられない。
「平壌民俗公園」建設により関与したのは、崔龍海のはずである。建設期間中、彼は人民軍総政治局長(2012.4-2014.3)であったので、「軍人建設者」動員には少なからぬ影響力を行使したはずである。同公園は2012年末に完工している。
また、2014年12月30日に初回放送され、2015年12月31日に再放送されている「朝鮮記録映画」の中でも、「金正恩時代の建造物」として「元帥様」が建設した建物のリストが出るが、その中に「民俗公園」は含まれている。
偶然、字幕を付けてYouTubeにアップロードしてあった。
Source: KCTV, 2015/12/31
その後、数ヶ月の間で「元帥様」の気が変わったといえばそれまでであるが、「ムンス・ウォーターパーク」を「爆破」するならまだしも、上述のように「聖地」の模型がある同公園を「爆破」することなど考えにくい。
下は、2015年10月27日に撮影された「平壌民俗公園」である。今後公開される衛星写真で消えているかどうか。

Source: Google Earth