2014~2016年6月1日「20時報道」:「国際児童節」報道、殺人から音楽へ (2016年6月1日 「朝鮮中央TV」)
6月1日は「国際児童節(International Children's Day)」であった。北朝鮮では、この日に子供運動会など、子供関連行事を各地で開催しており、その様子を同日の「朝鮮中央TV」「20時報道」で紹介している。
紹介される施設は毎年大体同じで、「キョンサン幼稚園」や平壌駐在外国人を招いて行う親善運動会のようなものは必ず紹介されている。また、内容についても、定番のつなひき、シルム(朝鮮相撲)、片足相撲、バスケットボールゴール入れ、魚釣り競争などは、毎年紹介されている。
ところが、今年は一つ変化が見られる。恐らく「偵察兵競争」(日本の障害物競走+米兵殺害)と呼ばれる競技だと思われるが、2014年と2015年は、以下のような映像で紹介されている。
2014年
銃を持って障害物を乗り越え・・・

Source: KCTV, 2014/06/01 (国際親善の運動会)
その先にいる、敵を殺す。この例では、ナイフを拾って敵に投げつける。

Source: KCTV, 2014/06/01 (国際親善の運動会)
2015年
同様に2015年も銃を持って障害物を乗り越え・・・

Source: KCTV, 2015/06/01(清津市)
敵を殺す。

Source: KCTV, 2015/06/01 (新義州市)
敵を殺す。

Source: KCTV, 2015/06/01 (ハムフン市)
2016年
***********
<追記>
国際親善運動会の場面では、おもちゃの銃を持って走る場面すら出てこない。アナウンスも「偵察兵競技」については言及していない。これだけだと、国際的イメージに配慮した競技内容変更なのかもしれない。

Source: KCTV, 2016/06/01
その他に紹介されている施設は、以下のとおり。
1.「キョンサン幼稚園」、銃を持って走る場面なし。
2.「平壌『国際婦女節50周年』幼稚園」、同上。
3.「チャングァン幼稚園」、同上。
4.「中区域大同門幼稚園」、同上。
5.「金正淑託児所」、同上。
6.「平壌9.15チュ託児所」、銃を持った女児が一瞬写る。
7と8は下の写真で紹介。銃を持って走っている。
9.「新義州育児院・愛育院」、銃を持って走る場面なし。
10.「サリウォン育児院・愛育院」、同上。
11.「清津愛育院」、ここでは、下の写真のとおり障害物競走をやっているが、銃を持っていない。

Source: KCTV, 2016/06/01
12.「羅先市海岸公園での幼稚園生運動会」、銃を持って走る場面なし。
13.「開城市での幼稚園生運動会」、銃を持って走る場面なし。
2014年と15年についても上記のように羅列した方が正確であろうが、その作業はいずれやることにする。16年の動画を見る限り、銃を持って走っているのは「託児所」、「育児院・愛育院」の子供たちである。そのようなことからすると、銃というよりもバトンのように使われているのではないだろうか。
****************
ところが、2016年になると、相変わらず銃を持って走るところまでやっているが・・・

Source: KCTV, 2016/06/01 (元山育児院・愛育院)
同様に明らかにおもちゃの銃を持って走っているが・・・

Source: KCTV, 2016/06/01 (ピョンチョン区域未来託児所)
その先がない。一瞬、それらしき画面が出るのだが、ほんの一瞬なので上手くキャプチャできないし、敵を殺しているのかさえ確認できない。
その代わりに、2014年と2015年にはなかった場面が出た。どういう競技なのかは分からないが、五線譜に何かをやっているので、明らかに音楽知識に関する競技であることは間違いない。

Source: KCTV, 2016/06/01 (清津市)
カメラマンや編集者が偶然出さなかっただけと言ってしまえばそれまでだが、報道のアナウンスを聞いていると、毎年ほとんど同じことを繰り返しており(この辺りが、北朝鮮的だが)、使用する映像についても同様の傾向があっても不思議ではない。だとすると、2016年は敵兵(米兵)を殺害する場面を意図的にカットしたのか、「偵察兵競争」で敵兵を殺害するところがなくなってしまったのかいずれかである。北朝鮮の対外関係が基本的に変わらず、むしろ韓国との関係は悪化しているにもかかわらず、こういうシーンを出さない、あるいは競技から外してしまったのであれば、幼い子供に人民軍隊は愛しても、敵に対する憎悪心だけを助長し、一般的な殺害までやらせることが不適切だという判断が働いているのかもしれない。
一方音楽については、「20時報道」の中では上の1つしか紹介されていないが、「uriminzokkiri-TV」が配信した動画の中には、下記のような場面がある。2枚は同じ幼稚園(名称不詳)での国際児童節運動会の様子であるが、やはり音楽競技をやっている。

Source: uriminzokkiri-TV、「우리는 행복해요」、2016/06/02

Source: uriminzokkiri-TV、「우리는 행복해요」、2016/06/02
これらの写真からだけでは即断することができないが、北朝鮮の幼児教育の現場で変化が生じているのかもしれない。
紹介される施設は毎年大体同じで、「キョンサン幼稚園」や平壌駐在外国人を招いて行う親善運動会のようなものは必ず紹介されている。また、内容についても、定番のつなひき、シルム(朝鮮相撲)、片足相撲、バスケットボールゴール入れ、魚釣り競争などは、毎年紹介されている。
ところが、今年は一つ変化が見られる。恐らく「偵察兵競争」(日本の障害物競走+米兵殺害)と呼ばれる競技だと思われるが、2014年と2015年は、以下のような映像で紹介されている。
2014年
銃を持って障害物を乗り越え・・・

Source: KCTV, 2014/06/01 (国際親善の運動会)
その先にいる、敵を殺す。この例では、ナイフを拾って敵に投げつける。

Source: KCTV, 2014/06/01 (国際親善の運動会)
2015年
同様に2015年も銃を持って障害物を乗り越え・・・

Source: KCTV, 2015/06/01(清津市)
敵を殺す。

Source: KCTV, 2015/06/01 (新義州市)
敵を殺す。

Source: KCTV, 2015/06/01 (ハムフン市)
2016年
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<追記>
国際親善運動会の場面では、おもちゃの銃を持って走る場面すら出てこない。アナウンスも「偵察兵競技」については言及していない。これだけだと、国際的イメージに配慮した競技内容変更なのかもしれない。

Source: KCTV, 2016/06/01
その他に紹介されている施設は、以下のとおり。
1.「キョンサン幼稚園」、銃を持って走る場面なし。
2.「平壌『国際婦女節50周年』幼稚園」、同上。
3.「チャングァン幼稚園」、同上。
4.「中区域大同門幼稚園」、同上。
5.「金正淑託児所」、同上。
6.「平壌9.15チュ託児所」、銃を持った女児が一瞬写る。
7と8は下の写真で紹介。銃を持って走っている。
9.「新義州育児院・愛育院」、銃を持って走る場面なし。
10.「サリウォン育児院・愛育院」、同上。
11.「清津愛育院」、ここでは、下の写真のとおり障害物競走をやっているが、銃を持っていない。

Source: KCTV, 2016/06/01
12.「羅先市海岸公園での幼稚園生運動会」、銃を持って走る場面なし。
13.「開城市での幼稚園生運動会」、銃を持って走る場面なし。
2014年と15年についても上記のように羅列した方が正確であろうが、その作業はいずれやることにする。16年の動画を見る限り、銃を持って走っているのは「託児所」、「育児院・愛育院」の子供たちである。そのようなことからすると、銃というよりもバトンのように使われているのではないだろうか。
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ところが、2016年になると、相変わらず銃を持って走るところまでやっているが・・・

Source: KCTV, 2016/06/01 (元山育児院・愛育院)
同様に明らかにおもちゃの銃を持って走っているが・・・

Source: KCTV, 2016/06/01 (ピョンチョン区域未来託児所)
その先がない。一瞬、それらしき画面が出るのだが、ほんの一瞬なので上手くキャプチャできないし、敵を殺しているのかさえ確認できない。
その代わりに、2014年と2015年にはなかった場面が出た。どういう競技なのかは分からないが、五線譜に何かをやっているので、明らかに音楽知識に関する競技であることは間違いない。

Source: KCTV, 2016/06/01 (清津市)
カメラマンや編集者が偶然出さなかっただけと言ってしまえばそれまでだが、報道のアナウンスを聞いていると、毎年ほとんど同じことを繰り返しており(この辺りが、北朝鮮的だが)、使用する映像についても同様の傾向があっても不思議ではない。だとすると、2016年は敵兵(米兵)を殺害する場面を意図的にカットしたのか、「偵察兵競争」で敵兵を殺害するところがなくなってしまったのかいずれかである。北朝鮮の対外関係が基本的に変わらず、むしろ韓国との関係は悪化しているにもかかわらず、こういうシーンを出さない、あるいは競技から外してしまったのであれば、幼い子供に人民軍隊は愛しても、敵に対する憎悪心だけを助長し、一般的な殺害までやらせることが不適切だという判断が働いているのかもしれない。
一方音楽については、「20時報道」の中では上の1つしか紹介されていないが、「uriminzokkiri-TV」が配信した動画の中には、下記のような場面がある。2枚は同じ幼稚園(名称不詳)での国際児童節運動会の様子であるが、やはり音楽競技をやっている。

Source: uriminzokkiri-TV、「우리는 행복해요」、2016/06/02

Source: uriminzokkiri-TV、「우리는 행복해요」、2016/06/02
これらの写真からだけでは即断することができないが、北朝鮮の幼児教育の現場で変化が生じているのかもしれない。