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    『<朝鮮芸術映画>姉妹たち(자매들)』:靴修理工と科学者の結婚、職業に貴賎はない (2016年5月18日 「朝鮮中央TV」)

    <追記:5月22日>
    半日掛けて日本語字幕を付けた。『金さん、空を飛ぶ』ほどではないが、ラストシーンでの「思想・精神的」説経を除けば、どの社会でもありそうな、興味深いテーマを扱っている。これまでに2度しか放送されていない映画であるが、評価されなかったのか、北朝鮮的にはおもしろくないのか分からないが、だからこそ我々にとってはおもしろい。


    Source: KCTV, 2016/05/18

    18日、「朝鮮中央TV」で『朝鮮芸術映画 姉妹』が放映された。韓国・統一部のDBによると、この映画は2014年2月14日に1度だけ放映されたようだ。制作時期は分からないが、背景に「慶祝、祖国解放戦争戦勝40周年」という横断幕が写っているので、映画の時代背景は1993年、制作はその数年後ではないだろうか。

    昨日は『繁栄する平壌』の字幕付け作業をやっており、テレビ連続ドラマ『自分を捧げろ』の具体的紹介はできていない。それにもかかわらずこの映画を紹介するのは、『自分を捧げろ』と共通したテーマを扱っているからである。

    『自分を捧げろ』は、昨夜シリーズ3話が放送されたが、そこまで見た限りでは、一言でまとめてしまえば、大学進学(金日成総合大学)を放棄して、農場で働くことにした娘たちを賞賛する内容になっている。

    一方、『姉妹たち』では、靴修理工の家庭の長女が、科学者(父親・科学者、母親・眼科医、息子・科学者)というエリート家庭の息子と結婚を前提にしたつきあいをしているが、職業の格差が大きいことを理由に、相手の男性(科学者の息子)やその友人から職業を変えることを求められる。しかし、靴修理工の長女は、靴修理工であることに誇りを持っており、男性と別れても職業を変えることを拒む。ストーリーの展開の結果、結局、男性が自分の「古い思想」を改めて、靴修理工の女性と結婚をするというハッピーエンディングのストーリーである。

    靴修理の値段表が写ったりして、北朝鮮の物価を把握するためにおもしろいシーンもあるので、それは追って紹介する。

    これら2つのテレビドラマと芸術映画の共通点であるが、ある意味、「職業に貴賎はない」ということと、科学者や学問をある意味軽視しているという点である。

    金正恩時代になってから、科学者・技術者に対する評価や待遇が非常に高くなっている。彼が掲げる「科学技術重視」の結果であることは間違いないが、一方で、「科学者・技術者」ではない人民から不満が出ているのではないだろうか。

    そんなこともあり、大学に行くことを放棄して農場員になったり、科学者の靴修理工を見下すような行動を戒める番組を編成したのかも知れない。

    『姉妹たち』は、最後の方で「思想・精神的」台詞が少しあるが、大部分は、日常的な会話で編成されたおもしろい映画である。1時間超の映画なので字幕作業は大変だが、アップロードしたいと思っている。

    中央が主人公の長女
    20161518 朝鮮映画 『姉妹達』mp4_000100000
    Sorurce: KCTV , 2016/05/18

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    Author:川口智彦
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    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
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