「朝鮮労働党中央委員会政務局」:金正恩「委員長」は「朝鮮労働党中央委員会政務局」のカテゴリー内に、崔龍海に大きな権限が与えられたか、崔龍海の息子が中央委員候補か? (2016年5月10日 「労働新聞」)
10日の『労働新聞』に掲載された金正恩政権幹部の写真を使いながら、肩書きや所属を別記事で整理している。その過程で気がついたのだが、「元帥様」は、「労働党中央委員会政務局」の枠内に記された「朝鮮労働党委員長金正恩」となっている。「政務局」なるものが、いつから存在したのかはきちんと調べていないが、ざっと見た限りでは、出てこない。
「政務局」は、「政治局常務委員会常務委員」、「政治局委員」の次に書かれており、非常に重要なポストであることが分かる。「政務局」の次には「党中央委員会政治局候補委員」、「党中央軍事委員会」となっており、「軍事委員会」よりも上にあることも注目しておく必要がある。
さらに、「政務局」には、軍人(例えば、黄炳瑞)や形式上幹部(例えば、金永南)は入っておらず、「党中央委員会副委員長」崔龍海、金己男、崔泰福、李スヨンなどの名前が並んでいる。委員はおらず、「委員長」と「(党中央委員会)副委員長」だけで構成されている。構成員を全て「副委員長」にしたのも、彼らに強い権限を与えるためであろう。とにかく、「金正恩委員長」直属の「副委員長」たちだから。
こうしたことからすると、「党政治局常務委員」の中で序列5位、「政治局委員」同5位、「政務局」同2位の崔龍海に大きな権限が集中したのではないかと思われる。
そして、事実上のナンバー2は崔龍海ということになり、噂のように崔龍海の息子と金ヨジョン「委員同志」が結婚しているのであれば、妹の権限も強まることになる。過去記事にも書いたが、何か金ギョンヒや張成沢の使い方と似ているような気がして仕方がない。
その息子であるが、「党中央委員会候補委員」の中に崔イルリョンという人物がいる。幹部整理をするために、韓国・統一部が作成した『2014 北韓主要人士 人物情報』なる資料を参照しているが、崔イルリョンという名前は出てこない。
なぜ、この人物に注目するのかというと、「リョン(룡=龍)」という音が名前に入っていて、名字が崔だからである。この人以外では、この組み合わせはない。朝鮮・韓国では、男の子供の名前には1文字、父親の名に使われている文字を使うことが多い(今は分からないが、私が韓国にいた80年代は、高い確率でそうだった)。北朝鮮でも、同じことが行われているはずなので、崔龍海の子供の名前には、龍か海が使われているはずである。調べてみると、崔と海が入った名前の人物はいないので、可能性として、この崔イルリョンが最も高くなる。もちろん、「リョン」と発音する漢字は他にもあるので、かならずしも「龍」とは限らないが、若い息子を候補委員(まあ、妻=金ヨジョンより、地位は低くなるわけだが)としておくのは、招来のためのステップであることは間違いない。
そのようなことも含め、「元帥様」が「委員長」となり、「政務局」が北朝鮮の政治、特に経済と外交を引率していくのではないかと思われる。
「政務局」が、今後、どのように使われていくのか、注目する必要がある。
2行目に太字で「朝鮮労働党委員長 金正恩」と書かれている

Source: 『労働新聞』(2016年5月10日、5面より切り出し)
「政務局」は、「政治局常務委員会常務委員」、「政治局委員」の次に書かれており、非常に重要なポストであることが分かる。「政務局」の次には「党中央委員会政治局候補委員」、「党中央軍事委員会」となっており、「軍事委員会」よりも上にあることも注目しておく必要がある。
さらに、「政務局」には、軍人(例えば、黄炳瑞)や形式上幹部(例えば、金永南)は入っておらず、「党中央委員会副委員長」崔龍海、金己男、崔泰福、李スヨンなどの名前が並んでいる。委員はおらず、「委員長」と「(党中央委員会)副委員長」だけで構成されている。構成員を全て「副委員長」にしたのも、彼らに強い権限を与えるためであろう。とにかく、「金正恩委員長」直属の「副委員長」たちだから。
こうしたことからすると、「党政治局常務委員」の中で序列5位、「政治局委員」同5位、「政務局」同2位の崔龍海に大きな権限が集中したのではないかと思われる。
そして、事実上のナンバー2は崔龍海ということになり、噂のように崔龍海の息子と金ヨジョン「委員同志」が結婚しているのであれば、妹の権限も強まることになる。過去記事にも書いたが、何か金ギョンヒや張成沢の使い方と似ているような気がして仕方がない。
その息子であるが、「党中央委員会候補委員」の中に崔イルリョンという人物がいる。幹部整理をするために、韓国・統一部が作成した『2014 北韓主要人士 人物情報』なる資料を参照しているが、崔イルリョンという名前は出てこない。
なぜ、この人物に注目するのかというと、「リョン(룡=龍)」という音が名前に入っていて、名字が崔だからである。この人以外では、この組み合わせはない。朝鮮・韓国では、男の子供の名前には1文字、父親の名に使われている文字を使うことが多い(今は分からないが、私が韓国にいた80年代は、高い確率でそうだった)。北朝鮮でも、同じことが行われているはずなので、崔龍海の子供の名前には、龍か海が使われているはずである。調べてみると、崔と海が入った名前の人物はいないので、可能性として、この崔イルリョンが最も高くなる。もちろん、「リョン」と発音する漢字は他にもあるので、かならずしも「龍」とは限らないが、若い息子を候補委員(まあ、妻=金ヨジョンより、地位は低くなるわけだが)としておくのは、招来のためのステップであることは間違いない。
そのようなことも含め、「元帥様」が「委員長」となり、「政務局」が北朝鮮の政治、特に経済と外交を引率していくのではないかと思われる。
「政務局」が、今後、どのように使われていくのか、注目する必要がある。
2行目に太字で「朝鮮労働党委員長 金正恩」と書かれている

Source: 『労働新聞』(2016年5月10日、5面より切り出し)