「京大准教授に対北制裁 核研究で総連系から奨励金 再入国禁止措置」:証拠もなく個人は叩くべきではない (2016年5月2日 「産経新聞」)
2日、『産経新聞』が「北朝鮮渡航後の再入国禁止措置の対象に、京都大学・原子炉実験所の男性准教授が含まれている」と報じた。
『産経新聞』、「京大准教授に対北制裁 核研究で総連系から奨励金 再入国禁止措置」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160502-00000065-san-pol
過去記事にも書いたとおり、2月に実施された日本政府の独自対北朝鮮制裁措置の再開・強化により、ある要件に該当する「朝鮮籍(在日外国人)」の人が、北朝鮮に入国したことが証明された場合、日本への再入国が禁止されることになった(空港での運用実態等については、過去記事参照)。
『産経新聞』の記事が取り上げている京大准教授も、「朝鮮籍の核科学者」という点でこのカテゴリーに入るため、対象者となったのであろう。同新聞は、「在日本朝鮮人科学技術協会(科協)構成員を対象に実施している北朝鮮渡航後の再入国禁止措置」としているが、正しくは「(7)在日外国人の核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先とした再入国の禁止」であり、実際にどのような運用がされているのかは未確認ながらも、「科学技術協会」の全てのメンバーが対象となるのかどうかは不明である。ともあれ、京大准教授は、研究業績等からして明らかに「核技術者」なので、日本政府の方針により「再入国禁止措置」の対象となるのはやむを得ない。しかしながら、「再入国禁止措置」の対象になったとしても、この准教授が北朝鮮の核開発に関わったという証拠はない。この点はとても重要で、この准教授やその家族に対する脅迫や嫌がらせを防ぐためにもはっきりとさせておかなければならない。今のところこの准教授は、朝鮮籍の原子力学者というだけである。
「在日本朝鮮人科学技術協会」のメンバーであったにしても、実態についてはきちんと調べていないが、総連系の人々が減少する中、「朝鮮籍」の研究者であれば、加入を求められるのが同協会だと思う。性格は異なれど、「中央在日本朝鮮青年商工会」への加入と同じような感じではないのだろうか。また、過去に不法行為を行った「金万有科学振興会」から「かつて核技術に関する研究で奨励金を得ていた」にしても、それと北朝鮮への核技術伝播と結びつける証拠にはならない。
以下、一般的にということで話を進めるが、北朝鮮にとって最高機密である核開発に、在外朝鮮人など深くコミットさせるとは考えにくい。間接的に情報や資料は求めるかもしれないが、核心的な部分については、自力で進めているはずである。北朝鮮内にいる「公民」であればいくらでも統制することができるが、在外「公民」など統制できないし、いつ韓国籍を取得するか分からない。そんな信用できない(統制できない)人々を最高機密に近づけるはずがない。北朝鮮が核開発に着手した時期は、鉄のカーテン内の科学者の援助は受けたであろうが、今に至っては、それこそ「自力自強」でやっているのだと思う。インターネットが発達した今、核開発のソフトな部分については、色々な国の色々な組織や人から情報を得られるはずである。
一方、ハードな部分について、北朝鮮がどこまで国産化を達成しているのかは分からない。「独自の力で」というのは、タブレットやスマホのようにアッセンブリーについてであり、部品レベルでは海外から持ち込んだものも使っているはずである。
朝鮮総連など、北朝鮮系組織を好き嫌いで叩くところまでは見過ごせても、今度は個人なのでとても憂慮している。
『産経新聞』、「京大准教授に対北制裁 核研究で総連系から奨励金 再入国禁止措置」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160502-00000065-san-pol
過去記事にも書いたとおり、2月に実施された日本政府の独自対北朝鮮制裁措置の再開・強化により、ある要件に該当する「朝鮮籍(在日外国人)」の人が、北朝鮮に入国したことが証明された場合、日本への再入国が禁止されることになった(空港での運用実態等については、過去記事参照)。
『産経新聞』の記事が取り上げている京大准教授も、「朝鮮籍の核科学者」という点でこのカテゴリーに入るため、対象者となったのであろう。同新聞は、「在日本朝鮮人科学技術協会(科協)構成員を対象に実施している北朝鮮渡航後の再入国禁止措置」としているが、正しくは「(7)在日外国人の核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先とした再入国の禁止」であり、実際にどのような運用がされているのかは未確認ながらも、「科学技術協会」の全てのメンバーが対象となるのかどうかは不明である。ともあれ、京大准教授は、研究業績等からして明らかに「核技術者」なので、日本政府の方針により「再入国禁止措置」の対象となるのはやむを得ない。しかしながら、「再入国禁止措置」の対象になったとしても、この准教授が北朝鮮の核開発に関わったという証拠はない。この点はとても重要で、この准教授やその家族に対する脅迫や嫌がらせを防ぐためにもはっきりとさせておかなければならない。今のところこの准教授は、朝鮮籍の原子力学者というだけである。
「在日本朝鮮人科学技術協会」のメンバーであったにしても、実態についてはきちんと調べていないが、総連系の人々が減少する中、「朝鮮籍」の研究者であれば、加入を求められるのが同協会だと思う。性格は異なれど、「中央在日本朝鮮青年商工会」への加入と同じような感じではないのだろうか。また、過去に不法行為を行った「金万有科学振興会」から「かつて核技術に関する研究で奨励金を得ていた」にしても、それと北朝鮮への核技術伝播と結びつける証拠にはならない。
以下、一般的にということで話を進めるが、北朝鮮にとって最高機密である核開発に、在外朝鮮人など深くコミットさせるとは考えにくい。間接的に情報や資料は求めるかもしれないが、核心的な部分については、自力で進めているはずである。北朝鮮内にいる「公民」であればいくらでも統制することができるが、在外「公民」など統制できないし、いつ韓国籍を取得するか分からない。そんな信用できない(統制できない)人々を最高機密に近づけるはずがない。北朝鮮が核開発に着手した時期は、鉄のカーテン内の科学者の援助は受けたであろうが、今に至っては、それこそ「自力自強」でやっているのだと思う。インターネットが発達した今、核開発のソフトな部分については、色々な国の色々な組織や人から情報を得られるはずである。
一方、ハードな部分について、北朝鮮がどこまで国産化を達成しているのかは分からない。「独自の力で」というのは、タブレットやスマホのようにアッセンブリーについてであり、部品レベルでは海外から持ち込んだものも使っているはずである。
朝鮮総連など、北朝鮮系組織を好き嫌いで叩くところまでは見過ごせても、今度は個人なのでとても憂慮している。