「主体朝鮮の核攻撃能力を非常に強化することにおいて達成したもう一つの事変-新型の大陸間弾道弾ロケット大出力エンジン地上噴出実験で大成功、敬愛する金正恩同志が西海衛星発射場を訪問され、新型の大陸間弾道ロケット大出力エンジンの地上噴出実験を指導された」:地上実験ばかり (2016年4月9日 「朝鮮中央通信」)」
9日、「朝鮮中央通信」が「元帥様」の「指導」の下、「西海衛星発射場」で「大陸間弾道弾ロケット大出力エンジン地上噴出実験」に「大成功」したと報じた。写真の配信はまだないが、9日の「朝鮮中央TV」放送は9時からなので、通常どおりに写真を公開するのであれば、昼までには見られるであろう。4月9日は、「将軍様」が国防委員長に推戴された日なので、それを記念する実験という意味がまずは大きい。
「元帥様」は「米帝をはじめとした敵対勢力に、もう一つの異なる形態の核攻撃を加えられる確固たる保証ができ、核には核で戦えるより強力な手段を持つに至った」と「大満足」したと。
「弾頭燃焼実験」、「固形燃料エンジン地上実験」、そして今回の「大出力エンジン地上実験」と、テストベンチでの実験をたくさん公開しているが、その理由を考えてみると、以下。
1.「太陽節」、「第7回党大会」など、大型行事を控え、実は、もう一度、ロケット打ち上げか核実験をやりたいのだが、その準備が経済的にも技術的にも間に合わない。一方、ロケットを噴出させたり、弾頭を焼くだけなら、比較的簡単に安くできる。国際的、特に韓国で大きく扱われることは承知の上。
2.ロケット発射や核実験の準備はできているものの、これ以上、中国を刺激するのは不適切と判断し、控えている。したがって、安保理制裁決議には直接的に抵触しない、「弾道ミサイル技術を使った」地上噴出実験を繰り返している。「発射」でなければ、問題ないという解釈であろう。だからこそ、「大陸間弾道弾」とはっきりと断っている。
3.韓国の総選挙に「北風」を送るため。北朝鮮は、総選挙絡みの朴槿恵個人攻撃のレベルを高めている。特に、8日に出された「民族和解協議会スポークスマン談話」は、聞いていると吹き出してしまうような内容となっている。韓国側でも、海外の北朝鮮レストランから13人が「脱北」し、韓国に到着しているとい事実を政府が公開した。一部の韓国メディアは、これを総選挙前の「北風」と報じているが、確かに、「新制裁決議後の脱北だから」という韓国政府の説明にはあまり説得力はない。新制裁で北朝鮮レストランの経営に影響が出るとすれば、金融制裁によりレストラン経営で発生した利益を北朝鮮に送金することが困難になったということぐらいであろうが、送金経路はいくらでもあるはずである。韓国政府は、韓国人に北レストランに行かないよう呼びかけているが、仮にその影響が出たとしても、韓国人観光客が北朝鮮レストランに大量に訪れるのは、白頭山観光期間、つまり夏期である。したがって、呼びかけに韓国国民が応えるのかどうかは、今年の夏が来なければ分からない。いずれにせよ、韓国も北朝鮮も「北風」を使っているわけだが、韓国民はどのような判断をするのだろうか。
今、「大出力ロケット実験」に関する初回報道を「朝鮮中央TV」で放送しているが、写真公開はない。準備中なのであろう。
『労働新聞』で写真が17枚公開された。ベージュのコート、茶色縁眼鏡着用に戻っている。

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo
<追記>
38 Northを読んでいたら、ロケットエンジンのテストベンチの場所が分かった。
発射台よりも遠く(約2.7km)、山の陰になるので、「元帥様」がいる管制センターからは直接見ることができない。そのため、「元帥様」はモニターの映像を見ている。

Source: Google Earth
山の向こうを眺める「元帥様」

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo
テストベンチ付近の様子

Source: Google Earth
なお、38 Northは、2016年3月3日、車両の動きなどから、今回のエンジンテストを予想していた。
38 North, Post-Launch Activity Observed at Sohae: Rocket Engine Test Possible, http://38north.org/2016/03/sohae030316/
<追記2>
コメントでもご指摘頂いたので、「元帥様」が噴射テストを見ていたと思われる建物の位置を訂正しておく。

Source: Google Earth
「元帥様」は「米帝をはじめとした敵対勢力に、もう一つの異なる形態の核攻撃を加えられる確固たる保証ができ、核には核で戦えるより強力な手段を持つに至った」と「大満足」したと。
「弾頭燃焼実験」、「固形燃料エンジン地上実験」、そして今回の「大出力エンジン地上実験」と、テストベンチでの実験をたくさん公開しているが、その理由を考えてみると、以下。
1.「太陽節」、「第7回党大会」など、大型行事を控え、実は、もう一度、ロケット打ち上げか核実験をやりたいのだが、その準備が経済的にも技術的にも間に合わない。一方、ロケットを噴出させたり、弾頭を焼くだけなら、比較的簡単に安くできる。国際的、特に韓国で大きく扱われることは承知の上。
2.ロケット発射や核実験の準備はできているものの、これ以上、中国を刺激するのは不適切と判断し、控えている。したがって、安保理制裁決議には直接的に抵触しない、「弾道ミサイル技術を使った」地上噴出実験を繰り返している。「発射」でなければ、問題ないという解釈であろう。だからこそ、「大陸間弾道弾」とはっきりと断っている。
3.韓国の総選挙に「北風」を送るため。北朝鮮は、総選挙絡みの朴槿恵個人攻撃のレベルを高めている。特に、8日に出された「民族和解協議会スポークスマン談話」は、聞いていると吹き出してしまうような内容となっている。韓国側でも、海外の北朝鮮レストランから13人が「脱北」し、韓国に到着しているとい事実を政府が公開した。一部の韓国メディアは、これを総選挙前の「北風」と報じているが、確かに、「新制裁決議後の脱北だから」という韓国政府の説明にはあまり説得力はない。新制裁で北朝鮮レストランの経営に影響が出るとすれば、金融制裁によりレストラン経営で発生した利益を北朝鮮に送金することが困難になったということぐらいであろうが、送金経路はいくらでもあるはずである。韓国政府は、韓国人に北レストランに行かないよう呼びかけているが、仮にその影響が出たとしても、韓国人観光客が北朝鮮レストランに大量に訪れるのは、白頭山観光期間、つまり夏期である。したがって、呼びかけに韓国国民が応えるのかどうかは、今年の夏が来なければ分からない。いずれにせよ、韓国も北朝鮮も「北風」を使っているわけだが、韓国民はどのような判断をするのだろうか。
今、「大出力ロケット実験」に関する初回報道を「朝鮮中央TV」で放送しているが、写真公開はない。準備中なのであろう。
『労働新聞』で写真が17枚公開された。ベージュのコート、茶色縁眼鏡着用に戻っている。

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo
<追記>
38 Northを読んでいたら、ロケットエンジンのテストベンチの場所が分かった。
発射台よりも遠く(約2.7km)、山の陰になるので、「元帥様」がいる管制センターからは直接見ることができない。そのため、「元帥様」はモニターの映像を見ている。

Source: Google Earth
山の向こうを眺める「元帥様」

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo
テストベンチ付近の様子

Source: Google Earth
なお、38 Northは、2016年3月3日、車両の動きなどから、今回のエンジンテストを予想していた。
38 North, Post-Launch Activity Observed at Sohae: Rocket Engine Test Possible, http://38north.org/2016/03/sohae030316/
<追記2>
コメントでもご指摘頂いたので、「元帥様」が噴射テストを見ていたと思われる建物の位置を訂正しておく。

Source: Google Earth