「北朝鮮がミサイル準備か 東倉里、近く発射可能性」:「光明星節」慶祝発射を臭わせる、中国の及び腰を見て、 (2016年1月28日 「共同通信」)
「共同通信」発の「北朝鮮、ミサイル発射準備」報道が各国のメディアで引用されている。同通信は「日本政府筋」としているだけで、具体的なソースは明らかにしていない。
軍事的な動きについては、各国の政府筋の情報公開を待つしかないが、2月上旬のロケット発射は時期的にはあり得る。2月16日が「光明星節(金正日誕生日)」なので、2月の第2週ぐらいに打ち上げておけば、「ロケット打ち上げ成功」の祝賀ムードの中、「光明星節」を迎えることができ、「元帥様」から「将軍様」への大きなプレゼントになることは間違いない。
しかし、「水爆実験完全成功」効果がまだ十分に効いているときに、敢えてロケットを打ち上げる必要があるのかという疑問は残る。『朝鮮中央TV」を見ていると、「水爆実験完全成功」と経済建設を結びつけ、「水爆実験完全成功の気勢で生産計画を前倒しにして、第7回労働党大会を迎えよう」というスローガンを流している。
もしロケット発射をするのであれば、4月の「太陽節」前後の方が、5月の「党大会」まで効果を維持し続けるという点では有効であろう。しかも、北朝鮮が「光明星3-2号」発射の際に主張していたように、「冬期の発射は難しい」のであればなおさらである。せっかくの「大成功」ムードに水を差さないよう4月まで待って成功する確率が高い気象条件の下で発射し、目に見える範囲で墜落や爆発でもしなければ、「大成功」としておけばよい。
今回、発射準備を臭わせているのは、安保理における対北朝鮮制裁の話し合いが中国の反対で上手くいっていないことを見越して、米国に圧力を掛けることを狙っているのかもしれない。米国務省定例記者会見や中国外務省定例記者会見でのやりとりを読むと、どうも中国は「安保理決議」までは賛成しているものの、追加制裁には反対しているような感じがする。26日と27日の中国外務省定例記者会見で、北朝鮮の核実験に関して米国務長官と中国外交部長との間でどのようなやりとりがなされたのかという質問が出され、報道官は「関連情報は追って公開される」(米国務省報道官も同様の発言)とした上で、「中国は朝鮮半島の非核化に不断努力をしてきており、それは各国に認識されている。しかし、中国一国ではそれを実現することができず、ある関係国(複数)が努力を怠っていることが、朝鮮半島の非核化の障害となっている」と間接的に米国を非難している。
Ministry of Foreign Affairs China, Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying's Regular Press Conference on January 27, 2016, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1335597.shtml
それだけではなく、『新華社』は、米国の「冷戦期的な米国の対北朝鮮敵対視政策が北朝鮮の非核化を困難にしている」と北朝鮮と同じ用語を使いながら米国を非難しているという報道もあり、一方で米国に対する揺さぶりを掛け、一方で中国の反応を見極めようとしているのかもしれない。北朝鮮は、「水爆実験」に寛容であった中国は、「ロケット発射」にはさらに寛容であると考えていることは間違いない。
Yahoo News, Reuters, U.S., China agree on need for new U.N. measure on North Korea, http://news.yahoo.com/u-china-must-way-forward-north-korea-south-033331064--business.html
Xinhua, Commentary: Kerry's China visit good opportunity to review U.S. policy on DPRK's nuclear issue, http://news.xinhuanet.com/english/2016-01/27/c_135049119.htm
軍事的な動きについては、各国の政府筋の情報公開を待つしかないが、2月上旬のロケット発射は時期的にはあり得る。2月16日が「光明星節(金正日誕生日)」なので、2月の第2週ぐらいに打ち上げておけば、「ロケット打ち上げ成功」の祝賀ムードの中、「光明星節」を迎えることができ、「元帥様」から「将軍様」への大きなプレゼントになることは間違いない。
しかし、「水爆実験完全成功」効果がまだ十分に効いているときに、敢えてロケットを打ち上げる必要があるのかという疑問は残る。『朝鮮中央TV」を見ていると、「水爆実験完全成功」と経済建設を結びつけ、「水爆実験完全成功の気勢で生産計画を前倒しにして、第7回労働党大会を迎えよう」というスローガンを流している。
もしロケット発射をするのであれば、4月の「太陽節」前後の方が、5月の「党大会」まで効果を維持し続けるという点では有効であろう。しかも、北朝鮮が「光明星3-2号」発射の際に主張していたように、「冬期の発射は難しい」のであればなおさらである。せっかくの「大成功」ムードに水を差さないよう4月まで待って成功する確率が高い気象条件の下で発射し、目に見える範囲で墜落や爆発でもしなければ、「大成功」としておけばよい。
今回、発射準備を臭わせているのは、安保理における対北朝鮮制裁の話し合いが中国の反対で上手くいっていないことを見越して、米国に圧力を掛けることを狙っているのかもしれない。米国務省定例記者会見や中国外務省定例記者会見でのやりとりを読むと、どうも中国は「安保理決議」までは賛成しているものの、追加制裁には反対しているような感じがする。26日と27日の中国外務省定例記者会見で、北朝鮮の核実験に関して米国務長官と中国外交部長との間でどのようなやりとりがなされたのかという質問が出され、報道官は「関連情報は追って公開される」(米国務省報道官も同様の発言)とした上で、「中国は朝鮮半島の非核化に不断努力をしてきており、それは各国に認識されている。しかし、中国一国ではそれを実現することができず、ある関係国(複数)が努力を怠っていることが、朝鮮半島の非核化の障害となっている」と間接的に米国を非難している。
Ministry of Foreign Affairs China, Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying's Regular Press Conference on January 27, 2016, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1335597.shtml
それだけではなく、『新華社』は、米国の「冷戦期的な米国の対北朝鮮敵対視政策が北朝鮮の非核化を困難にしている」と北朝鮮と同じ用語を使いながら米国を非難しているという報道もあり、一方で米国に対する揺さぶりを掛け、一方で中国の反応を見極めようとしているのかもしれない。北朝鮮は、「水爆実験」に寛容であった中国は、「ロケット発射」にはさらに寛容であると考えていることは間違いない。
Yahoo News, Reuters, U.S., China agree on need for new U.N. measure on North Korea, http://news.yahoo.com/u-china-must-way-forward-north-korea-south-033331064--business.html
Xinhua, Commentary: Kerry's China visit good opportunity to review U.S. policy on DPRK's nuclear issue, http://news.xinhuanet.com/english/2016-01/27/c_135049119.htm