「連続紀行 東海の名勝を訪ねて 第1回」:紀行兼バラエティー番組、北朝鮮らしからぬ正直な作り (2016年1月1日 「朝鮮中央TV」)
取りあえず日本語字幕を付けたのでYouTubeにアップロードしておいた。

Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/tGtSyt2lnEk
2016年1月1日、「朝鮮中央TV」で昨年放送した「連続紀行」シリーズ第1弾、「高麗人参を訪ねて-開城-」に続く、第2弾を放送した。第2回は、今日(1月2日)放送していた。昨日は、「新年の辞」があり、それに集中していたので、コメントにも若干書いたとおり、この番組は横目で映像をチラチラ眺める程度であった。とりあえず、ズレ問題を分析し(たつもり)、落ち着いたので、「祝砲発射」を軽く見て、この番組を見た。
「連続紀行」シリーズというので、昨年放送された「高麗人参を訪ねて-開城-」で開城の歴史や高麗人参の薬効について詳しく説明したように、この番組でも「東海」の歴史や産物を紹介するものと思っていたが、第1回では、「五福湯(オボクタン)」など、地方料理は若干紹介しているものの、内容の大部分は名勝地「チュンソクジョン」で開催される、夫婦対抗「宝探し」となっている。したがって、第1回の全体としての印象は、ドキュメンタリーというよりもバラエティーである。とはいえ、歌唱大会のような堅苦しい競争ではなく、日本のバラエティー番組的要素も見られる構成となっており、その点においては新しいスタイルの番組である。映像は、第1弾を引き継ぎ、自然の様子を長々と見せるなど、これも北朝鮮らしからぬ構成となっている。
拙ブログではまだ紹介していないが、過去は「アニマル・プラネット」などから持って来たと思われる海外映像を使った自然紹介番組がほとんどであったが、最近では北朝鮮の自然、特に鳥を紹介する番組を「児童放送時間」などに放送している。こちらの映像も、「アニマル・プラネット」に劣らぬレベルに向上しており、「朝鮮中央TV」が「思想・精神的」番組以外にも力を入れていることが分かる(だから、「新年の辞」のスイッチングをしくじったというわけでもないとは思うが)。
「連続紀行 東海の名勝を訪ねて 第1回」

Source: KCTV, 2016/01/01
また、「女子力」も十分に活用しており、「高麗人参を訪ねて」同様に、取材チームには美人の女性(カン・イルシム:朝鮮芸術映画撮影所俳優)を入れてある。下は、「五福湯」を試食する取材チームのカン。

Source: KCTV, 2016/01/01
その後、これ以外の取材シーンでは洋服を着ている。ジャンパーの下にバッチを着用しているためか、バッジは見えない。

Source: KCTV, 2016/01/01
取材チームは、元山を経て取材地に向かうが、「万景峰92号」もしっかりと見せている。しかし、港を見せるシーンなので、同船に関するコメントは一切ない。

Source: KCTV, 2016/01/01
元々は、「ソンドウォン」の取材に向かう予定だったが、6月はまだ海水浴シーズンではないので名勝地「チュンソクジョン」がある「トンチョン地方」に行くことにしたという設定である。ウォンサン市民。携帯電話で話す男性や笑いながら歩く女性を自然な感じで写している。やらせの可能性が高いが、北朝鮮らしからぬ雰囲気の「やらせ」である。

Source: KCTV, 2016/01/01

Source: KCTV, 2016/01/01
「トンチョン地方」で大型船でスケソウダラ漁をしている漁師にインタビューをする。海が荒れて、船が「80度傾く」とした上で、この人は「怖いです」と語っている。ナレーションも「海の人々の正直なこの話も」と言っているが、北朝鮮の番組では「決死で命令貫徹のために漁をする」といった勇猛果敢なことを言う人はいても、「怖い」などという人はほとんどいない。これも北朝鮮らしからぬ部分である。
また、この番組ではインタビューに関しては字幕が出ている。私でも理解できる程度なので、とりわけ強い方言で話しているわけではないにもかかわらず字幕を出しているということは、バラエティー性を高めるためなのか、海外への売り込みをしやすくするためなのかもしれない(もっとも、海外へはスクリプト付きで売るから字幕は必要ないのだろうが)。

Source: KCTV, 2016/01/01
「チョンソクチョン名勝地管理所 支配人 金ヨンギュ」は、ここには「年に数万人ほど観光客が来る」とし、「管理所では観光客のための遊戯娯楽競技を開催する」と語っている。

Source: KCTV, 2016/01/01
金支配人と歩く取材陣のカン・イルシム。このように、カメラの正面に敢えて別の被写体を入れてフォーカスを移動させるということも北朝鮮のテレビ番組ではほとんど見られない。

Source: KCTV, 2016/01/01
また、この番組ではカメラマンをアングルに入れたシーンを何カットも使っている。下のシーンなどは、低いアングルからインタビューをするカンとカメラマンを一緒に撮している。カメラマンを敢えてアングルに入れるということも北朝鮮の番組では普通はやらない。「高麗人参」番組がどうだったかは忘れてしまったので再度見なければならないが、覚えているのは、カメラマンに地元の人との山登り競技をさせていた。

Source: KCTV, 2016/01/01
話がそれたが、金支配人は、「この地を訪れ、夫婦仲が悪い夫婦の夫婦仲が良くなった」とし、定例的に開催している夫婦対抗競技を見せると言っている。競技に参加する夫婦は、新婚夫婦(左)と結婚10年の夫婦(右)である。競技種目は砂浜での自転車乗りと2種目の宝探しである。夫婦を紹介する下の静止画など、日本のバラエティー番組でも使えそうである。

Source: KCTV, 2016/01/01
北朝鮮のテレビ番組や映画では、夫婦であってもお互いの体を触ったり、手を繋いだりというシーンはあまり出てこない。しかし、この番組では、手を繋ぐ、腕を組む、夫が女性の体を押す(自転車競技で)といった身体接触がたくさん見られる。夫婦なのだから別に問題ないはずだが、俳優の演技としても、この番組のように形式的には一般人の行為としてもほとんど見ない。

Source: KCTV, 2016/01/01

Source: KCTV, 2016/01/01
カンの頭に松の葉が当たり痛がるところなど「女子力」は抜群である。

Source: KCTV, 2016/01/01
これも海外輸出を意識してか、新婚夫婦は、一眼レフらしきカメラを持ち、しゃれた帽子、サングラスを着用するなど、平均的な朝鮮人民(平壌市民であっても)以上のような雰囲気である。北朝鮮らしいというべきか、北朝鮮らしくないというべきか、悩んでしまう。

Source: KCTV, 2016/01/01
この他にも紹介したいことが色々あるのだが、動画の方がおもしろいと思う。残念ながら、約46分の番組なので日本語字幕を付けるには、しばらく時間がかかりそうだ。字幕無しはuriminzokkiriで見ることができるが、字幕付きはこちらの作業が完成するまでしばしお待ちを。「高麗人参-開城-」の第1部とだ2部は日本語字幕付きでYouTubeにアップロードしてあるので、正月番組に飽きたらどうぞ。
<追記>
「第2回」には、北朝鮮padも登場している。

Source: KCTV, 2016/01/02
北朝鮮padには、アワビ漁に関する昔の小説が表示されている。

Source: KCTV, 2016/01/02
「第3回」では、とうとう「朝鮮中央TV」のHDカメラが水中に入った。過去に水中映画撮影はあったかもしれないが、HDカメラの水中撮影はこれが初めてだと思う。防水カメラジャケットを調達したのかもしれない。ただし、水深は数メーター。私が持っている防水カメラでも十分に撮影できそうな深さである。潜水夫が「これ以上深いところに行っても、ナマコはいない」と言ったので、深い場所には行かなかったということになっている。

Source: KCTV, 2015/01/03放送中

Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/tGtSyt2lnEk
2016年1月1日、「朝鮮中央TV」で昨年放送した「連続紀行」シリーズ第1弾、「高麗人参を訪ねて-開城-」に続く、第2弾を放送した。第2回は、今日(1月2日)放送していた。昨日は、「新年の辞」があり、それに集中していたので、コメントにも若干書いたとおり、この番組は横目で映像をチラチラ眺める程度であった。とりあえず、ズレ問題を分析し(たつもり)、落ち着いたので、「祝砲発射」を軽く見て、この番組を見た。
「連続紀行」シリーズというので、昨年放送された「高麗人参を訪ねて-開城-」で開城の歴史や高麗人参の薬効について詳しく説明したように、この番組でも「東海」の歴史や産物を紹介するものと思っていたが、第1回では、「五福湯(オボクタン)」など、地方料理は若干紹介しているものの、内容の大部分は名勝地「チュンソクジョン」で開催される、夫婦対抗「宝探し」となっている。したがって、第1回の全体としての印象は、ドキュメンタリーというよりもバラエティーである。とはいえ、歌唱大会のような堅苦しい競争ではなく、日本のバラエティー番組的要素も見られる構成となっており、その点においては新しいスタイルの番組である。映像は、第1弾を引き継ぎ、自然の様子を長々と見せるなど、これも北朝鮮らしからぬ構成となっている。
拙ブログではまだ紹介していないが、過去は「アニマル・プラネット」などから持って来たと思われる海外映像を使った自然紹介番組がほとんどであったが、最近では北朝鮮の自然、特に鳥を紹介する番組を「児童放送時間」などに放送している。こちらの映像も、「アニマル・プラネット」に劣らぬレベルに向上しており、「朝鮮中央TV」が「思想・精神的」番組以外にも力を入れていることが分かる(だから、「新年の辞」のスイッチングをしくじったというわけでもないとは思うが)。
「連続紀行 東海の名勝を訪ねて 第1回」

Source: KCTV, 2016/01/01
また、「女子力」も十分に活用しており、「高麗人参を訪ねて」同様に、取材チームには美人の女性(カン・イルシム:朝鮮芸術映画撮影所俳優)を入れてある。下は、「五福湯」を試食する取材チームのカン。

Source: KCTV, 2016/01/01
その後、これ以外の取材シーンでは洋服を着ている。ジャンパーの下にバッチを着用しているためか、バッジは見えない。

Source: KCTV, 2016/01/01
取材チームは、元山を経て取材地に向かうが、「万景峰92号」もしっかりと見せている。しかし、港を見せるシーンなので、同船に関するコメントは一切ない。

Source: KCTV, 2016/01/01
元々は、「ソンドウォン」の取材に向かう予定だったが、6月はまだ海水浴シーズンではないので名勝地「チュンソクジョン」がある「トンチョン地方」に行くことにしたという設定である。ウォンサン市民。携帯電話で話す男性や笑いながら歩く女性を自然な感じで写している。やらせの可能性が高いが、北朝鮮らしからぬ雰囲気の「やらせ」である。

Source: KCTV, 2016/01/01

Source: KCTV, 2016/01/01
「トンチョン地方」で大型船でスケソウダラ漁をしている漁師にインタビューをする。海が荒れて、船が「80度傾く」とした上で、この人は「怖いです」と語っている。ナレーションも「海の人々の正直なこの話も」と言っているが、北朝鮮の番組では「決死で命令貫徹のために漁をする」といった勇猛果敢なことを言う人はいても、「怖い」などという人はほとんどいない。これも北朝鮮らしからぬ部分である。
また、この番組ではインタビューに関しては字幕が出ている。私でも理解できる程度なので、とりわけ強い方言で話しているわけではないにもかかわらず字幕を出しているということは、バラエティー性を高めるためなのか、海外への売り込みをしやすくするためなのかもしれない(もっとも、海外へはスクリプト付きで売るから字幕は必要ないのだろうが)。

Source: KCTV, 2016/01/01
「チョンソクチョン名勝地管理所 支配人 金ヨンギュ」は、ここには「年に数万人ほど観光客が来る」とし、「管理所では観光客のための遊戯娯楽競技を開催する」と語っている。

Source: KCTV, 2016/01/01
金支配人と歩く取材陣のカン・イルシム。このように、カメラの正面に敢えて別の被写体を入れてフォーカスを移動させるということも北朝鮮のテレビ番組ではほとんど見られない。

Source: KCTV, 2016/01/01
また、この番組ではカメラマンをアングルに入れたシーンを何カットも使っている。下のシーンなどは、低いアングルからインタビューをするカンとカメラマンを一緒に撮している。カメラマンを敢えてアングルに入れるということも北朝鮮の番組では普通はやらない。「高麗人参」番組がどうだったかは忘れてしまったので再度見なければならないが、覚えているのは、カメラマンに地元の人との山登り競技をさせていた。

Source: KCTV, 2016/01/01
話がそれたが、金支配人は、「この地を訪れ、夫婦仲が悪い夫婦の夫婦仲が良くなった」とし、定例的に開催している夫婦対抗競技を見せると言っている。競技に参加する夫婦は、新婚夫婦(左)と結婚10年の夫婦(右)である。競技種目は砂浜での自転車乗りと2種目の宝探しである。夫婦を紹介する下の静止画など、日本のバラエティー番組でも使えそうである。

Source: KCTV, 2016/01/01
北朝鮮のテレビ番組や映画では、夫婦であってもお互いの体を触ったり、手を繋いだりというシーンはあまり出てこない。しかし、この番組では、手を繋ぐ、腕を組む、夫が女性の体を押す(自転車競技で)といった身体接触がたくさん見られる。夫婦なのだから別に問題ないはずだが、俳優の演技としても、この番組のように形式的には一般人の行為としてもほとんど見ない。

Source: KCTV, 2016/01/01

Source: KCTV, 2016/01/01
カンの頭に松の葉が当たり痛がるところなど「女子力」は抜群である。

Source: KCTV, 2016/01/01
これも海外輸出を意識してか、新婚夫婦は、一眼レフらしきカメラを持ち、しゃれた帽子、サングラスを着用するなど、平均的な朝鮮人民(平壌市民であっても)以上のような雰囲気である。北朝鮮らしいというべきか、北朝鮮らしくないというべきか、悩んでしまう。

Source: KCTV, 2016/01/01
この他にも紹介したいことが色々あるのだが、動画の方がおもしろいと思う。残念ながら、約46分の番組なので日本語字幕を付けるには、しばらく時間がかかりそうだ。字幕無しはuriminzokkiriで見ることができるが、字幕付きはこちらの作業が完成するまでしばしお待ちを。「高麗人参-開城-」の第1部とだ2部は日本語字幕付きでYouTubeにアップロードしてあるので、正月番組に飽きたらどうぞ。
<追記>
「第2回」には、北朝鮮padも登場している。

Source: KCTV, 2016/01/02
北朝鮮padには、アワビ漁に関する昔の小説が表示されている。

Source: KCTV, 2016/01/02
「第3回」では、とうとう「朝鮮中央TV」のHDカメラが水中に入った。過去に水中映画撮影はあったかもしれないが、HDカメラの水中撮影はこれが初めてだと思う。防水カメラジャケットを調達したのかもしれない。ただし、水深は数メーター。私が持っている防水カメラでも十分に撮影できそうな深さである。潜水夫が「これ以上深いところに行っても、ナマコはいない」と言ったので、深い場所には行かなかったということになっている。

Source: KCTV, 2015/01/03放送中