「<訪問記>自力更生で発展する田舎の郡 -ウシ郡-」:慈江道の郡の発展様相を紹介する、チャンソン連席会議精神鼓舞 (2015年12月1日 「朝鮮中央TV」)
12月1日、「朝鮮中央TV」で慈江道の小さな郡の発展様相を伝えるドキュメンタリー番組が放送された。韓国・統一部のデータベースで調べると、同番組は11月初旬に2回放送されており、今回は3回目の再放送ということになる。
番組は、「朝鮮中央TV」の取材チームがウシ郡に行き、工場などを訪問しながら取材していくという形式になっている。その、ウシ郡であるが、Google Earthで場所を確認しておこう。番組でも紹介しているが、確かに慈江道の西の端に位置している。

Source: Google Earth
では、上空からウシ郡を見るとどうなっているのか。山と川(チュンマン江)に挟まれた町である。

Source: Google Earth
上空からはこんな感じであるが、番組では、ウシ郡には「地方産業工場」が多く建設され、住民は「暮らしが良い」と言っている。その最大の要因は、ウシ郡が「自分の力で建設した」発電所が生産する電力供給にあるようだ。前景と上空から見た「ウシ1号発電所」。

Source: KCTV, 2015/12/01

Source: Google Earth
2015年5月4日に撮影された写真では確認できないが、番組では「ウシ2号発電所」工事に取りかかっていると伝えている。番組でも「食料工場」の「作業班長」がインタビューの中で「生産が正常にできるのは電気のお陰」と言っているが、やはり北朝鮮経済のボトルネックとなっているのが電力供給ということなのであろう。ウシ郡の場合、郡の中心部を流れるチュンマン江を堰き止めてダムを造り、そこで発電を行っている。発電所は郡に隣接しており、送電ロスもほとんどない状態で電力供給が行われているのであろう。
発電機は3基あるようだ。残念ながら計器に表示されている数字が何を示しているのかは画像からは読み取ることができない。

Source: KCTV, 2015/12/01
下の計器板を見ると、もう少し発電状況が分かる。2つある電圧計は350V辺りを示しているが、これはそれぞれの発電機からの出力電圧なのであろう。上の電流計の数値は読み取りにくいが、0.2kAと0の中間辺りに針があるように見えので、100Aぐらいであろうか。そして、電力計が100kW、周波数計の中央値を北朝鮮で使用している60Hzとすると40Hzぐらいであろう。どこの数値を見ているのか分からないので何ともいえないが、電圧以外は数値が随分低く、特にそれぞれの電流計が100Aだとすると、全体で300Aにしかならない。日本の全国小水力利用推進協議会のHPで調べてみると、日本では1000kW以下の発電所を「小水力」と定義しているようである。
全国小水力利用推進協議会HP、「小水力発電とは」、http://j-water.org/about/

Source: KCTV, 2015/12/01
また、番組ではウシ郡が「チャンソン連席会議精神」を実現していると述べている。同精神は金日成が「地方党及び経済幹部チョンソン連席会議で述べた結論、1962年8月8日」(『社会主義経済管理問題について2』、朝鮮労働党出版社、1970)で述べた「郡の役割を強化して地方工業と農村経理をさらに発展させ、人民生活を一層高めよう」という精神である。まさにこの番組のタイトルにあるように「自力更生」精神である。実際、ウシ郡の建設に要した資金、資材、労働力をどのように確保したのかは分からない。北朝鮮ではしばしば「無から有を創造する」と言うが、現実的にはそんなことはできるはずがない。おそらくは、同郡はモデル郡として中央から少なからぬ支援を受けて経済建設を行ったはずである。それは、番組で紹介される工場が「3大赤旗戦取工場」であることからも分かる。
しかし、それが悪いと言うつもりはない。ある程度の経済支援をすることで地方の経済の歯車が回り出し、その後は「自力更生」でやっていけるようにすることが重要であるからだ。もし、「元帥様」が地方住民の「人民生活向上」を本当に考えているならば、適切な支援を中央から与え、それを漫然と消耗してしまうような党幹部を「教化所」に送り、ウシ郡の経験を活かせるような幹部を養成、場合によっては派遣し、大変困難ではあるが「自力更生」とバランスを取りながら地方経済を引き上げるしかないであろう。
実は、11月29日に白黒の『適当に仕事をした結果』という古い「朝鮮映画」を放映している。別記事で同映画については詳しく紹介しようと思っているが、この映画では「自力更生」を考えずに、適当に他人に頼って仕事をしている資材管理部門の課長を描いている。
「<訪問記>自力更生で発展する田舎の郡 -ウシ郡-」は、日本語字幕を付けてYouTubeにアップロードしておいた。

Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/kS2FKhOHSaI
番組は、「朝鮮中央TV」の取材チームがウシ郡に行き、工場などを訪問しながら取材していくという形式になっている。その、ウシ郡であるが、Google Earthで場所を確認しておこう。番組でも紹介しているが、確かに慈江道の西の端に位置している。

Source: Google Earth
では、上空からウシ郡を見るとどうなっているのか。山と川(チュンマン江)に挟まれた町である。

Source: Google Earth
上空からはこんな感じであるが、番組では、ウシ郡には「地方産業工場」が多く建設され、住民は「暮らしが良い」と言っている。その最大の要因は、ウシ郡が「自分の力で建設した」発電所が生産する電力供給にあるようだ。前景と上空から見た「ウシ1号発電所」。

Source: KCTV, 2015/12/01

Source: Google Earth
2015年5月4日に撮影された写真では確認できないが、番組では「ウシ2号発電所」工事に取りかかっていると伝えている。番組でも「食料工場」の「作業班長」がインタビューの中で「生産が正常にできるのは電気のお陰」と言っているが、やはり北朝鮮経済のボトルネックとなっているのが電力供給ということなのであろう。ウシ郡の場合、郡の中心部を流れるチュンマン江を堰き止めてダムを造り、そこで発電を行っている。発電所は郡に隣接しており、送電ロスもほとんどない状態で電力供給が行われているのであろう。
発電機は3基あるようだ。残念ながら計器に表示されている数字が何を示しているのかは画像からは読み取ることができない。

Source: KCTV, 2015/12/01
下の計器板を見ると、もう少し発電状況が分かる。2つある電圧計は350V辺りを示しているが、これはそれぞれの発電機からの出力電圧なのであろう。上の電流計の数値は読み取りにくいが、0.2kAと0の中間辺りに針があるように見えので、100Aぐらいであろうか。そして、電力計が100kW、周波数計の中央値を北朝鮮で使用している60Hzとすると40Hzぐらいであろう。どこの数値を見ているのか分からないので何ともいえないが、電圧以外は数値が随分低く、特にそれぞれの電流計が100Aだとすると、全体で300Aにしかならない。日本の全国小水力利用推進協議会のHPで調べてみると、日本では1000kW以下の発電所を「小水力」と定義しているようである。
全国小水力利用推進協議会HP、「小水力発電とは」、http://j-water.org/about/

Source: KCTV, 2015/12/01
また、番組ではウシ郡が「チャンソン連席会議精神」を実現していると述べている。同精神は金日成が「地方党及び経済幹部チョンソン連席会議で述べた結論、1962年8月8日」(『社会主義経済管理問題について2』、朝鮮労働党出版社、1970)で述べた「郡の役割を強化して地方工業と農村経理をさらに発展させ、人民生活を一層高めよう」という精神である。まさにこの番組のタイトルにあるように「自力更生」精神である。実際、ウシ郡の建設に要した資金、資材、労働力をどのように確保したのかは分からない。北朝鮮ではしばしば「無から有を創造する」と言うが、現実的にはそんなことはできるはずがない。おそらくは、同郡はモデル郡として中央から少なからぬ支援を受けて経済建設を行ったはずである。それは、番組で紹介される工場が「3大赤旗戦取工場」であることからも分かる。
しかし、それが悪いと言うつもりはない。ある程度の経済支援をすることで地方の経済の歯車が回り出し、その後は「自力更生」でやっていけるようにすることが重要であるからだ。もし、「元帥様」が地方住民の「人民生活向上」を本当に考えているならば、適切な支援を中央から与え、それを漫然と消耗してしまうような党幹部を「教化所」に送り、ウシ郡の経験を活かせるような幹部を養成、場合によっては派遣し、大変困難ではあるが「自力更生」とバランスを取りながら地方経済を引き上げるしかないであろう。
実は、11月29日に白黒の『適当に仕事をした結果』という古い「朝鮮映画」を放映している。別記事で同映画については詳しく紹介しようと思っているが、この映画では「自力更生」を考えずに、適当に他人に頼って仕事をしている資材管理部門の課長を描いている。
「<訪問記>自力更生で発展する田舎の郡 -ウシ郡-」は、日本語字幕を付けてYouTubeにアップロードしておいた。

Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/kS2FKhOHSaI