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    「北南労働者サッカー大会開催」:対南関係改善の兆し (2015年10月29日 「朝鮮中央通信」)

    29日、「朝鮮中央通信」が、北南の労働団体間のサッカー試合が行われたと報じた。書かなければならないとは思っていたのだが、このところの「青峰」、「功勲・モランボン」、「1万人大公演」で盛り上がってしまい、こちらの記事が書けなかった。

    8月の地雷事件、その問題を協議するための「北南高位級緊急接触」、そして金剛山での離散家族再会、そして今回の韓国政府が許可した労働者団体間のサッカー試合、関係改善に向けた順調な流れである。

    その系で、遅ればせながら2015年10月中旬に朴槿恵が米国を訪問し、16日にオバマと共に行った共同記者会見のビデオを見た。

    the WHITE HOUSE, "Remarks by President Obama and President Park of the Republic of Korea in Joint Press Conference", https://www.whitehouse.gov/videos/2015/October/101615_JointPressConference.mp4

    日本のメディアでは、「『北朝鮮の核開発認めない』米韓首脳会談で声明」などと報じているが*、確かにオバマが「朴大統領と私は、北朝鮮を核保有国と認めない」と発言はしているものの、朴槿恵は北朝鮮を刺激する言葉は上手く避けている。

    *例えば、
    AABニュース、、「『北朝鮮の核開発認めない』米韓首脳会談で声明」、https://www.aab-tv.co.jp/news/ann_shownews.php?id=000060711&cat=4

    特に、「並進路線」に直接的な言及をすることもなく、また「人権」にも触れていない。私は、共同記者会見のビデオを見ることなく過去記事を書いたので、日本の報道だけを受け、北朝鮮が韓国に対して激怒するものと予想したのだが、このことに対し、北朝鮮はほとんど反応をしなかった。

    しかし、今日、ビデオを見てみると、朴槿恵が自制していることがはっきりと分かる。言うべきことはオバマに言わせているものの、彼女の口からは「最高尊厳」を冒涜するような言葉はほとんど出していない。せいぜい習近平の言葉を引用しながら「北朝鮮の核が、東北アジアやユーラシアの発展を阻害している」と述べているだけである。朴槿恵ははっきり言わなかったが、これぞ習近平の「一帯一路」の東の起点のことで、本当ならば韓国を起点にしたいのだが、北朝鮮のせいで起点とできないという発想に繋がっているし、朴槿恵にそのようなことを言ったはずである。

    また、10月24日にNLL付近で発生した韓国軍艦船による人民軍警備艇に対する警告射撃についても、「南朝鮮軍部好戦狂共が衝撃的な事件をでっち上げ、対決を追い求める悪習を捨てることができず、無謀な軍事的妄動にしがみつき続けるなら、予測できない武力衝突が発生し、北南関係が再び8月合意以前の極端な状況に至る」と警告はしているものの、この警告も「軍事委員会」や「西部地区司令部」により出されたものではなく、「祖国平和統一委員会スポークスマン回答」の形を取っている。北朝鮮側の事態をエスカレートさせたくないという意の表れであろう。

    『労働新聞』、「북남관계가 파국에 처하게 되는 경우 그 책임은 전적으로 남조선당국이 지게 될것이다 조국평화통일위원회 대변인대답」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2015-10-26-0031

    そんな中、韓国当局は「韓国労総」と「民主労総」が訪朝し、サッカー交流をすることを許可した。試合は「韓国労総」チームと北朝鮮の「職総タバコ連合」チーム、韓国「民主労総」チームと北朝鮮「労総主と建設」チーム間で行われ、両試合で北朝鮮チームが勝った。恐らく、北朝鮮チームはセミプロ、韓国チームはアマチュアレベルではなかったのだろうか。そのうちに試合の様子は「朝鮮中央TV」で放送されるであろうから、それを見れば実力の差は把握できると思う。

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    Source: 『労働新聞』、「민족의 화해와 단합,평화와 통일을 위한 북남로동자축구대회 진행」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2015-10-30-0023

    南北朝鮮がお互いに自制し、南北関係が改善することはよいことである。しかし、この関係改善の立役者は、どうも中国のような気がしてならない。「抗日戦争記念行事」で朴槿恵を大歓待、崔龍海を冷遇し、「中国は韓国の見方ですよ」とばかり振る舞い、「労働党創建70周年記念行事」出席者を巡り北朝鮮にプレッシャーを掛け、「(当面の)核・ロケット実験中断」と南北関係改善への努力の約束を取り付けた上で、劉雲山を派遣して金正恩と友好関係を演出する。もちろん、裏では経済的なご褒美の約束もなされたことであろう。

    ワシントンでの合同記者会見では、韓国記者が「米朝関係に(中国のせいで)ヒビが入っているのでは」と質問したが、オバマは「中国と韓国が良好な関係にあることはよいことだ・・・しかし、中国が国際ルールに違反したときは、はっきりと発言すべきである」と語っていた。そして、南シナ海で緊張が高まる中、韓国は立場を明確にすることを一旦留保。どうするつもりなのだろうか。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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