『朝鮮労働党創建70周年慶祝青峰楽団公演」:舞台上で新曲披露、「米帝」楽曲連続、「退廃的」でjazzyなアレンジ、ロシア語も、歌唱力では「国宝級」 (2015年10月18日 「朝鮮中央TV」)
18日夜、学会から帰宅したところ、「青峰楽団」公演を「朝鮮中央TV」で放送していた。開始後30分ほど経過してから見始めた。見ながら、ツイッター風の書き込みをしていったが、きちんと整理しておく。『その方は母』も次の歌との連結部分の早口のアレンジなどがおもしろい。
暗くてよく見えないが、劉雲山など中国代表団が観覧したときの公演かも知れない。夫婦で座っている劉雲山らしき人物が写っている。
アレンジは「モランボン楽団」とだいぶ違うようだ。例えば、『高くたなびけ我々の党旗』などかなり速いテンポで軽快に歌っている。「モランボン楽団」バージョンは、もっと荘厳な感じだった。
女性重唱であっても歌手名を出したり出さなかったりしているが、この基準が今ひとつ分からない。YouTubeに字幕を付けながらのことなので、きちんと確認できないが、既出の歌手名は出していないだけなのかも知れない。
聞き始めてからしばらく経ったところで、同楽団の新曲『戦争の3年間』を演奏した。同楽団の新曲として既にリリースされていた曲ではあるが、「朝鮮中央TV」で放送された舞台演奏はこれが初めて。
重い内容の『戦争の3年間』が終わった直後に「外国曲」を連続演奏。その1曲目が、「米帝」の曲『おお、スザンナ』。1948年に発表された「白人アメリカ人の音楽、アフリカン・アメリカンの音楽を融合させた、最も有名なアメリカの歌」(wikipedia)とのことであるが、「世界名曲」に登録されているのであろう。雰囲気的には「敗退的」な曲を朝鮮語で歌う。
観客の外国人カップルは微笑み、隣の朝鮮人(と思われる女性)も微笑んでる。「元帥様」の国際性をアピールするためにこのカットを入れたのだろう。確かに、「元帥様」やってくれる。
続いて『草競馬(Camptown Races)』、朝鮮語では「田舎の競馬」とされている。フォスターが1950年作曲した。「hey!」というかけ声でこの曲は終わる。マリリン・モンローもびっくりしそうだ。
続いて、ロシア曲をロシア語で歌う。朝鮮語タイトルは「動き回る鳥」。歌詞は革命的さを装っっているが、「飛行機の次は処女」という歌。(処女:未婚の女性)。本来のロシアでの演奏がどうなのかは分からないが、こちらもjazzyなアレンジとなっている。こちらは、YouTubeにアップロードした動画に日本語訳を付けておいた。
再び米国曲に戻り「Red River Valley」。朝鮮語訳は「レッド(英語の音訳)江の谷」。北朝鮮の解釈では、西部開拓は「米帝がインディアンを虐殺しながら進めた侵略行為」となっているが、この曲はその西部開拓中に白人がインディアン女性と恋に落ちたという歌詞。北朝鮮的には「米帝が原住民を奴隷にして強姦した」とでもなりそうなのだが、この歌を歌っている。追って、朝鮮語訳がどうなっているのか、確認して紹介することにする。
『レッド江の渓谷』(Red River Valley) 朝鮮語訳された歌詞からの和訳
<追記>朝鮮語訳があまりにもきれいなので、それも追記しておく
去って行くあなたを眺めながら (떠나는 그대를 바라보며)
幸福だったその頃が懐かしい(행복의 그시절을 그리네)
愛を約束したこの場所で(사랑을 약속한 이곳에서)
別れの挨拶を交わす(작별의 인사를 나누네)
あなた、ちょっと待って下さい(그대여 잠깐만 기다려요)
ここを忘れないで下さい(여기를 잊지 마시라)
あなたを熱く愛した(그대를 뜨겁게 사랑했던)
娘を忘れないで下さい(처녀를 잊지 마세요)
娘を忘れないで下さい(처녀를 잊지 마세요)
愛が去って行ったこの渓谷(사랑이 떠나간 이골짝기)
永遠に忘られない(영원히 잊지 못하리)
離別の悲しみを深く刻み(리별의 슬픔 깊이 새겨)
愛は追憶となっていく(사랑은 추억에 주어여)
あなた、ちょっと待って下さい(그대여 잠깐만 기다려요)
ここを、ここを忘れないで(이곳을 이곳을 잊지 마시라)
あなたを熱く愛した(그대를 뜨겁게 사랑했던)
娘を忘れないで下さい(처녀를 잊지 마세요)
忘れないで下さい(잊지 마세요)
英語の歌詞は複数バージョンがあるようだが、全体をまとめた意訳がされている。
英語歌詞の1番だけを訳してみると、
From this valley they say you are leaving (この谷からあなたは去って行くそうね)
We shall miss your bright eyes and sweet smile (あなたの明るい目と優しい笑顔をもう見られないのね)
For you take with you all of the sunshine (あなたが私たちの前途をちょっとの間だけ照らした)
That has brightened our pathway a while (太陽の光を持って行ってしまうからね)
こんな感じになる。まあ、朝鮮語訳もきれいだから良いことにしよう。
<追記>日・朝・英(朝鮮語からのリバース翻訳)を付けた動画もアップロードしておいた。
https://www.youtube.com/watch?v=Y6FYe23xQaU
続けて「オールド・ブラック・ジョー」。朝鮮語訳は「黒人じいさんのジョー」。フォスター作曲。フォスターの歌曲は、「世界名曲」に登録されたのだろう。この曲にもきれいな訳詞が付けられているが、これはいずれ。ボサノバ調のリズムもよい。
これなら、国際市場で勝負できるのでは。「モランボン楽団」は、「外国の歌を歌いました」という感じだったが、こちらはデビューがモスクワだったことからしても、海外での売り込みを考えている楽団ではないだろうか。今回は歌わなかったが、英語での歌唱も十分に可能だと思う。
再びロシア曲が入り、朝鮮曲へと戻る。
それにしても、これだけ「米帝」の歌曲を入れているのは、「足は朝鮮に置き、目は世界を」という「将軍様」のスローガンを元帥様が実行しているという国内向け宣伝と、米国に対するメッセージが含まれている可能性もある。おりしも、「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン声明」が出され、「停戦協定を平和協定へ切り替えよ。さもなくば核抑止力はさらに強化する」と威嚇している。
「モランボン楽団」の時もそうだったが、初回の公演で「外国曲」を連発し、世界の耳目を集中させるという手法を「青峰楽団」にも援用している可能性はある。そのため、今後の公演の楽曲構成に注目する必要がある。
YouTubeに昨夜の放送をアップロードしておいた。タイトルのみ日本語字幕。

Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/KfukzVuNuVc
<追記>
別記事にした方がよいかもしれないが、19日、『労働新聞』などが、「元帥様」が李雪主夫人らと共に「青峰楽団」公演を観覧したと伝えた。「元帥様」と共に「モランボン楽団」、「功勲国家合唱団」の他に、大同江公演に参加した「旺載山楽団」など、過去に活躍した楽団員も観覧している。「元帥様」の周りは、「モランボン楽団員」がしっかりと囲んでいるが、お目付役の李雪主同志は少し髪型を変えて「元帥様」の横に座っている。
ちなみに、写真を見る限りでは、ソヌはいない。ソヌが「モランボン楽団」メンバーから外された可能性がかなり高くなってきた(ほぼ100%だと思っている)。その他の団員の入れ替えは確認していない。
それにしても「青峰楽団」公演を皆に見せているのは、力の入れ所を「モランボン楽団」から「青峰楽団」へと切り替えたのかもしれない。「モランボン楽団」を「功勲国家合唱団」と合同公演としたのも、その表れかもしれない。
上にたくさん書いたように、「青峰楽団」は、歌唱力では「モランボン楽団」の上ではないだろうか。それに、外国歌曲を歌う実力も高い。
ロシア公演の次の海外公演が北京となるのかどうか。「元帥様」の中国訪問も絡み、次の訪問先が決まってくるのであろう。もしかすると、シンガポール辺りでやるのかもしれない。
「青峰楽団公演」を観覧する「元帥様」と「モランボン楽団員」など

Source: KCNA
デレデレの「元帥様」と微笑みながらも顔が引きつらせ「元帥様」のお腹を抱える李雪主夫人。これぞ、「高射砲」で銃殺される予備軍では。

Source: KCTV, 2015/10/19放送
<追記2>
「モランボン楽団」の新曲放送中。
<追記3>
改めて「青峰」を聞いていたのだが、「モランボン楽団」の持ち歌、『千里でも、万里でも』をアレンジを変えて歌わせている。これもなかなかよい。現行楽団の持ち歌、しかも新曲を持ち合うということは、これまでもあったのだろうか。
暗くてよく見えないが、劉雲山など中国代表団が観覧したときの公演かも知れない。夫婦で座っている劉雲山らしき人物が写っている。
アレンジは「モランボン楽団」とだいぶ違うようだ。例えば、『高くたなびけ我々の党旗』などかなり速いテンポで軽快に歌っている。「モランボン楽団」バージョンは、もっと荘厳な感じだった。
女性重唱であっても歌手名を出したり出さなかったりしているが、この基準が今ひとつ分からない。YouTubeに字幕を付けながらのことなので、きちんと確認できないが、既出の歌手名は出していないだけなのかも知れない。
聞き始めてからしばらく経ったところで、同楽団の新曲『戦争の3年間』を演奏した。同楽団の新曲として既にリリースされていた曲ではあるが、「朝鮮中央TV」で放送された舞台演奏はこれが初めて。
重い内容の『戦争の3年間』が終わった直後に「外国曲」を連続演奏。その1曲目が、「米帝」の曲『おお、スザンナ』。1948年に発表された「白人アメリカ人の音楽、アフリカン・アメリカンの音楽を融合させた、最も有名なアメリカの歌」(wikipedia)とのことであるが、「世界名曲」に登録されているのであろう。雰囲気的には「敗退的」な曲を朝鮮語で歌う。
観客の外国人カップルは微笑み、隣の朝鮮人(と思われる女性)も微笑んでる。「元帥様」の国際性をアピールするためにこのカットを入れたのだろう。確かに、「元帥様」やってくれる。
続いて『草競馬(Camptown Races)』、朝鮮語では「田舎の競馬」とされている。フォスターが1950年作曲した。「hey!」というかけ声でこの曲は終わる。マリリン・モンローもびっくりしそうだ。
続いて、ロシア曲をロシア語で歌う。朝鮮語タイトルは「動き回る鳥」。歌詞は革命的さを装っっているが、「飛行機の次は処女」という歌。(処女:未婚の女性)。本来のロシアでの演奏がどうなのかは分からないが、こちらもjazzyなアレンジとなっている。こちらは、YouTubeにアップロードした動画に日本語訳を付けておいた。
再び米国曲に戻り「Red River Valley」。朝鮮語訳は「レッド(英語の音訳)江の谷」。北朝鮮の解釈では、西部開拓は「米帝がインディアンを虐殺しながら進めた侵略行為」となっているが、この曲はその西部開拓中に白人がインディアン女性と恋に落ちたという歌詞。北朝鮮的には「米帝が原住民を奴隷にして強姦した」とでもなりそうなのだが、この歌を歌っている。追って、朝鮮語訳がどうなっているのか、確認して紹介することにする。
『レッド江の渓谷』(Red River Valley) 朝鮮語訳された歌詞からの和訳
<追記>朝鮮語訳があまりにもきれいなので、それも追記しておく
去って行くあなたを眺めながら (떠나는 그대를 바라보며)
幸福だったその頃が懐かしい(행복의 그시절을 그리네)
愛を約束したこの場所で(사랑을 약속한 이곳에서)
別れの挨拶を交わす(작별의 인사를 나누네)
あなた、ちょっと待って下さい(그대여 잠깐만 기다려요)
ここを忘れないで下さい(여기를 잊지 마시라)
あなたを熱く愛した(그대를 뜨겁게 사랑했던)
娘を忘れないで下さい(처녀를 잊지 마세요)
娘を忘れないで下さい(처녀를 잊지 마세요)
愛が去って行ったこの渓谷(사랑이 떠나간 이골짝기)
永遠に忘られない(영원히 잊지 못하리)
離別の悲しみを深く刻み(리별의 슬픔 깊이 새겨)
愛は追憶となっていく(사랑은 추억에 주어여)
あなた、ちょっと待って下さい(그대여 잠깐만 기다려요)
ここを、ここを忘れないで(이곳을 이곳을 잊지 마시라)
あなたを熱く愛した(그대를 뜨겁게 사랑했던)
娘を忘れないで下さい(처녀를 잊지 마세요)
忘れないで下さい(잊지 마세요)
英語の歌詞は複数バージョンがあるようだが、全体をまとめた意訳がされている。
英語歌詞の1番だけを訳してみると、
From this valley they say you are leaving (この谷からあなたは去って行くそうね)
We shall miss your bright eyes and sweet smile (あなたの明るい目と優しい笑顔をもう見られないのね)
For you take with you all of the sunshine (あなたが私たちの前途をちょっとの間だけ照らした)
That has brightened our pathway a while (太陽の光を持って行ってしまうからね)
こんな感じになる。まあ、朝鮮語訳もきれいだから良いことにしよう。
<追記>日・朝・英(朝鮮語からのリバース翻訳)を付けた動画もアップロードしておいた。
https://www.youtube.com/watch?v=Y6FYe23xQaU
続けて「オールド・ブラック・ジョー」。朝鮮語訳は「黒人じいさんのジョー」。フォスター作曲。フォスターの歌曲は、「世界名曲」に登録されたのだろう。この曲にもきれいな訳詞が付けられているが、これはいずれ。ボサノバ調のリズムもよい。
これなら、国際市場で勝負できるのでは。「モランボン楽団」は、「外国の歌を歌いました」という感じだったが、こちらはデビューがモスクワだったことからしても、海外での売り込みを考えている楽団ではないだろうか。今回は歌わなかったが、英語での歌唱も十分に可能だと思う。
再びロシア曲が入り、朝鮮曲へと戻る。
それにしても、これだけ「米帝」の歌曲を入れているのは、「足は朝鮮に置き、目は世界を」という「将軍様」のスローガンを元帥様が実行しているという国内向け宣伝と、米国に対するメッセージが含まれている可能性もある。おりしも、「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン声明」が出され、「停戦協定を平和協定へ切り替えよ。さもなくば核抑止力はさらに強化する」と威嚇している。
「モランボン楽団」の時もそうだったが、初回の公演で「外国曲」を連発し、世界の耳目を集中させるという手法を「青峰楽団」にも援用している可能性はある。そのため、今後の公演の楽曲構成に注目する必要がある。
YouTubeに昨夜の放送をアップロードしておいた。タイトルのみ日本語字幕。

Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/KfukzVuNuVc
<追記>
別記事にした方がよいかもしれないが、19日、『労働新聞』などが、「元帥様」が李雪主夫人らと共に「青峰楽団」公演を観覧したと伝えた。「元帥様」と共に「モランボン楽団」、「功勲国家合唱団」の他に、大同江公演に参加した「旺載山楽団」など、過去に活躍した楽団員も観覧している。「元帥様」の周りは、「モランボン楽団員」がしっかりと囲んでいるが、お目付役の李雪主同志は少し髪型を変えて「元帥様」の横に座っている。
ちなみに、写真を見る限りでは、ソヌはいない。ソヌが「モランボン楽団」メンバーから外された可能性がかなり高くなってきた(ほぼ100%だと思っている)。その他の団員の入れ替えは確認していない。
それにしても「青峰楽団」公演を皆に見せているのは、力の入れ所を「モランボン楽団」から「青峰楽団」へと切り替えたのかもしれない。「モランボン楽団」を「功勲国家合唱団」と合同公演としたのも、その表れかもしれない。
上にたくさん書いたように、「青峰楽団」は、歌唱力では「モランボン楽団」の上ではないだろうか。それに、外国歌曲を歌う実力も高い。
ロシア公演の次の海外公演が北京となるのかどうか。「元帥様」の中国訪問も絡み、次の訪問先が決まってくるのであろう。もしかすると、シンガポール辺りでやるのかもしれない。
「青峰楽団公演」を観覧する「元帥様」と「モランボン楽団員」など

Source: KCNA
デレデレの「元帥様」と微笑みながらも顔が引きつらせ「元帥様」のお腹を抱える李雪主夫人。これぞ、「高射砲」で銃殺される予備軍では。

Source: KCTV, 2015/10/19放送
<追記2>
「モランボン楽団」の新曲放送中。
<追記3>
改めて「青峰」を聞いていたのだが、「モランボン楽団」の持ち歌、『千里でも、万里でも』をアレンジを変えて歌わせている。これもなかなかよい。現行楽団の持ち歌、しかも新曲を持ち合うということは、これまでもあったのだろうか。