インド映画 『TEZZ』:「平壌国際映画会館」で不法入国した韓国系米国旅券所持者が見たという映画 (2015年10月2日)
過去記事にも書いたように、北朝鮮に不法入国し逮捕された韓国系米国旅券を所持したニューヨーク大学の学生、チュ・ウォンムン(21)が「平壌国際映画会館」で見たというインド映画を見てみた。

DVDは、インド製品を扱うネット通販点より入手した。人民帽に着いてるバッジはオマケではないが、インドの系グッズのおまけが送られてきた。
DVDの音声と字幕は英語かヒンディー語。ヒンディー語は分からないので、英語で見た。以下、ストーリーと北朝鮮で上映した場合、どういうことになるのかについて書くことにする。一言で言って、おもしろい映画である。
<ストーリー>
舞台はイギリスのロンドン。イギリスで不法就労し、イギリス警察に逮捕され強制送還されたインド人男性と、男性の子供を妊ったインド人妻。逮捕の際に、男性も妻もイギリス警察から暴行を受ける(妻は、詐欺罪にされ刑務所に送られる)。この男性がイギリスに戻り(その過程は不明)、イギリスの特急列車に爆弾を仕掛けたと脅迫し、インド系のテロ対策班英国警官がこの男を追う。
<北朝鮮で上映して良い点>
・資本主義国の医療制度では高額の治療費が必要で、それが支払えない場合は、治療を受けることができないというシーンがある。社会主義無償医療の優越性の宣伝となる。
・資本主義国家の警察の弱者に対する野蛮さを見せられる。
・インド人がイギリスに不法に来るような状況を作り出した背景には、イギリス帝国主義がある。
・イギリス人は、第三諸国人民(この場合はインド人)を見下している。
<北朝鮮で上映して悪「そうな」点>
・インド女性が腹部を露出して、腰を動かす女性の踊りがセクシーすぎる。(北朝鮮で仮にこの映画が本当に上映されていたとしても、この場面は確実にカットされているはず)。
・資本主義国の豊かな暮らしぶりを見ることができる。
・インド映画のクオリティーの高さが目立ちすぎる。「朝鮮中央TV」で放映される、ソ連映画や中国映画とは完全に異質なものであるし、新しく作られた北朝鮮のテレビドラマや「芸術映画」よりも質が高いし、内容もおもしろい(おそらく、朝鮮人民にとっても)。
<最大の問題点>
・なぜ、インド人がイギリスに「脱インド」するのか。映画では、イギリス当局(受け入れ側)がそれを認めず、インド側からは生活をするために「脱インド者」がたくさんいるところを見せている。→脱北者を中国が受け入れないのと、理由は異なるが結果は同じ。
・さらに、「脱インド」をする理由は、インドでは「豊かな暮らしができない」からだということになっている。→「脱北」の主要な理由に繋がる。
・また、自分の家族の幸せのために、なぜ「脱インド」をしてイギリスで(不法であっても)働いてはいけないのかが問題になっている。→体制に反対するのではなく、家族の幸せのために「脱北」しているのに、強制送還する中国の無慈悲さにつながる。
インド料理の店に時々行くが、そこで見るインド映画は延々と歌と踊りが続く。しかし、この映画は、若干歌と踊りのシーンが多いながらも、基本的にはサスペンスものであり、実のところ、インドにもこんなにおもしろい映画があるのかと驚いた。朝鮮人民のインドに対する認識は今一つ分からないが、「平壌国際映画会館」で本当に朝鮮人民に公開されているのであれば、内容とクオリティー的にはハリウッド映画(の少しチープなもの)と互角である。ということは、北朝鮮映画のある意味「つまらなさ」が目立ってしまうはずである。繰り返すが、「朝鮮中央TV」で放映される旧ソ連映画や中国映画とは別物である。
「平壌国際映画開館」が外国人と一部エリート専用であればさほど問題はないが、いくら平壌市民であっても刺激が強すぎるような気がする。

DVDは、インド製品を扱うネット通販点より入手した。人民帽に着いてるバッジはオマケではないが、インドの系グッズのおまけが送られてきた。
DVDの音声と字幕は英語かヒンディー語。ヒンディー語は分からないので、英語で見た。以下、ストーリーと北朝鮮で上映した場合、どういうことになるのかについて書くことにする。一言で言って、おもしろい映画である。
<ストーリー>
舞台はイギリスのロンドン。イギリスで不法就労し、イギリス警察に逮捕され強制送還されたインド人男性と、男性の子供を妊ったインド人妻。逮捕の際に、男性も妻もイギリス警察から暴行を受ける(妻は、詐欺罪にされ刑務所に送られる)。この男性がイギリスに戻り(その過程は不明)、イギリスの特急列車に爆弾を仕掛けたと脅迫し、インド系のテロ対策班英国警官がこの男を追う。
<北朝鮮で上映して良い点>
・資本主義国の医療制度では高額の治療費が必要で、それが支払えない場合は、治療を受けることができないというシーンがある。社会主義無償医療の優越性の宣伝となる。
・資本主義国家の警察の弱者に対する野蛮さを見せられる。
・インド人がイギリスに不法に来るような状況を作り出した背景には、イギリス帝国主義がある。
・イギリス人は、第三諸国人民(この場合はインド人)を見下している。
<北朝鮮で上映して悪「そうな」点>
・インド女性が腹部を露出して、腰を動かす女性の踊りがセクシーすぎる。(北朝鮮で仮にこの映画が本当に上映されていたとしても、この場面は確実にカットされているはず)。
・資本主義国の豊かな暮らしぶりを見ることができる。
・インド映画のクオリティーの高さが目立ちすぎる。「朝鮮中央TV」で放映される、ソ連映画や中国映画とは完全に異質なものであるし、新しく作られた北朝鮮のテレビドラマや「芸術映画」よりも質が高いし、内容もおもしろい(おそらく、朝鮮人民にとっても)。
<最大の問題点>
・なぜ、インド人がイギリスに「脱インド」するのか。映画では、イギリス当局(受け入れ側)がそれを認めず、インド側からは生活をするために「脱インド者」がたくさんいるところを見せている。→脱北者を中国が受け入れないのと、理由は異なるが結果は同じ。
・さらに、「脱インド」をする理由は、インドでは「豊かな暮らしができない」からだということになっている。→「脱北」の主要な理由に繋がる。
・また、自分の家族の幸せのために、なぜ「脱インド」をしてイギリスで(不法であっても)働いてはいけないのかが問題になっている。→体制に反対するのではなく、家族の幸せのために「脱北」しているのに、強制送還する中国の無慈悲さにつながる。
インド料理の店に時々行くが、そこで見るインド映画は延々と歌と踊りが続く。しかし、この映画は、若干歌と踊りのシーンが多いながらも、基本的にはサスペンスものであり、実のところ、インドにもこんなにおもしろい映画があるのかと驚いた。朝鮮人民のインドに対する認識は今一つ分からないが、「平壌国際映画会館」で本当に朝鮮人民に公開されているのであれば、内容とクオリティー的にはハリウッド映画(の少しチープなもの)と互角である。ということは、北朝鮮映画のある意味「つまらなさ」が目立ってしまうはずである。繰り返すが、「朝鮮中央TV」で放映される旧ソ連映画や中国映画とは別物である。
「平壌国際映画開館」が外国人と一部エリート専用であればさほど問題はないが、いくら平壌市民であっても刺激が強すぎるような気がする。