FC2ブログ

    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話」:安保法案参院決議を非難、金日成総合大学の先生との話し、「総連弾圧」と「安保法案」 (2015年9月20日 「労働新聞」)

    9月20日の『労働新聞』に日本の安保法案参院決議を非難する北朝鮮「外務省スポークスマン談話」が掲載された。別記事にも書いたように、金日成総合大学の先生と「少しだけ」ではあるが、話をする機会があった。20日のことであるが、「日本の情勢はどうか」と聞かれたので、安保関連法案の話しをしたら「『労働新聞』にはそのことは出ていなかった。総連弾圧のことが出ていたが」と言われた。

    「総連弾圧」については、過去記事にも書いたとおり北朝鮮の論調は知っていたので、「テロ」とは言わなかったものの、「政治的なもの」と言っておいた。金日成総合大学の先生が、「捜索をするには、捜査令状が必要じゃないか」と言ったので、「捜索令状は当然あったはず」だが、「捜索令状を裁判所に請求して捜索するのかが政治的判断」と説明しておいた。もちろん、この説明は場当たり的なものではなく、過去記事に書いた理由によるものである。

    北朝鮮の先生とは、立ち話しかできないので、ここから「拉致問題」に話を展開することができないのが残念だった。

    話がそれたが、「安保法制」については、北朝鮮の先生は全く知らなかった。『労働新聞』に記事が掲載されたのが20日なので、彼らはPCを持参していなかったため、インターネットで『労働新聞』を読めなかったのであろう。ソースが官営情報に限られる情報統制というのは、恐ろしいとつくづく感じた。「日本反動共の悪辣な策動」すら、官営メディアが報じるまで知らないのだから。

    「集団的安全保障を可能にした」とも説明したが、「集団的安全保障」という言葉を知らなかった。確かに、北朝鮮の『朝鮮語大辞典』には「集団的安全保障」という言葉は出ていない。なので、「これまでは、『ある国』(日本首相が度々持ち出す、北朝鮮とはもちろん言わなかったが)に日本が攻撃されたら米国が守るだけだったが、今は『ある国』が米国を攻撃したら日本が米国を守る」と説明しておいた。非常に大まかではあるが、間違いではないと思う。

    この話も、時間があれば「日本は朝鮮のように強力な戦争抑止力(核)がないのですよ」と核の話しに持って行きたかったのだが、残念ながらタイムアウト。

    「談話」全文を翻訳すると、以下のとおりである。

    *************
    朝鮮民主主義人民共和国スポークスマン談話

    日本が歴史の教訓を忘却し、軍国化と再侵略の道へと走っている。

    18日に開かれた日本の国会参議院本会で新たな「日米防衛協力指針」による安全保障関連法案が通過し、正式に法として成立したという。

    自衛隊法と武力攻撃事態法、周辺事態法、国連平和維持活動協力法など、10個の法を一括改訂した「平和安全法制整備法」と「自衛隊」の海外派兵と関連した「国際平和支援法」となっており、いわゆる「安全保障関連法」は、徹頭徹尾、他国に対する侵略の道を開くために作られた悪法である。

    日本の危険千万で無分別な動きに対して、周辺とアジアの各国はもちろん、西側からからまで日本が再び戦争ができる国になったという不安と憂慮の声が上がり、日本国内でも強力な反発が起こっている。

    内外の糾弾と排撃にもかかわらず「安全保障関連法」を成立させたことは、「東洋平和」を叫びながら世界を制覇しようとした軍国主義の昔の夢を必ずや実現してみようという日本の支配主義的野望がどのレベルに至っているのかを如実に物語っている。

    「安全保障関連法」は、日本を突撃隊にして、力でアジアと世界に対する支配戦略を実現してみようという米国を背負って、海外侵略野望を実現しようという日本の醜悪な野望の産物である。

    米国は、去る4月、日本との防衛協力指針を改定し「日本周辺」に限られていた日本の「自衛隊」の活動範囲を「全世界」に拡大することで、アジア太平洋重視戦略をはじめとした世界制覇戦略実現に日本を深く組み込もうとしている。

    一方、日本は、如何なる法的制約を受けることなく任意の時刻に米国と共に海外侵略の道に出ることができる政治軍事的、法的条件を作ろうとしている。

    「安全保障関連法」の成立で、日本は平和と安全を守り、米国を支援するという口実の下、世界のどこでも軍事作戦を展開し、「自衛隊」をいつでも海外に派遣できるようになった。

    日本が戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認を明示した憲法9条を完全に白紙化することは時間の問題となった。

    日本の軍国主義策動は、アジアと世界の平和と安全に対する重大な脅威を作りだしている。

    特に、日本が我々と交戦状態にある米国の侵略的な軍事行動に公然と加担し、過去同様、朝鮮を侵略の第一の対象とし要としていることに最も大きな脅威がある。

    我々は、過去、朝鮮人民に行った万古大罪を敗亡後70年となる今日まで清算しない日本が、再び再侵略の寒々とした刀を口にくわえて、駆け込んでくることを絶対に見過ごすことはできない。

    我々の現実は、我々が先軍の旗を高く掲げ、自衛的国防力を強化してきたことが、どれほど正当であったのかとうことをはっきりと実証している。

    我々は、我々を巡って起こっている危険な侵略策動に対処し、戦争抑止力をさらに強化していく。

    日本は、時代錯誤的な侵略野望にとりつかれ、戦争法をついにでっちあげることで、再び悲惨な戦争の惨禍を経験するであろうし、永遠に後悔することになるであろう。

    2015年9月19日 平壌
    *******************************

    コメントの投稿

    非公開コメント

    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


    YouTube dprknow

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    Visitors
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    QRコード
    QR