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    「中国人民抗日戦争及び世界反ファッショ戦争勝利70周年行事に参加する朝鮮代表団出発」:「オオタカ1号機」は飛ばなかった、金永南訪露の際の報道、<追記>生放送を見ながらの感想、朴槿恵厚遇・崔龍海冷遇 (2015年9月2日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」の最終報道「今日の報道の中から」の最後のニュースで、崔龍海を団長とする訪中団が2日、平壌から北京に向かったと報じた。「オオタカ1号機」は、またもや飛ばなかった。

    <追記>
    3日朝確認したところ、「朝鮮中央通信」でも短い記事が報じられていた。内容的には、上記と変わらない。5月に金永南がロシア戦勝記念日行事出席のため訪露した際も事前報道はなく、「平壌出発」から報道が始まっていたので、今回も同じである。北朝鮮は、この例に限らず、政府関係者の海外渡航は「出発した」と過去形で報じるのが通例なので、異例ということではない。問題は、その後のフォローアップ記事であるが、金永南の訪露の際、「朝鮮中央通信」では次のような記事が報じられている(「ロシア」をキーワードに検索、朝露関係でロシア戦勝と直接関連するもののみ)。

    5月8日:「最高人民会議常任委員会委員長ロシア訪問のために平壌を出発(최고인민회의 상임위원회 위원장 로씨야방문을 위하여 평양 출발)」
    5月8日:「戦勝の歴史を固守し、輝かせようとするロシア(전승의 력사를 고수하고 빛내이려는 로씨야)」
    5月8日:「ロシア特命全権大使宴会を主催(로씨야특명전권대사 연회 마련)」
    5月8日:「金正恩同志にロシア大統領がロシアの偉大なソ国戦勝勝利70周年記念メダルを差し上げた(김정은동지께 로씨야대통령이 로씨야의 위대한 조국전쟁승리 70돐 기념메달을 드리였다」
    5月9日:「朝鮮労働党中央委員会からロシア連邦と独立国家共同体諸国の執権及び主要政党に祝電を送った(조선로동당 중앙위원회에서 로씨야련방과 독립국가협동체나라들의 집권 및 주요정당들에 축전을 보내였다」
    5月9日:「金正恩同志がロシア連邦大統領に祝電を送られた(김정은동지께서 로씨야련방 대통령에게 축전을 보내시였다)」
    5月9日:「ロシア人民が血で戦い取った歴史的勝利(로씨야인민이 피로써 쟁취한 력사적승리)」
    5月9日:「朝鮮総理、ロシア政府首相に祝電(조선총리 로씨야정부수상에게 축전)」
    5月9日:「ロシアの偉大なソ国戦争勝利70周年に際し、解放塔とソ連軍烈士の墓に花輪進呈(로씨야의 위대한 조국전쟁승리 70돐에 즈음하여 해방탑과 쏘련군렬사들의 묘에 화환 진정)」
    5月9日:「ロシアで偉大なソ国戦争勝利70周年慶祝閲兵式開催(로씨야에서 위대한 조국전쟁승리 70돐 경축열병식 진행)」(金永南参観)
    5月9日:「金永南委員長がロシア連邦大統領と会った(김영남위원장이 로씨야련방 대통령을 만났다)」
    5月11日:「金永南委員長ロシア訪問を終え帰国(김영남위원장 로씨야방문을 마치고 귀국)」

    金永南出国から帰国まで、このような報道がなされている。さて、崔龍海訪中期間、どのような報道がなされるのか。金永南は、純粋に北朝鮮の儀礼的元首としての参加であるが、崔龍海は何らかのメッセージを携えての訪中のはずだ。中韓露の首脳とどのような話をするのか、また駐北京米国大使とは接触をするのかなどが注目される。

    「オオタカ1号機」が飛ばずにがっかりしたが、崔龍海には今後に繋がる外交を行ってもらいたいものである。

    戦勝記念行事が見られるストリーミングはないのだろうか。CCTVの英語放送でやってくれると有り難いのだが。

    <追記2>
    CCTV英語放送のストリーミングがあった。 http://english.cntv.cn/special/70th_anniv_victoryday/live/index.shtml
    中国の新型兵器の展示会のようだ。

    朴槿恵が紫禁城に到着。続いて、崔龍海が到着した模様。

    潘基文から習近平との握手が始まる。

    インドネシア代表に続いて、崔龍海が習近平と握手。ナレーションは「朝鮮は中国と共に日本と戦った」と。

    朴槿恵が習近平と握手。夫人と言葉を交わす(恐らく中国語で)。習近平は笑顔。崔龍海への対応とは相当に異なる。ナレーションは「日本の植民地下で中国は韓国を支援した」と。

    プーチンが最後に入場、習近平と歩きながら紫禁城に入る。

    記念写真。朴槿恵の立ち位置に注目。崔龍海はどこにいるのかも分からない。
    20150903chinaparade1.jpg
    Source: CCTV

    2列目のすみに着座している崔龍海(左から3人目の眼鏡を掛けた男性)
    20150903chinaparadeche1.jpg
    Source: CCTV

    北朝鮮とは関係ないのだが、習近平は左手で敬礼している。何か意味があるのだろうか。
    20150903shukin1.jpg
    Source: CCTV

    外国軍隊の行進。満州で「日帝」と戦ったパルチザンはどうしてしまったのだろうか。写真は、カンボジア軍、白い軍服を着ているのがキューバ軍。
    20150903foreignamry1.jpg
    Source: CCTV

    上空から見た天安門広場。毛沢東の写真の上に習近平、両横にプーチンと朴槿恵。数名おいて潘基文。崔龍海は左端「CCTV News」のsの右斜め下付近にいた。
    20150903teanmon1.jpg
    Source: CCTV

    以上のように、国家元首ではないということもあるが、崔龍海の扱いは朴槿恵と比べものにならないだけではなく、その他諸々の中でも低い。これを冷め切った中朝関係の象徴と見るのか、金正恩を派遣しなかった北朝鮮に対する中国の苛立ちと見るのか、その両方なのか。

    しかし、仮に「元帥様」が訪中していたら、彼はどこに立たされたのであろうか。プーチンの立ち位置は不動だとして、朴槿恵との位置関係が非常に微妙になっていたはずである。中国にとっては韓国の方が明らかに重要なパートナーであり、しかも今回は米国と歩調を合わせず軍事パレードまで参観しているので、ある意味、中国にとってはプーチン以上に重要な賓客ということになる。それと比べると、「元帥様」にはほとんど意義を見いだすことができない。そんな状況で、習近平、朴槿恵、金正恩という立ち位置にし、その写真が北朝鮮で公開されようものなら、朝鮮人民はさぞかし失望することであろう。だからといって、「元帥様」を習近平の横に立たせれば、中国人民から習近平が非難されるであろう(彼を横に立たせたことによるよほどの外交的な成果がなければ、国際的にも受け入れられないであろう)。

    崔龍海であればどこに座らせてもよいわけであるが、それでも北朝鮮の事実上のNo.2あるいはNo.3であり、今回は「特使」とはいっていないものの、それに近い形で訪中した彼をあそこまですみに追いやるというのは、北朝鮮にとっても嬉しくないことであろう。さらに、習近平と朴槿恵の会談では北朝鮮に核放棄を求めることで合意するなど、嬉しくないことばかりであろう。崔龍海と習近平が会談するのか。「元帥様」が祝電を送るのか。中国から何らかの贈り物があるかなど、上記のロシア戦勝記念日と比較する必要がありそうだ。

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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