FC2ブログ

    拉致問題交渉:慎重に進めるのは良いこと (2015年7月5日)

    拉致問題交渉であるが、意外にもよくやっているようである。経済が一見好調であることが「アベノミクス」の成果であるとする強気の安倍政権は、1年が経過する時点で北朝鮮への独自制裁を再開し、交渉を破綻させるとばかり思っていたが、安保法制を巡る議論やメディアに対する圧力発言で支持率が低下している中、政権発足直後に「アベノミクス」と共に掲げた「拉致被害者全員帰国」の看板に傷を付けたくないというところであろう。

    「瀬戸際外交」は、金正恩のお父さんの得意技であったが、今回は日本側がそれを逆手にとってうまく使っているように見える。形式的には政府は非介入という立場ではあるが、総連本部ビルの当面の継続使用を可能にして北朝鮮側に譲歩したと見せかけ、北朝鮮側の「誠意」が見られないと判断するや総連議長の次男を逮捕して圧力を掛ける。

    拙ブログでも紹介したとおり、北朝鮮側は当然反発するが、その反発のレベルが拉致問題交渉を即時中止するほどではないと判断し、「1年を目処に独自制裁を再開する」という情報をメディアにリークする。独自制裁を再開すれば交渉は決裂すると思ったが、「おおよそ1年」の解釈を「秋頃」まで拡大する。北朝鮮側はそれを受けて「誠意を持って調査中であるが、もう少し時間が必要」と回答する。

    ここまでの経緯からすると、6対4ぐらいで日本がリードしている。北朝鮮としては、明らかに日本との交渉状態を継続することが有利と判断していることが分かるが、「秋頃」というのがポイントで、10月10日の「党創建70周年の大祝典」への総連幹部出席が鍵となる。その前にも今月27日の「戦勝節」、8月15日の「祖国解放記念日」、9月9日の「建国節」など、祝典が詰まっており、それらへの総連幹部の出席も期待しているのであろう。これは、総連幹部が訪朝したという国内向けの宣伝だけではなく、彼らが制裁の一部解除で可能になった「人道的目的の範囲」で北朝鮮に持ち込む資金や物資にも期待しているはずである。きちんとした比較はしていないが、在日朝鮮人学生の祖国訪問なども含めると、総連関係者の訪朝は、「朝鮮中央通信」で報道されるものだけを見ていても、今年は多くなっているようだ。

    日本側の「秋頃まで」をどう使うか。継続的に早くしろと外交チャンネルを通してシグナルを送りながら、「9月9日までに結果をださなければ、独自制裁を再開するから10月10日は駄目よ」と線引きをしておくべきであろう。問題は、その「結果」をどうするのかということであるが、現実的には全員というのは厳しいであろうから、できるだけ多くの拉致被害者が帰国できるようにすることが必要である。難しいのは、その数と北朝鮮の態度をどう見極めるのか、継続調査とするのか終了(あるいは一旦終了)とするのかであるが、ともかくも対話のドアーを閉じてしまわないことが大切である。

    ともかく、拉致問題をいつまでも引きずり続けることは、拉致被害者家族に耐えがたい苦痛を与えていることは当然とし、日朝にとっても不幸なことである。拉致問題をきちんと解決し、「核・ミサイル問題」が存在するにもかかわらず、日朝関係をどうしていくのかという話し合いがなされるべきである。「日朝平壌宣言」にも、それを基になされた昨年の日朝合意にも、拉致問題と過去の清算問題は並行して書かれているわけで、日本側は、拉致問題が解決すれば、核・ミサイルを抱えている北朝鮮と話し合う必要はないというスタンスではなく、「拉致問題解決が入り口ですよ」というスタンスを明確に示した方が良い。そうすれば、拉致被害者を交渉の材料に使おうとする北朝鮮の態度も変化するのではないだろうか。

    コメントの投稿

    非公開コメント

    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


    YouTube dprknow

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    Visitors
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    QRコード
    QR