「20時報道」(2012年3月7日「朝鮮中央TV」)
北朝鮮メディアは、連日、李明博政権非難をエスカレートさせている。今日、「ウリミンジョクキリ」に掲載された動画もほとんどが李明博「逆徒」に対する非難である。
http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8707
この報道の中では、朝鮮人民軍第2軍団と第4軍団が登場する。第2軍団は戦車部隊、第4軍団はヨンピョン島を砲撃した部隊である。
第2軍団では戦車部隊の戦車やロケット砲、そして李明博などと書かれた標的を射撃する兵士の姿などが映し出されている。そして、インタビューに答える軍人が「我々は無慈悲な核爆弾にな」る、「ソウルを火の海」にする等と発言している。「ソウルを火の海」は久々に聞いた。韓国軍による「西海5島地域」での砲撃訓練や「キーリゾルブ」米韓合同演習に対する非難では、「敵の牙城(青瓦台)を叩きつぶす」という表現を使っていたが、今回は「牙城」だけではなくソウル全体に火の海が拡大された。また、以前は兵士が「銃・爆弾になる」という表現が多用されたが、今回は「核爆弾」と威力が格上げされている。
第4軍団では、特殊部隊要員であろうか、テクォンドのような武闘訓練を行っている映像、また李明博標的に向かい斧を投げたり、手裏剣を投げたりする映像が流されている。考えすぎかもしれないが、1976年に板門店で発生した「ポプラの木事件」で米兵を殺害したときに使われたのは斧であった。手裏剣は、時代劇ではよく見かけるが、現代兵器としても使われるのであろうか。特殊部隊員の訓練の様子は、1968年に発生した「青瓦台襲撃事件」を連想させる。
そして、岩肌の格納庫から大砲を引き出し、「あそこに見えるのが白翎島、大青島、小青島だ」などと言いながら、そちらに大砲を向けて砲撃訓練をしている様子が出ている(ただし、実際に大砲を撃っている場面は出ない)。そして、自分はヨンピョン島を砲撃したときの連隊長という金ギョンスさんが登場し、「あの時はヨンピョン島だけではなく、仁川、青瓦台までまとめて火の海にできなかったのが悔やまれます」と言っている。
第4軍団の画像にヨンピョン島攻撃を指揮したといわれている、金格植さんが出てくるのか注目していたが、同軍団の司令官として登場したのは、辺仁善さんであった。これと関連して、「中央日報日本語版」に次のような記事が出ていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120307-00000005-cnippou-kr
この記事では、辺仁善上将が「金正恩(キム・ジョンウン)時代の軍部の中心に浮上したのではないかという観測が出ている」としているが、一方で葬儀委員会の名簿にも名前が出なかった金格植さんはどうなってしまったのであろうか。軍部内での権力闘争の結果、失脚したのであろうか。
過去記事にも書いたが、北朝鮮はこれを機に韓国に「北風」を吹かせ、金正恩さんの軍統率力を誇示するだけでなく、軍事訓練も行っているのではないだろうか。また、金正日さんの死去で沈滞し、誕生日で少し緩んだ国内のムードを引き締めるためにも使っているのであろう。「20時報道」では、朝鮮人民軍への入隊・復帰「嘆願者」が194万人に達したと伝えている。「嘆願者」なので即時入隊や復帰をするわけではないが、これも最高司令官への忠誠心を示させることで体制引き締めの一環として行っているのであろう。
北朝鮮は、「祖国平和統一委員会書記局報道第993号」で再び李明博「逆徒」を強く非難しているが、その中で「(李明博逆徒が)北風を吹かせて選挙を有利に運ぼうとしている」としている。北朝鮮の(表面上の)論理では、「北風」は保守勢力(李明博政権)に有利であるということになるが、「北風」は必ずしもそのように作用するとは限らない。ともあれ、金正日死去、金正恩最高司令官就任という韓国国民が北朝鮮に注目しているタイミングで、政権末期の李明博政権を攻撃することは、北朝鮮にとって吉と出るか凶と出るかは別とし、韓国政局に影響を及ぼすことは間違いない。
http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=8707
この報道の中では、朝鮮人民軍第2軍団と第4軍団が登場する。第2軍団は戦車部隊、第4軍団はヨンピョン島を砲撃した部隊である。
第2軍団では戦車部隊の戦車やロケット砲、そして李明博などと書かれた標的を射撃する兵士の姿などが映し出されている。そして、インタビューに答える軍人が「我々は無慈悲な核爆弾にな」る、「ソウルを火の海」にする等と発言している。「ソウルを火の海」は久々に聞いた。韓国軍による「西海5島地域」での砲撃訓練や「キーリゾルブ」米韓合同演習に対する非難では、「敵の牙城(青瓦台)を叩きつぶす」という表現を使っていたが、今回は「牙城」だけではなくソウル全体に火の海が拡大された。また、以前は兵士が「銃・爆弾になる」という表現が多用されたが、今回は「核爆弾」と威力が格上げされている。
第4軍団では、特殊部隊要員であろうか、テクォンドのような武闘訓練を行っている映像、また李明博標的に向かい斧を投げたり、手裏剣を投げたりする映像が流されている。考えすぎかもしれないが、1976年に板門店で発生した「ポプラの木事件」で米兵を殺害したときに使われたのは斧であった。手裏剣は、時代劇ではよく見かけるが、現代兵器としても使われるのであろうか。特殊部隊員の訓練の様子は、1968年に発生した「青瓦台襲撃事件」を連想させる。
そして、岩肌の格納庫から大砲を引き出し、「あそこに見えるのが白翎島、大青島、小青島だ」などと言いながら、そちらに大砲を向けて砲撃訓練をしている様子が出ている(ただし、実際に大砲を撃っている場面は出ない)。そして、自分はヨンピョン島を砲撃したときの連隊長という金ギョンスさんが登場し、「あの時はヨンピョン島だけではなく、仁川、青瓦台までまとめて火の海にできなかったのが悔やまれます」と言っている。
第4軍団の画像にヨンピョン島攻撃を指揮したといわれている、金格植さんが出てくるのか注目していたが、同軍団の司令官として登場したのは、辺仁善さんであった。これと関連して、「中央日報日本語版」に次のような記事が出ていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120307-00000005-cnippou-kr
この記事では、辺仁善上将が「金正恩(キム・ジョンウン)時代の軍部の中心に浮上したのではないかという観測が出ている」としているが、一方で葬儀委員会の名簿にも名前が出なかった金格植さんはどうなってしまったのであろうか。軍部内での権力闘争の結果、失脚したのであろうか。
過去記事にも書いたが、北朝鮮はこれを機に韓国に「北風」を吹かせ、金正恩さんの軍統率力を誇示するだけでなく、軍事訓練も行っているのではないだろうか。また、金正日さんの死去で沈滞し、誕生日で少し緩んだ国内のムードを引き締めるためにも使っているのであろう。「20時報道」では、朝鮮人民軍への入隊・復帰「嘆願者」が194万人に達したと伝えている。「嘆願者」なので即時入隊や復帰をするわけではないが、これも最高司令官への忠誠心を示させることで体制引き締めの一環として行っているのであろう。
北朝鮮は、「祖国平和統一委員会書記局報道第993号」で再び李明博「逆徒」を強く非難しているが、その中で「(李明博逆徒が)北風を吹かせて選挙を有利に運ぼうとしている」としている。北朝鮮の(表面上の)論理では、「北風」は保守勢力(李明博政権)に有利であるということになるが、「北風」は必ずしもそのように作用するとは限らない。ともあれ、金正日死去、金正恩最高司令官就任という韓国国民が北朝鮮に注目しているタイミングで、政権末期の李明博政権を攻撃することは、北朝鮮にとって吉と出るか凶と出るかは別とし、韓国政局に影響を及ぼすことは間違いない。