「朝鮮マネーロンダリング及びテロ資金支援防止のための国家調整委員会スポークスマン、国際金融監督機構との協力関係を継続維持していくことを強調」:「3要件」はクリアできるのか、AIIB加盟へのステップか、7月総会参加・8月代表団平壌訪問 (2015年5月16日 「朝鮮中央通信」)
16日、「朝鮮中央通信」が、「朝鮮マネーロンダリング及びテロ資金支援防止のための国家調整委員会」の代表が、5月初旬「アジア太平洋マネーロンダリング対策グループ(Asia / Pacific Group On Money Laundering (APG))」の書記局(在シドニー)を訪問し、その後、ジャカルタで「アジア太平洋地域検討グループ」と協議をしたと報じた。
APGのホームページによると、同グループは1997年に設立され、現在、41カ国が加盟している。日本、韓国、米国、中国はいずれも加盟国(member)に含まれている。北朝鮮は2014年からAPGのオブザーバーになっている。
オブザーバーたるべきためには、
・APGメンバーとすることを考慮中の国家(jurisdictions:法的管轄能力を有するもの)であり、メンバーになるための3つの要件を満たすための準備が整っている
・APGの目的を積極的に支持するか、関心がある機関
・他のAPG加盟国からの反対がなく、APG議長国に招かれた国家あるいは機関
となっている。続いて、「メンバーになるための3つの要件」を見ると、
・重大な犯罪によりもたらされるマネーロンダリングを犯罪とする法的なフレームワークを構築すること。そして、マネーロンダリング犯罪を防止、感知、捜査、訴追し、
・犯罪により得られた資金の特定、凍結、差し押さえ・没収し、
・犯罪者自身、犯罪者の不法な資金が国内及び国際的な金融システムにアクセスすることを阻止し、国際金融システムとの統合性を堅持し、マネーロンダリングに関する法的およびその他規則へのコンプライアンスを確立すること。
となっている。
以上のことからすると、北朝鮮は「3つの要件を満たす準備が整っている」ということになるが、対象となる「犯罪者自身」と「犯罪者の不法な資金」の範囲の認定が北朝鮮の場合は他国と異なるはずだ。一番簡単な例が、米国をはじめとする「敵対勢力」が安保理決議を盾に北朝鮮のロケット発射を「ミサイル発射」だというが、北朝鮮は「宇宙条約締結国に認められた当然の権利」と反発するのと同様に、「不法な資金」かどうかの認定が国際基準でできるのかどうか。
「朝鮮中央通信」の報道では、APGは「マネーロンダリング及びテロ資金支援防止のための我々(北朝鮮)の努力を肯定的に評価し、朝鮮が7月の機構年次総会に参加し、8月頃、APG代表団が平壌を訪問し、相互の関心事となる問題について継続協議していくことになった」と伝えている。
「相互の関心事となる問題」が具体的に何なのかは明らかにされていないが、「3要件」に関わる部分をしっかりと確認しながら、国際レジームに北朝鮮を取り込んでいくのは悪いことではない。北朝鮮は、中国からAIIB加盟を拒否されたと報じられているが、APGの加盟国なれば、中国としても受け入れやすくなることは間違いない。中国が北朝鮮の加盟を拒否した背景は、米日からの「コンプライアンスや透明性確保」要求を意識した結果であろうが、中国主導のAIIB体制の中に北朝鮮を組み込み、北朝鮮の経済システム改革や中国経済へのさらなる組み入れをしていきたいと考えているのではないだろうか。
APG HP, http://www.apgml.org/
APGのホームページによると、同グループは1997年に設立され、現在、41カ国が加盟している。日本、韓国、米国、中国はいずれも加盟国(member)に含まれている。北朝鮮は2014年からAPGのオブザーバーになっている。
オブザーバーたるべきためには、
・APGメンバーとすることを考慮中の国家(jurisdictions:法的管轄能力を有するもの)であり、メンバーになるための3つの要件を満たすための準備が整っている
・APGの目的を積極的に支持するか、関心がある機関
・他のAPG加盟国からの反対がなく、APG議長国に招かれた国家あるいは機関
となっている。続いて、「メンバーになるための3つの要件」を見ると、
・重大な犯罪によりもたらされるマネーロンダリングを犯罪とする法的なフレームワークを構築すること。そして、マネーロンダリング犯罪を防止、感知、捜査、訴追し、
・犯罪により得られた資金の特定、凍結、差し押さえ・没収し、
・犯罪者自身、犯罪者の不法な資金が国内及び国際的な金融システムにアクセスすることを阻止し、国際金融システムとの統合性を堅持し、マネーロンダリングに関する法的およびその他規則へのコンプライアンスを確立すること。
となっている。
以上のことからすると、北朝鮮は「3つの要件を満たす準備が整っている」ということになるが、対象となる「犯罪者自身」と「犯罪者の不法な資金」の範囲の認定が北朝鮮の場合は他国と異なるはずだ。一番簡単な例が、米国をはじめとする「敵対勢力」が安保理決議を盾に北朝鮮のロケット発射を「ミサイル発射」だというが、北朝鮮は「宇宙条約締結国に認められた当然の権利」と反発するのと同様に、「不法な資金」かどうかの認定が国際基準でできるのかどうか。
「朝鮮中央通信」の報道では、APGは「マネーロンダリング及びテロ資金支援防止のための我々(北朝鮮)の努力を肯定的に評価し、朝鮮が7月の機構年次総会に参加し、8月頃、APG代表団が平壌を訪問し、相互の関心事となる問題について継続協議していくことになった」と伝えている。
「相互の関心事となる問題」が具体的に何なのかは明らかにされていないが、「3要件」に関わる部分をしっかりと確認しながら、国際レジームに北朝鮮を取り込んでいくのは悪いことではない。北朝鮮は、中国からAIIB加盟を拒否されたと報じられているが、APGの加盟国なれば、中国としても受け入れやすくなることは間違いない。中国が北朝鮮の加盟を拒否した背景は、米日からの「コンプライアンスや透明性確保」要求を意識した結果であろうが、中国主導のAIIB体制の中に北朝鮮を組み込み、北朝鮮の経済システム改革や中国経済へのさらなる組み入れをしていきたいと考えているのではないだろうか。
APG HP, http://www.apgml.org/