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    「人気が高い知能型有線電話機」:ナンバーディスプレー、留守録、番号登録機能、「我々式」に開発 (2017年5月16日 「朝鮮の今日」)

    15日、「朝鮮の今日」で「我々式」に開発したという、「知能型有線電話機」が紹介された。日本の場合は、有線電話に留守電機能が付加され、電話番号登録、ナンバーディスプレーなどという機能がさらに加わっていったという発展の歴史を辿り、さらに受話器がワイアレス化され、一方で自動車電話が登場し、携帯電話の普及へと繋がっていった。

    北朝鮮の場合、過去記事にも書いた通り、携帯電話やスマホはそれなりに普及している。そして一方で「知能型有線電話機」を紹介していることからすると、技術的には「並進路線」となっていることが分かる。そもそも、携帯電話は標準化された基地局のユニットを導入すれば、自動的に付加機能がついてきて、端末が対応してさえいれば、一気に基地局ユニットを提供している国のレベルに到達することができる。北朝鮮では、KoryolinkというW-CDMA方式の移動通信サービスが使われているが、オラスコムが提供した基地局ユニットには、先進国のスマホでできる機能が初めから入っているはずである。その機能を停止するかしないかは、北朝鮮当局が決めることである。

    ところが、旧来型の有線電話の場合、それこそ「我々式」の技術の交換機を使っており、一気に新機能を付加するのは大変である。留守電や電話番号管理は、電話機端末に依存する機能なので、交換機と関係なく付加できるが、ナンバーディスプレーに関しては、技術的にどうやっているのか、アナログ交換機でも可能なのかなどの疑問は残るものの、交換機に依存する機能である。「朝鮮中央TV」の報道では、時々、交換局のデジタル化が進んでいる様子を紹介しているので、端末もそれに対応したものが出てきたという話であろう。

    興味深いのは、この「知能型有線電話機」をワイアレスにしなかった点である。技術的には、ワイアレスにすることなどいくらでもできるはずなのだが、やはり北朝鮮なりのセキュリティーの問題があるのかも知れない。アナログワイアレスなど採用した暁には、レシーバーさえ持ち込めば、平壌市民の通話が傍受できるので、下手をすると「敵対勢力」のメディアで流されることになる。

    「光明技術交流社(광명전자기술교류사)」の電話機。
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    Source: 「朝鮮の今日」、http://www.dprktoday.com/index.php?type=2&no=20306

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    Source: 「朝鮮の今日」、http://www.dprktoday.com/index.php?type=2&no=20306

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    Source: 「朝鮮の今日」、http://www.dprktoday.com/index.php?type=2&no=20306

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    Source: 「朝鮮の今日」、http://www.dprktoday.com/index.php?type=2&no=20306

    인기가 대단한 지능형유선전화기

    ウラジオストックにさらに1隻の北朝鮮タンカー:ずっと停泊している多くの船、ロシア石油提供拒否か? (2017年5月16日)

    15日夜、Marine Trafficでウラジオストック港を見たら、南浦を出て対馬海峡を通過していた北朝鮮石油タンカーCHON MYONG1がウラジオストック港に停泊していた。CHON MYONG1は、途中で羅先に入港している。

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    Source: Marine Traffic, 2017/05/16 0735JST

    次々の入港するものの、出港する船はいない。1隻は、過去記事にも書いた通り、埠頭に停泊していたが、その後、埠頭から離れ、他の北朝鮮タンカーと共に付近で停泊している。

    ロシアが中国のように、何らかの制限措置を取っている可能性もあるが、周囲に数隻いるロシアのタンカーも北朝鮮タンカー同様にずっと停泊している。何が起こっているのか分からないが、北朝鮮タンカーが集結していることだけは、間違いない。

    「主体的確強国建設史に特記すべき偉大な事変 地上対地上中長距離戦略弾道ロケット「火星-12」型試験発射成功 敬愛する最高領導者金正恩同志が新型のロケット試験発射を現地で指導された」:正確な日本の発表、「大型重量核弾頭搭載」可、米本土を攻撃できるのかできないのか、「太陽節」から1ヶ月の日に発表、一帯一路フォーラムの日は偶然か意図的か、ロシア方向に発射の理由 (2017年5月15日 「朝鮮中央通信」)

    日本語字幕付き。

    Source: KCTV, 2017/05/15


    15日、「朝鮮中央通信」に14日朝発射されたミサイルに関する記事が掲載された。

    発射されたのは「火星-12」とされており、公開されていない「火星-11」がこの間、「失敗」とされたミサイルのいずれかとなろう。「火星-12」は、「核弾頭ではなく、大型重量核弾頭装着が可能な新型の中長距離戦略弾道ロケット」としている。敢えて「大型重量核弾頭装着が可能」と言っているところからすると、北朝鮮は核弾頭の小型軽量化ができておらず、それに繋げるための6回目の核実験を見送っているので、ならば重くて大きい核弾頭を装着できるミサイルが完成したということをアピールしたいところに狙いがあるのだろう。この辺り、核実験を当面やらないことにしていると見るべきか、あるいはそれとは関係なくミサイル技術の高度化を誇っているのか判断は難しいが、一応、留意しておく必要はある。

    「火星-12」は、「朝4時58分」に「周辺国の安全を考慮し、最大高角発射体制で」発射されたとしている。そして、ミサイルは「最大高度2111.5kmまで上昇飛行し、距離787kmの公海上に設定された目標水域を正確に打撃した」としている。日本政府が発表していた高度と着水地点とほぼ一致しており、今回の発射では最も正確な情報を、最も適切内発表したという点評価できる。韓国国防部については、昨日、ウェブに接続が難しく未確認ではあるが、『聯合ニュース』が日本発の情報を多く使っていたことからして、韓国国防部からは詳細な情報が出されていなかった可能性が高い。

    「元帥様」は、「米国とその追従勢力共が、正気に戻って正しい選択をするときまで、高度に精密化、多種化された核兵器と核打撃手段をさらに多く作り、必要な実験準備をさらに進めていくことに関する命令を下された」としている。「米国と追従勢力」は、北朝鮮に対し「核放棄」という「正しい選択」を求めているが、「正しい選択」をするのは北朝鮮ではなく「米国と追従勢力」であると言いたいようである。過去にこの種の記事が際、「南朝鮮傀儡一味」も名指しされていたのか、あるいは「追従勢力」とまとめられていたのかは要確認であるが、この記事には「南朝鮮」も「傀儡一味」も出てこない。

    繰り返し出てくるのは米国で、「世界で最も完成された武器システムが決して米国の永遠の独占物ではなく、我々も相応の報復手段を使える日が来ると確信する」、「米国は、その機会に朝鮮の弾道ロケットが米国に実際の脅威となるのかならないのかをすっきりと見ればよい」と「元帥様」は言ったとしている。注目すべき点は、「相応の報復手段を日が来ると確信する」と未来形の表現を使い、また「その機会に」と今後そうなるという表現も使われていることである。米国が「ICBMを持てば先制攻撃」と宣言している中、現時点ではまだ保有していないようなことを言っている。

    ***************
    <追記>
    上記の点、「朝鮮中央TV」のアナウンスを通しで聞いて、「日が来ると確信する」のは、実戦で「使える日が来る」、そしてその日にこそ米国は、「実際の脅威になるのかならないのか」が「すっきりと見ればよい」、つまり見れば分かると言いたいことが分かった。準備は万端、あとは実戦だけだという話のようだ。
    **************

    しかし、一方で「元帥様」は、「米本土と太平洋作戦地帯が我々の打撃圏内に入っている現実、殲滅的報復打撃の全ての強力な手段が、我々の手中にあるという現実を無視したり誤算してはならないと協力に警告」している。斜め読みしただけなので、何かを読み落としている可能性があるが、「米本土を打撃できる」と言いたいのか、「今はまだできない」と言いたいのか、よく分からない。この点については、追ってきちんと読み直してみる。

    14日に発射、「太陽節」から1ヶ月後の日に北朝鮮国内メディアで発表する(現時点ではまだ未確認だが、『労働新聞』や「朝鮮中央TV」で間違いなく報じられるはず。特に「朝鮮中央TV」では、動画を公開する可能性大)という、1ヶ月遅れの「主体弾」の「祝砲」を打ち上げたかったのであろう。

    その系からすれば、北京で開催されている一帯一路フォーラムの日と偶然重複してしまったとも言えるが、それが偶然の重複なのか、意図的な重複なのかは、もう少し様子を見なければならない。

    また、一部報道では、ロシア付近に着水させているのは、「ロシアに対する威嚇」というようなことが書かれているが、ミサイルの飛行コースはカールビンソンの日本海展開を意識したもので、できるだけカールビンソンから遠い公海上に落とすためのものであったはずである。前回、北朝鮮領空で自爆させたミサイルは、ロシア領内に向けて飛んで行ってしまったので、自爆させたのであろう。

    中露は、北朝鮮のミサイル発射は、安保理決議違反で「反対」という意志を示したという報道があるが、中露については、追って確認していくことにする。

    <追記>
    『労働新聞』HPで写真が公開された。

    「火星-12」型発射。
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    Source: 『労働新聞』、http://rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2017-05-15-0001_photo

    「火星-12」の飛行コースと着水地点。飛行コースと着水地点をこれほどまでにはっきりと見せるのは珍しい。一部で「ウラジオストックから100km地点に落下」という報道があるが、そうではなかったことを示している。
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    Source: 『労働新聞』、http://rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2017-05-15-0001_photo

    移動式発射台と「火星-12」。黄色く目立つ色で着色しているのは、「大型重量核弾頭装着可能」を強調するためであろう。
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    Source: 『労働新聞』、http://rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2017-05-15-0001_photo

    後ろにいるワンボックスは日本車だろうか。敢えて見せていることからすると、日本車の可能性はある。平和自動車製かもしれないが。
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    Source: 『労働新聞』、http://rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2017-05-15-0001_photo

    次は、「朝鮮中央TV」での動画公開。

    北朝鮮もGoogle Earthを使っていると思われるが、「元帥様」が見ている画面にある着水地点からすると、ロシアからは170km、日本からは430kmの公海上となる。
    20170515 from ru and jp
    Source: Google Earth

    「懲罰する」:『防弾壁』のBGMで (2017年5月12日 「朝鮮の今日」)

    12日、「朝鮮の今日」にアップロードされた動画。「首領様」の命を狙った陰謀を「防弾壁」工作員が命を賭けて粉砕するストーリー、『防弾壁』の放送は、「首脳部を狙ったテロ」と無関係ではないと思っていたが、やはりそういうことだった。

    日本語字幕付き。

    Source: 朝鮮の今日、2017/05/12

    「朝鮮中央TV」テコンドーをテーマにしたおもしろい「芸術映画」放送中 (2017年5月14日 「朝鮮中央TV」)

    14日、「朝鮮中央TV」でテコンドーをテーマにした恋愛映画放送中。平壌市民の家庭を中心にした映画で、とてもおもしろい。

    『親近なる私たちのお母様(친근한 우리 어머님)』:「元帥様」の母高英姫称賛歌、エリートだけに知られた歌ではない可能性も、歌の創作は1999年、金正恩後継はこの頃決定しその後10年間指導者教育を受けたのでは (2017年5月13日)

    <追記>
    さらに興味深い資料を中国在住のYouTube視聴者から頂いた。この歌の楽譜と歌詞であるが、歌の創作は1999年とされている。つまり、「高英姫」が「お母様」であることは、既に1999年に確定しており、その系では母親が異なる金正男は後継者レースから既にこの時点で除外されていたことになる。すると、金正哲か金正恩が後継者ということになるが、金正哲の風貌や伝えられている性格からすれば、金正恩後継はこの時点で決定していたと言ってもよい。だとすると、金正恩が「何の経験もなく指導者になった」というのは大きな間違いで、表には出ていなくても、10年以上、「将軍様」から指導者たる教育を受けてきたのかも知れない。2000年にスイスから帰国したと言われているので、この歌がリリースされた時期ともほぼ符合している。

    私たちのお母様 高英姫楽譜と歌詞




    過去記事で、『先軍朝鮮の偉大な母』という、北朝鮮のエリートだけに公開したとされる「朝鮮記録映画」を紹介した。



    この映画の冒頭で流れる歌の詳細が分かった。この歌は、北朝鮮のソフトウェア「サムイルポ(三日浦)」というソフトウェアの中に他の歌と共に収録されているという。「サムイルポ」なるソフトウェアが何なのかは不明であるが、OSではないようだ。この情報ソースであるが、某国(隠すわけではなく、現在確認中)のYouTubeユーザーからの情報である。このユーザーは、某国で学んでいる北朝鮮学生(高い確率で、某国は中国だと思うのだが)が使っているPCにインストールされている「サムイルポ」というソフトウェアにこの曲が収録されているのを確認しており、北朝鮮の学生も「音楽のファイルならやる」と言っているそうである。

    外国で学んでいる北朝鮮学生は既にエリートであるという点は留意する必要があるが、「サムイルポ」なるソフトが北朝鮮国内で一般に流通しているのであれば、『親近なる私たちのお母様』は朝鮮人民に広く知られているということになり、「お母様」が誰であるのかについても噂が広がっている可能性はある。

    歌の中では「お母様」の名前は出していないので、これまでもuriminzokkiriに掲載されていた北朝鮮の書籍の中にも「お母様」が登場していることは確認されており、その系で行けば新しい話ではないのかもしれない。しかし、これまでこの歌は、この「朝鮮記録映画」を見る資格がある人だけ聞けると思っていたので、情報としてはとても新鮮である。

    1番の歌詞は映画には収録されていないので、情報提供者のYouTubeユーザーが、北朝鮮学生から教えてもらったものだと思う。

    親近なるお母様
    친근한 우리 어머님

    作詞:崔ジュンギョン
    작사 최준경 
    作曲:オム・ハジン
    작곡 엄하진

    主体88(1999)
    주체88(1999)년

    ウォルビ山の哨所を訪ねても、放射砲陣地を訪ねても、抱かせて下さるその恩情は限りなく、兵士は情緒深く歌を歌う、親近なるお母様、私たちのお母様、将軍様の愛を伝えて下さる
    1. 월비산 초소에 찾아 가도 방사포 진지에 찾아 가도 안겨준 그 은정 끌이 없어 병사들 정답게 노래 하네 친근한 어머님 우리 어머님 장군님 사랑을 전해주시네

    温かい微笑が春の光となり、高地の冷たい雪も溶かして下さり、慈悲深い導きの手が陽光となり、一万種類の幸福の花が咲く、親近なるお母様、私たちのお母様、将軍様の愛を伝えて下さる
    2. 따뜻한 그 미소 붐빛 되여 고지의 찬눈도 녹여 주시고 자애론 그 손길 해빛 되여 만가지 행복을 꽃 피우네 친근한 어머님 우리 어머님 장군님 사랑을 전해주시네

    私たちの父は最高であられ、私たちの母は一番良い、銃を担いだ孝行息子達、その懐を守り金の星の偉勲を轟かせる、親近なるお母様、私たちのお母様、将軍様の愛を伝えて下さる
    3. 우리의 아버지 제일이시고 우리의 어머니 제일 좋네 총을 멘 효자들 그 품을 지켜 금별의 위훈을 떨쳐 가네 친근한 어머님 우리 어머님 장군님 사랑을 전해주시네

    「<北朝鮮ミサイル>菅長官「EEZ外に落下、被害報告ない」:日本政府の対応は評価できそう、飛行距離は800キロ、米軍「ICBMではない」、中国11時過ぎるも沈黙 (2017年5月14日 「毎日新聞」)

    14日早5時27分、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したと『毎日新聞』が報じた。日本の官房長官の発表によると、ミサイルは日本海に落下したという。

    『毎日新聞』、「<北朝鮮ミサイル>菅長官『EEZ外に落下、被害報告ない』」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170514-00000005-mai-pol

    同じニュースを韓国の『聯合ニュース』でも見ているが、こちらには落下地点に関する情報は出ていない。通常、韓国メディアに詳細が出てから、日本政府が発表するという流れであるが、今回は、発射から結果に至るまでの発表が非常に早い。どこの情報を使っているのかは分からないが、日本独自の監視で判明したことであれば大変素晴らしいし、また、それを迅速に発表しているというのは、評価できる。今回、地下鉄を止めたり、Jアラートを鳴らしたりしたという報道は今のところ出ていないが、発射、分析、日本国内での対応という3つの流れが、迅速かつ正確に行われた結果であるのならば、日本国民にとっては安心のレベルが上がったといえる。もちろん、続報まで確認する必要はあるが。

    続けて、北朝鮮の意図について考えてみる。

    北朝鮮のミサイル発射の兆候については、既に昨日報じられていた。しかし、これは威嚇だけで、実際の発射には至らないと私は予測していた。それは、韓国に対北融和的な大統領が誕生し、昨日の記事にも書いたように、ノルウェーで米朝非公式接触が行われた直後に、北朝鮮自身が「トランプ政権が、我々に接近する姿勢を見せている」と評価し、さらに中国で開催されている2017一帯一路フォーラムに北朝鮮が代表団を派遣しているなど、「外交」が活発化している時期であったからである。

    米国は、一帯一路フォーラムに北朝鮮が参加したことについて、「北朝鮮を招待することは、世界が核・ミサイル問題で北朝鮮に圧力をかけている時期に、誤ったメッセージを送ることになる」と中国外交部に書面を送ったという報道があるので、この点については、北朝鮮を怒らせる一つの要因となり得る。

    『朝日デジタル』、「北朝鮮の「一帯一路」会議参加、米が懸念伝える」、https://news.goo.ne.jp/article/asahi/world/ASK5F6J9TK5FUHBI01P.html

    『聯合ニュース』を見ていたら、韓国合同参謀本部が、ミサイルの飛行距離は700キロと発表した。

    『聯合ニュース』、「합참 "北, 오전 5시27분 탄도미사일 발사…700여㎞ 비행"(속보)」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/14/0505000000AKR20170514008500014.HTML?template=2085

    Google Earthでこの範囲を見ると、韓国全土、日本は対馬、中国は北京市、ロシアはウラジオストックに到達している。日本海に落下としているので、もちろん北京や対馬は今回の発射では関係ないが、前回のように北東(ロシア方向)に向けたのか、真東に向けたのかは、現在のところ不明である。

    パンヒョン空港は、移動式発射台が確認された場所。赤い円はパンヒョン空港から約700キロの範囲。
    20170514 dprk missile from banghyon r700km
    Source: Google Earth

    『聯合ニュース』が、日本の分析を「速報」として伝えている。普段は逆であるが、それだけ日本政府の対応が迅速であったことを示している。

    『聯合ニュース』、「일본 "北미사일 30분 비행 …일본 EEZ 밖 동해상 낙하한 듯"(속보)」、http://www.yonhapnews.co.kr/international/2017/05/14/0602000000AKR20170514009800073.HTML?template=2085

    韓国大統領文ジェインは、NSCを招集したというが、まだ組閣が終わっておらず、朴槿恵時代の閣僚との会合になるという。そうしたことこからすると、NSCは総合参謀本部からの朝鮮人民軍の動向報告、韓国軍の警戒態勢報告などを受けるに留まるのではないかと思う。

    『聯合ニュース』、「文대통령, 北탄도미사일 발사에 NSC 첫주재…대북메시지 주목(종합2보)」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/14/0501000000AKR20170514008252001.HTML?template=2087

    日本首相は毎度おなじみの「断じて容認できない。ミサイル発射はわが国に対する重大な脅威であり、国連の安保理決議に明白に違反する」を繰り返しただけであるが、国際的にはそれが日本にできる全てであり、仕方がない。

    上で引用した、日本官房長官の発表報道を読んで不思議に思ったは、「約30分後に日本海に落下したとみられる」と言っている点である。このところ、北朝鮮から日本へのミサイル到達時間について記事にしようと色々と調べているのだが、きちんと計算するには、どうやら数学が苦手な私では到底解くことができない複数の数式が必要になるので、結局のところ分かっていない。加えて、その数式を適用したとしても、変数が多すぎて、なかなか正確には出せないということのようだ。ただ、北朝鮮が予告した上で発射したロケットが沖縄上空を通過したとされる時間を見ると、約10分かかっている。だとして、今回、西海ロケット発射場に比較的近い地点から発射したミサイルが、落下(着水)するまでに30分もかかっているというのであれば、以前もあったように非常に高角度で発射し、相当の高度まで上昇したのではないかと思われる。であるとすると、これは北朝鮮にとっては「大成功」の部類に入り、早ければ今日の「朝鮮中央TV」の中で「元帥様」の「革命活動」として紹介される可能性がある。「朝鮮中央通信」は、現時点ではこのミサイル発射を伝えていない。

    トランプは、この発射についてなにもツイートしていない。FBI長官解雇や「Fake News」との「闘い」で頭がいっぱいなのであろう。

    問題は中国である。一帯一路フォーラムに米日韓と北朝鮮代表まで招聘して開催されている最中のミサイル発射である。これは、中国の神経を逆なでしても余りある。しかも、上の地図で見られるように、ミサイルを北京に向けて発射していれば、一帯一路フォーラム会場を打撃できるかの如くの落下地点を選んでいる。一応、中朝間の舌戦は一段落付いたものとみていたが、もしかするとパイプラインによる石油供給で軋轢が残っているのかも知れない。

    また、カールビンソンが日本海に展開している中、今回は、日本海に落としている。非常に危険で挑発的な方向ではあるが、これもトランプ政権の態度変化を試すためなのかもしれない。同政権が「先制打撃」をさかんに口にしていたときは、北朝鮮もその危険度を認識して日本海に着水させるようなミサイルは発射しなかったが、今度は、同政権の態度が変わったということを見越して、日本海に落としている。そして、上に書いたように「大成功」という話になれば、トランプ政見はどう出てくるのか、依然として危ないが掛けといえる。もちろん、ノルウェーでの非公式接触で、「発射しても大丈夫」という確信を得ての発射なのかもしれないが、破れかぶれの挑発という可能性も完全にないとは言えない。現状、米側の反応は伝わってきていないが、中国の反応と共に注視しなければならない。

    <追記>
    もう一つの可能性としては、4月に実現できなかった「太陽節」の「祝砲」を1ヶ月後に打ち上げた可能性である。「太陽節」前後に発射したミサイルは、「自爆」させた事実上の「成功」であったとしても、国際的にも国内的にも目に見える結果としては「大成功」と誇れるものではなかった。しかし、今回の発射は、今のところ「成功」と見られるので、1月遅れはしたが、「太陽節」の「祝砲」と充分になり得る。「最高首脳部を狙ったテロ」への抗議という可能性もあるが、犯人まで特定して北朝鮮の「検察所」が引き渡し要求までしているのだから、ミサイルで殲滅させる話ではない。しかも、融和的な政権が誕生した「南朝鮮」を「前傀儡国情院一味」と共に吹き飛ばしてしまっては、話にならない。

    <追記2>
    「800km飛行」とのことなので、地図を修正した。

    20170514 800kmradius
    Source: Google Earth

    <追記3>
    文ジェインは、「国連安保理関連決議の明白な違反であるだけではなく、朝鮮半島はもちろん、国際平和と安全に対する深刻な挑発行為"유엔 안보리 관련 결의의 명백한 위반일 뿐 아니라 한반도는 물론 국제평화와 안전에 대한 심각한 도전행위"」と非難した。

    『聯合ニュース』、「文대통령 "北탄도미사일 발사, 안보리결의 위반…강력규탄"」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/14/0501000000AKR20170514017100001.HTML?template=2085

    <追記4>
    「朝鮮中央TV」、新しく出た「リョミョン通り」建設に「献身」した「元帥様」の活動を紹介する「朝鮮記録映画」を放送中。「リョミョン通り」で「太陽節」の「祝砲」は充分だと思ったのだが。米国との「決戦」を迎えた時期に、「元帥様」が「リョミョン通り」建設を決めたのは、「元帥様」の「度胸を世界を誇示した」と言っているのだから、それで充分なのに。

    <追記5>
    『聯合ニュース』によると、米太平洋司令部が、北朝鮮が発射したミサイルは「ICBMとは異なる」と発表したと報じた。

    『聯合ニュース』、「美태평양사령부 "北발사 미사일 비행, ICBM과는 달라"」、http://www.yonhapnews.co.kr/international/2017/05/14/0608000000AKR20170514013500009.HTML?template=2087

    そもそも、米国が言う「北朝鮮のICBM」の定義は曖昧であったのだが、今回発射したミサイルが「ICBMと異なる」としているのは、米本土に到達する文字通り「大陸間」ではなかったこともあるが、北朝鮮による中短距離のミサイル発射は、米国が「先制攻撃」の一つの条件として警告している「ICBMの発射とは異なる」という立場を明確にしたことになる。

    今後、一般的な声明として「明白な安保理決議違反」というような声明は国務省かホワイトハウスから形式的に出されるだろうが、その後、米国が何を言い出すかに注目する必要がある。

    <追記6>
    その系では、明日、ホワイトハウスの朝鮮半島担当官が訪韓し、韓国大統領らと会談することになっている点にも注目しておく必要がある。北朝鮮は、同担当官が訪韓する前にミサイルを発射しておけば、米韓当局者がそれをどのように評価・判断するのか、特に文ジェインが韓国の立場、米国との関係でどのようなスタンスを取るのかを見極めることができる。文ジェインは、「北朝鮮との対話の可能性は開かれているが、北朝鮮が誤った判断をしないよう挑発に対しては断固たる対応をしなければならない ( "북한과의 대화 가능성을 열어두고 있지만, 북한이 오판하지 않도록 도발에 대해서는 단호히 대응해야 한다")」と述べている。文ジェインのこの発言は、「断固たる対応」とは言っているものの、依然として「対話の可能性は開かれている」とも言っている。前者は米国も含む国際社会、そして韓国民へのメッセージであり、後者は北朝鮮に対するメッセージといえる。

    『聯合ニュース』、「美 백악관 한반도 담당자들 내일 방한…한미정상회담 조율」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/13/0503000000AKR20170513046200014.HTML?template=2087
    『聯合ニュース』、「文대통령 "대화 가능성 열어두되 北 오판 않도록 단호대응"(종합)」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/14/0501000000AKR20170514019300001.HTML?template=2085

    <追記7>訂正
    Global Timesをよく見たら、北京時間9時31分のスタンプがついた『新華社』報道が下の方にあった。

    Global Times, DPRK launches projectile believed to be ballistic missile: report, http://www.globaltimes.cn/content/1046801.shtml

    Global Timesは、北朝鮮のミサイル発射を日本時間の11時が過ぎるも報じていない。4月29日5時30分(日本時間)に北朝鮮がミサイルを発射したときは、Global Timesは『新華社』を引用しながら、8時23分(北京時間、日本時間9時23分)のタイムスタンプで報じている。

    Global Times, DPRK test-launches ballistic missile but fails, http://www.globaltimes.cn/content/1044623.shtml
    Global Times, Chinese president inaugurates Belt and Road forum, http://www.globaltimes.cn/content/1046802.shtml

    ところが今日は、『新華社』を引用しながらの第1報は、習近平による一帯一路フォーラムの開会宣言と基調演説である。中国にとっては、北朝鮮のミサイル発射どころではないというところが実状なのだろうが、習近平の同フォーラム開会宣言への「祝砲」が如く打ち上げたミサイルを中国はどう受け取るのか、今のところGlobal Timesに報道はない。

    <追記8>
    『聯合ニュース』がAPが専門家から聞いた話を引用しながら、今回発射したミサイルは4500キロ飛行可能と。到達高度は2000キロとしている。

    『聯合ニュース』、「美전문가 "北미사일, 정상발사하면 사거리 4천500㎞ "」、http://www.yonhapnews.co.kr/international/2017/05/14/0619000000AKR20170514030700009.HTML?template=2087

    もう少しでICBMになりそうな距離だ。
    20170514 dprk missile 4500km radius
    Source: Google Earth

    「身の程知らずの分不相応の行い」:「トランプ政権が我々に接近姿勢」、「我々は米国と清算することが多い」 (2017年5月13日 「朝鮮中央通信」)

    13日、「朝鮮中央通信」に「身の程知らずの分不相応な行い」という記事が掲載された。記事の主題は、米国と北朝鮮の接触に南朝鮮傀儡保守一味(つまり、旧政権)が口出しをしていると言うものであるが、その中に北朝鮮の対米認識と現状が含まれており興味深い。

    記事は冒頭で、

    **********
    最近、南朝鮮傀儡保守一味は、米国のトランプ政権が、我々に接近する姿勢を見せていることについて、極度の不安を隠せずにいる。
    최근 남조선괴뢰보수패당은 미국의 트럼프행정부가 우리에게 접근할 자세를 보이는데 대해 극도의 불안한 기색을 감추지 못하고있다.
    **********

    と書いている。既に政権から去った「南朝鮮傀儡保守一味」が「極度の不安」を感じているのかはさておき、北朝鮮が「トランプ政権が、我々に接近する姿勢を見せている」という認識を示していることは重要である。

    さらに、

    ************
    我々は、朝鮮半島と民族の運命に関し、米国と清算することが多い。
    우리는 조선반도의 평화와 민족의 운명과 관련하여 미국과 회계할것이 많다.
    ************

    とも述べている。上では「清算」と訳したが、朝鮮語では「清算」は別の語彙としてあるので、漢字語をそのまま表記すれば「会計」となる。urimnzokkiriの朝鮮語大辞典で調べると、「会計」の5つ目の意味として、「『過去の過ちを責める言葉』をなぞらえる言葉 (《지난날의 잘못을 따지는것》을 비겨 이르는 말)」と書かれているので、北朝鮮側が米国の「過去の過ちを責める」という意味で、「清算」と訳しておいた。

    ともあれ、これまでのように「不倶戴天の敵米帝を、核宝剣で粉砕する」のではなく、対話で「会計」すると言っているので、やはり北朝鮮側にも「姿勢」の変化が見えている。

    제 푼수도 모르는 주제넘은짓

    「中国に行く朝鮮政府代表団出発」:一帯一路フォーラムに参加するために (2017年5月14日 「朝鮮中央通信」)

    13日、「朝鮮中央通信」が、一帯一路フォーラムに参加する朝鮮代表団について報じた。

    ************
    中国に行く朝鮮政府代表団出発
    중국에 가는 조선정부대표단 출발

    (平壌5月13日発 朝鮮中央通信)
    (평양 5월 13일발 조선중앙통신)

    金ヨンジェ対外経済相を団長とする朝鮮民主主義人民共和国政府代表団が、中国で開催されている「一帯一路」国際協力に関する首脳者演壇に参加するために13日、平壌を出発した。
    김영재 대외경제상을 단장으로 하는 조선민주주의인민공화국 정부대표단이 중국에서 진행되는 《하나의 지대,하나의 길》국제협조에 관한 수뇌자연단에 참가하기 위해 13일 평양을 출발하였다.(끝)
    *****************

    北朝鮮が中国を名指しで批判する「金チョル論評」を出して以来初めての、中朝関係報道。

    「北朝鮮“条件整えばトランプ政権とも対話”」:「核放棄されますか?で、「フフフ」と笑い (2017年5月13日 「日本テレビ系」)

    13日、『日本テレビ系』の報道によると、ノルウェーで米朝非公式接触に臨んだ北朝鮮の米州局長が、中国の空港でインタビューに応じた。インタビューに応じる雰囲気からすると、今回の非公式接触の結果は、決して北朝鮮にとって悪いものではなかったようだ。

    『日本テレビ系』、「北朝鮮“条件整えばトランプ政権とも対話”」、https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20170513-00000040-nnn-int

    それは、米国との対話について、「条件が合えば、トランプ政権とも対話しますよ、そりゃ」という感じで答えている。彼女の言葉遣いは、北朝鮮の公式メッセージという雰囲気はなく、素直に、今回の米朝対話を受けての自分の感想のように聞こえる。もちろん、対話の進捗状況については、本国に逐次連絡を入れ、場合によっては指示を受けているはずだから、この発言は、さほど軽いものでもない。

    また、「核は放棄されますか?」という質問に対しては、軽く「フフフ」と笑っている。「核は、我々の命。交換材料ではない」という北朝鮮の公式コメントを言うわけでもなく、軽く「フフフ」と笑っているのは、「そんなはずないじゃない、馬鹿ねえ」と思ってのことなのか、「まあ、見ていれば分かるわよ」と何らかの思惑があるのかは、なかなか判断がつかない。

    雰囲気からは、やらないよりもやった方がよい接触だったことが伝わってくる。

    「朝鮮民主主義人民共和国中央検察所声明」:「テロ犯」引き渡し要求、北朝鮮は、「国際組織犯罪防止条約」加盟国、共謀罪 (2017年5月13日 「労働新聞」) 

    13日の『労働新聞』に「朝鮮民主主義人民共和国中央検察所声明」が掲載された。内容は、「最高首脳部を狙ったテロ」の国外にいる犯人を北朝鮮に引き渡せというものである。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 중앙검찰소 성명」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2017-05-13-0013

    以前紹介したことがあると思うが、北朝鮮刑法第8条では「共和国領域外で共和国に反対したり、共和国公民を侵害した外国人にもこの法律を適用する」と規定している。地球上どこにいても、「共和国に反対」できないスーパー刑法条項だが、今回はこの法律と同第21条の「犯罪組織体の首謀者と追従者につしては、その組織体が目的とした犯罪に該当する条項により、刑事責任を科し、首謀者は重罰の処す」という規定に従い、南朝鮮「前」国情院関係者などを引き渡せと要求している。「傀儡国情院院長」から「前国情院院長」へと「傀儡」が落ちたのも、新国情院長が対北融和的であるからだろう。

    そして引き渡し要求の根拠として「国際組織犯罪防止条約」の第16条第4項「犯罪人引渡条約の締結を引き渡しの条件とする当事国が、犯人引渡条約を締結していない他の当事国から犯人引き渡し要請を受けた場合、その当事国は、この条項に適用される犯罪と関連し、本条約を引き渡しのための法律的根拠と見なすことができる」ということと、同2条を要約しながら「犯罪を行う目的で一定期間、お互いに協力しながら活動する3人以上で構成された組織犯罪集団を組織犯罪集団と規定し、国際的性格を帯びた犯罪に限り、この条約が適用されると規定されている」と主張している。

    これを言うからには、北朝鮮は「国際組織犯罪防止条約」に加盟しているはずだと思い調べてみたら、やはり加盟していた。調べてみると、同条約に加盟していないのは11カ国だけで、それに日本も含まれている。

    日本外務省は、こうした状況からして

    *************
    我が国において,国際組織犯罪防止条約を締結することにつき,2003年5月に既に国会の承認が得られましたが,条約を実施するための国内法が国会で未成立のため,この条約を締結するには至っていません。我が国以外の全てのG7諸国を含め187か国もの国・地域(2017年4月1日現在)がこの条約を締結済みです。我が国がこの条約を締結することにより,深刻化する国際的な組織犯罪に対する国際的な取組の強化に寄与することができると考えています。国際社会からの要請も踏まえ,早期にこの条約を締結することが,我が国の責務です。

    日本外務省HP、 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(略称:国際組織犯罪防止条約)、http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/soshiki/boshi.html
    *************

    と主張しているが、この条約を締結するためにどうして「共謀罪」を制定しなければならないのかについては、明確な説明がない。具体的にこの条約のどの条項に何に抵触して、現行の日本の法制度では加盟できないのかが全く分からない。Q&Aには赤字で「テロを含む組織犯罪を未然に防止し,これと戦うための枠組みである国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結して,国民の生命・安全を守るため」と条約締結の意義について書かれているが、その少し下に「年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控える中,このような国内外の組織犯罪情勢等を考慮すると,テロを含む組織犯罪の未然防止に万全の態勢を整える必要があります」と関係ない理由が書かれている。

    これが詭弁で、同条約を締結することを目的としているのか、オリンピックを口実に「テロを含む組織犯罪の未然防止」を目的としているかはっきりとしない。そもそも、オリンピックを口実に国民の基本的人権を制限する必要もないし、基本的人権を制限しなければオリンピックができないような不安な国ならば、オリンピック開催など返上した方がよい。

    さらに、条約加盟のための「共謀罪」法案作成に当たり、同条約を締結している187カ国の条文を詳細に検討したのであろうか。条約締結を真の目的とするのであれば、それに必要な最低条件をクリアしている国の法律に準じればよいだけである。

    187カ国全てを調べるわけにはいかないので、取りあえず北朝鮮の『法典』に出ている範囲内で北朝鮮の法律を調べてみたが、刑法20条ぐらいしか該当しないように思われる。

    朝鮮民主主義人民共和国刑法
    第20条(犯罪の準備と未遂に対する刑事責任)
    犯罪の準備と未遂に対する刑事責任は、犯罪の危険性の程度、犯罪の実行程度、既遂に至らなかった原因を斟酌して科す。
    犯罪の準備と未遂については、既遂と同様な条項を適用する。
    犯罪の準備は、未遂、犯罪の未遂は既遂よりも軽く処罰する。

    この他の法律がないのであれば、北朝鮮はこの国内法で同条約の締結国となっているのである。北朝鮮で、現実的にはさらに厳しく、時には法律を逸脱した警察権力・国家権力が行使されていると想像に難くないが、それは国際的な非難の対象にこそなれ、締結の条件にはならない。

    だとすると、日本の刑法にも重大な犯罪に対する「予備罪」という条文があり、それだけでも充分に、この条約を締結する根拠となり得る。それを、同条約にある「agreement」という言葉に拘り、「合意」(「共謀罪」では、「計画」と巧みに言い換えているが)だけ犯罪が成立し、その「合意」(あるいは「計画」)の定義すら曖昧な状態での法制化など受け入れられない。

    話が逸れたが、北朝鮮は、この条約締結国として、犯人引き渡しを要求しているわけであるが、ならば、日本も無理に「共謀罪」など制定せず、現行法制度の中で同条約に加盟し、北朝鮮に対して「日本人拉致実行犯」の引き渡しを要求すればよい。「将軍様」が誰であれ「自分の部下が拉致を実行した」ことを認め、北朝鮮の「中央検察所」がこのような見解を出しているのだから、日本は堂々と引き渡しを要求できるはずである。

    それなのに、姑息な言い訳を使いながら、反対が多い法律を無理矢理通過させようとするのは、一体、何がしたいからなのだろうか。現行法で同条約を締結できるのであれば、そうすればよい。

    「敬愛する最高領導者金正恩同志が、人民武力省機械工具、外装建材及び科学技術成果展示会場を視察された」:韓国大統領選挙後初の写真でニコニコ、科学技術成果の写真は? (2017年5月13日 「労働新聞」)

    13日、『労働新聞』に「敬愛する最高領導者金正恩同志が、人民武力省機械工具、外装建材及び科学技術成果展示会場を視察された」という記事が掲載された。韓国大統領選挙後に初めて登場した「元帥様」、ニコニコしている。

    2017-05-13-01-01.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고령도자 김정은동지께서 인민무력성 기공구, 마감건재품 및 과학기술성과전시회장을 돌아보시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2017-05-13-0001_photo

    「科学技術成果」については、写真を見る限り今一つ分からないが、「朝鮮中央TV」でさらに多くの写真を使った報道があれば、もう少し詳しく分かってくるだろう。

    一帯一路フォーラムに集まる、米国、日本、韓国、そして北朝鮮の政府代表、フォーラム外の接触もあるのか? (2017年5月12日 「中国外交部」)

    12日、中国外交部定例記者会見で、一帯一路フォーラム2017に韓国代表も参加することが明らかにされた。韓国から参加するのは韓国国会元副議長の朴ビョンソク(共に民主党)が率いる代表団だという。

    米国からは、大統領特別補佐官兼国家安全保障会議アジア局長のマット・ポッティンガー、そして日本からは自民党幹事長の二階俊博が参加するとしている。

    記者からは、「代表団の名簿はウェブ上で公開されているのか」という質問が出され、報道官は一帯一路フォーラムのメディアセンターが12日から稼働しているので、そちらに問い合わせて欲しいと答えている。

    北朝鮮も代表団を派遣すると既に中国外交部報道官は答えているので、北朝鮮が本当に代表団を派遣するのであれば、参加者の名前もいずれ分かってくると思う。

    「協力」というテーマで開催される一帯一路フォーラムを中国が主催し、そこに北朝鮮、そして米日韓が参加するというのは、意味深いことだと思う。米国に追随しただけなのかも知れないが、安倍政権が二階幹事長を派遣すると判断したのは、正しい選択だと思う。変化球ではあるが、北朝鮮問題解決に繋がっていけばよいのだが。

    Foreign Ministry of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Geng Shuang's Regular Press Conference on May 12, 2017, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1461111.shtml

    「正男氏、米情報機関とつながり? 殺害前に米国人と接触」:「最高首脳部に対するCIAのテロ」との関連か (2017年5月13日 「朝日デジタル」)

    13日、『朝日デジタル』に「正男氏、米情報機関とつながり? 殺害前に米国人と接触」という記事が掲載された。同紙がマレイシア捜査当局への取材で得た情報だという。

    『朝日デジタル』、「正男氏、米情報機関とつながり? 殺害前に米国人と接触」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170513-00000015-asahi-int

    報道のタイミングも微妙ではあるが、北朝鮮の「国家保衛部」が言っている「最高首脳部に対するCIAのテロ」との関連では、興味深い。金正男殺害から、昨今の「テロ」にまでこのような形で繋がるとは思っていなかった。

    ウラジオストック港に航空燃料用途の北朝鮮タンカー到着 (2017年5月13日)

    13日朝のMarine Trafficを見ると、ウラジオストック沖にさらに1隻の北朝鮮船舶が停泊していた。

    20170513 0750jst vlad aviation fuel tanker
    Source: Marine Traffic, 2017/05/13 0745JST

    Marine Traffic上での色分けはグリーンなので、通常の貨物船と思いきや、詳細を調べると、AISデータにある船舶の種類は「Tanker - Hazard A (Major)」とされている。「Hazard(危険)」物質を運搬するタンカーのようだったので、色々と調べてみた。

    20170513 madusan dprk tanker x
    Source: Marine Traffic, https://www.marinetraffic.com/en/ais/details/ships/shipid:675384/mmsi:445219000/imo:8021579/vessel:MADUSAN/_:53ce9016fd43eee14e444b55d66d4023

    AISデータに含まれる「Hazard A」という物質は、IMOでは「Category X」に該当する物質であるということが分かった。この「Category X」に含まれる物質は、「Noxious Liquid Substances」、つまり「有害な液体」であり、人体や環境に「a major hazard (非常に危険)」な物質であるとされている。

    IMO, Carriage of chemicals by ship, http://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/ChemicalPollution/Pages/Default.aspx

    では、その「Category X」には、どのような液体が含まれるのかと調べてみた。すると、化学物質のリストが見つかった。聞いたことがないような、化学用語なので日本語訳したところで、何のことか分からない物質ばかり列挙されているが、その中に「Aviation alkylates」というものが含まれていた。

    Cornell University School of Law, 46 CFR 30.25-1 - Cargoes carried in vessels certificated under the rules of this subchapter., https://www.law.cornell.edu/cfr/text/46/30.25-1

    「aviation」が「航空」であることは分かるが、「alkylates」が何なのか分からない。色々と検索していると、Google BooksでFutuer Fuels for General Aviationという本の一部が出てきた。読んでもどうせ分からないだろうから、眺めていると、「alkylates」を「脱ブタン塔」を通して精製していくと、航空燃料ができるというような記述があった。

    Google Books, https://books.google.co.jp/books?id=mklN1ROzc5kC&pg=PA5&lpg=PA5&dq=Aviation+alkylate&source=bl&ots=kXV5bSnPbO&sig=lsKWSpfWGvhkf6IokPooytR0GLg&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwip-Oaft-vTAhUCvrwKHVVYBgsQ6AEIPzAC#v=onepage&q=Aviation%20alkylate&f=false

    こうしたことからすると、この船は航空燃料か精製すれば航空燃料に使える液体を調達するためにウラジオストックにやって来たと推測される。過去記事に書いた通り、中国ほどロシアは注目していなかったので見落としていた可能性はあるにせよ、これほどまでに北朝鮮船舶、しかもタンカーが停泊しているのは初めて見る。

    これは、中国からの石油を含む燃料供給の量的あるいは質的変化に対応するものなのか、調達先を多元化するためなのか、朝露間で何か新たな取り決めがされた結果なのかは分からない。万景峰号の羅先-ウラジオストック間定期航路開設の話もあったので、油類取引についても何か取り決めが成された可能性は充分にある。

    しばらくは、黄海よりも日本海に注目する必要がありそうだ。

    ウラジオストック港に北朝鮮タンカーさらに1隻、埠頭にいたタンカーは出港か (2017年5月12日)

    12日朝8時半(日本時間)頃のMarine Trafficを見ると、ウラジオストック港に新たに1隻、北朝鮮タンカーが入港してきている(航行中)。そして、埠頭で石油(あるいは製油されたその他の油類)を積み込んでいたRyesonggang-1は出港したようだ。

    この埠頭と周囲に広がる貯蔵タンク群について調べているのだが、なかなか詳細を見つけることができない。

    20170512 0819jst mt vladio yujong-2
    Source: Marine Traffic, 2017/05/12 0820JST

    トランプ韓国新大統領関連ツイート無し、トランプがキッシンジャーと会う、ノルウェー米朝非公式会談、北朝鮮での米国人拘束その後 (2017年5月11日)

    12日朝現在、トランプは新韓国大統領についてのツイートはない。ロシア外相ラブロフの訪米についてはツイートしているので、このまま韓国新大統領関連のツイートは無しで終わるのであろう。

    ホワイトハウスのHPには、11日にトランプがしたことの1つとして、文ジェインとの電話通話が出ている。それによると、トランプは民主的な政権交替を祝し、両者は米韓関係の強化を確認した、という。そして、文ジェインをワシントンに招聘したと書かれている。

    White House HP, Readout of President Donald J. Trump’s Call with President Moon Jae-in of the Republic of Korea, https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/05/10/readout-president-donald-j-trumps-call-president-moon-jae-republic-korea?utm_source=email&utm_medium=email&utm_content=20170511_ADM_1600-Daily

    一方、キッシンジャーがホワイトハウスを訪れ、トランプと一緒にいる動画が公開されている。トランプは、キッシンジャーとロシア問題やそれに付随するシリア問題について話したようなことを言っている。しかし一応、ノルウェーで米朝非公式会談が行われた直後であるということも留意しておく必要がある。

    Source: White House HP, President Trump met with former Secretary of State Henry Kissinger yesterday, https://youtu.be/4enlDgUP5Zc

    ノルウェーの英字メディアも色々と読んでいるが、どうやらオスロで数日間にわたり協議が開催されたということあたりまでしか確認できない。この協議にノルウェー政府は直接関わっていないが、場所を提供していることについては、否定していない。日本メディアは、北京空港で北朝鮮代表団の帰国を待っているはずなので、そこで何かが出てくるかもしれない。

    「朝鮮中央通信」は、「朝鮮外務省スポークスマン、米国人抑留は主権国家の堂々たる権利行使だと主張 (조선외무성 대변인 미국인억류는 주권국가의 당당한 권리행사라고 주장)」という記事を11日配信した。米国メディアなどが、「抑留」されている米国人は「人質」だとしていることに抗議する内容であるが、北朝鮮外務省スポークスマンは「今回、抑留された者共が、いかなる犯罪を犯したのかは、直ぐに公開する (이번에 억류된 자들이 어떤 범죄를 저질렀는지는 곧 알려지게 될것이다.)」としている。「最高首脳部を狙ったテロ」に関わっているのか否かが注目される。

    <追記>
    『TBS NEWS』が、オスロの米朝非公式会談で、北朝鮮に拘束されている4人の米国人について話し合われ、それぞれがいったん持ち帰って協議することになったと伝えた。入り口としては悪くない。

    『TBS NEWS』、「米朝、米国人4人の釈放めぐり調整へ」、https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20170511-00000088-jnn-int

    北朝鮮が、重大な「テロ犯」を米国からの「謝罪と懇願」を受け、「寛大に」追放するという形を取るのか、あるいは、調査した結果、罪状は重いが反省もしているので、「寛大に」追放とするのか、それらのコンビネーションなのかが注目される。

    「米国の対朝鮮国家テロ行為は、前代未聞の大惨敗として歴史に記録されるであろう-朝鮮中央通信社備忘録-」:「反テロ戦」と言われれば、納得もする (2017年5月11日 「朝鮮中央通信」)

    11日、「朝鮮中央通信」に長い「備忘録」が掲載された。長いので斜めにしか読んでいないが、読んでいて、そう言われればそうかと妙に納得する部分があった。

    ****************
    4月に行われた「朝鮮人民軍特殊作戦部隊降下及び対象物打撃競技大会-2017」は、敵対勢力共の行いうるテロ盲動に対処し、一旦有事、そのいかなる特殊作戦任務も完全に遂行できるよう作戦戦闘計画の現実的可能性を完成し、戦闘行動プロトコルをさらに熟練させている我々の正義の反テロ戦の一端を誇示した。
    지난 4월에 진행된 《조선인민군 특수작전부대 강하 및 대상물타격경기대회-2017》은 적대세력들의 있을수 있는 테로망동에 대처하여 일단 유사시 그 어떤 특수작전임무도 원만히 수행할수 있도록 작전전투계획의 현실적가능성을 완성하고 전투행동조법을 더욱 숙련시키고있는 우리의 정의의 반테로전의 일단을 과시한것이다.

    미국의 대조선국가테로행위는 전대미문의 대참패로 력사에 기록될것이다
    --조선중앙통신사 비망록--
    ******************

    「朝鮮人民軍」というと、どうも攻撃的性格の印象が強いが、確かに、「最高首脳部」を狙ったテロ集団が北朝鮮領内に侵入した場合、このような出で立ちの「人民軍特殊作戦部隊」が対処しても不思議ではない。今回、なぜ青瓦台や朴槿恵人形が出てこないのかと思っていたが、想定は青瓦台ではなく、平壌の「最高首脳部」警護あるいは、救出作戦だったのかもしれない。

    2017-04-13-01-08.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고령도자 김정은동지께서 《조선인민군 특수작전부대 강하 및 대상물타격경기대회-
    2017》을 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2017-04-13-0001_photo

    朝鮮中央TV 南朝鮮選挙結果放送中 (2017年5月11日 「朝鮮中央TV」)

    11日、「朝鮮中央TV」の「20時報道」で、「南朝鮮選挙」結果について報道した。立候補者と当選した文ジェインの投票率について言及。

    「第19代大統領」と言っており、「第19代傀儡大統領」とは言っていない。

    朴槿恵が当選したときと比べて、早い報道か・・要確認。

    日本語字幕付き。

    Source: KCTV, 2017/05/11 2045JST

    <追記>
    「朝鮮中央通信」にも同様の記事が掲載されている。表記は「第19代<<大統領>>」と、「大統領」には、通常通り括弧が付けられている。

    <追記2>
    『韓国経済新聞』によると以下。

    「北朝鮮は2012年、朴槿恵前大統領の当選確定から2日後に朝鮮中央通信で朴前大統領を「セヌリ党候補」と伝えた。2007年の李明博元大統領当選時は選挙の1週間後に朝鮮新報で「庶民が李明博候補を選んだ」と報じた。 」

    『韓国経済新聞』、「韓経:<第19代大統領・文在寅>朝鮮新報「9年間続いた保守政権に終止符」」、http://japanese.joins.com/article/965/228965.html

    同記事によると朝鮮総連の『朝鮮新報』はもっと早く伝えていたらしい。ともあれ、国内向けのテレビ放送で、就任翌日に迅速かつ正確に伝えていることからして、北朝鮮の文ジェインに対する期待値が相当高いことを示している。

    <追記3>
    12日の『労働新聞』にも「朝鮮中央TV」と同じ内容の記事が掲載されている。

    上から3つの記事。「南朝鮮で第19代<大統領>選挙が行われる」、「日本軍性奴隷問題<合意>を直ぐに無効化しろ」、「米帝の核航空母艦打撃団で事故連発」。
    20170512 rodong namcho
    Source: 『労働新聞』、2017/05/12 6面下

    文ジェイン、安倍と電話、「北朝鮮問題で緊密に連携」、日韓合意は安倍「履行が重要」、文「賢明に解決」、<追記>日韓で発表に違い (2017年5月11日 「聯合ニュース」)

    11日、文ジェインが、トランプ、習近平に続き、安倍に電話したと『聯合通信』が伝えた。

    両者は「北朝鮮問題で緊密に連携して行くことを確認」し、「できるだけ早期に首脳会談を開催することで合意」したという。日韓慰安婦合意では、安倍が「実施が重要」と述べたのに対し、文は「賢明に解決」と思惑の違いを見せたという。

    『聯合ニュース』、「교도 "文대통령·아베총리 '北문제 연대·조기정상회담 합의'"」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/11/0501000000AKR20170511139700073.HTML?template=2085

    ともかく、両者が電話で話したことはよいことだと思うが、上の報道を見る限りでは、さして重要なことは話し合われなかったようだ。

    ロシアのプーチンも文ジェインに祝電を送っているが、文はロシアのことを忘れているのだろうか。

    <追記>
    日韓で発表に違いがあったと『朝日デジタル』が報じた。日本側は、副官房長官が陪席したとのことなので、日本国民としては、正直に発表していることに期待をしたい。発表があった部分には、国家機密に属するような内容はない。

    『朝日デジタル』、「日韓電話協議、双方の発表に違い 慰安婦合意めぐり」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170512-00000001-asahi-int

    文ジェイン、習近平と電話:文「制裁・圧迫と交渉は並行すべき」、習「サード反対、文招聘」 (2017年5月11日 「聯合ニュース」)

    11日昼頃、文ジェインと習近平が40分間、電話で話をしたと『聯合ニュース』が伝えた。

    文ジェインは、「北朝鮮の核問題の解決は、包括的・段階的に行い、圧迫・制裁と交渉を並行しなければならない」、「北朝鮮に対する制裁も、究極的に北朝鮮を核廃棄のための交渉の場に引き出すことが目標」と「強調」したという。

    これに対し習近平は、「THAADの韓国配備に関する基本的立場(反対の立場)を表明」したにに対し、文ジェインは「中国の関心と憂慮はよく分かっている」と応じたという。

    文ジェインは「THAAD問題と北朝鮮問題を議論する代表団をそれぞれ中国に派遣する」と述べ、習近平は「文ジェイン大統領の中国訪問を公式招聘した」という。

    『聯合ニュース』、「文대통령, 시주석과 첫 통화…"사드·북핵 특사단 中 파견"」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/11/0505000000AKR20170511119400001.HTML?template=2085

    文ジェインは、「圧迫・制裁と交渉の並進路線」を習近平に提案した。昨日の就任直後の記者会見でも言っていたように、北朝鮮の「核放棄」がなければ対話にも応じないという前政権の対北朝鮮政策を変更している。北朝鮮は、文ジェインの「並進路線」提案を「核は我々の命、交換材料ではない」と一蹴してしまうのだろうか。

    習近平は、やはり中韓間の最大の懸案はTHAADであることを文にまず伝えた。そもそも、韓国へのTHAAD配備は北朝鮮の核・ミサイルに端を発するものであったわけだが、このところ、その関係が薄れて別々に動いていた。文は「THAAD問題と北朝鮮問を議論する代表団をそれぞれ派遣」と言ってはいるものの、やはりこの2つは再び繋ぎ合わせて中国と交渉をしていきたいのではないかと思う。北朝鮮の脅威のレベルが下がれば、THAAD撤去もするということではないだろうか。米国と中国のバランスを取りながら進めなければならないので容易ではないが、それも旧政権から引き継いだ重い課題として取り組む用意はあるはずだ。

    <追記>
    Global Timesに習近平-文ジェイン電話会談の詳細が出ていた。

    これまで書いた記事との関係では、

    ****************
    韓国は、六者会談のような方法をできるだけ早い時期に再開し、朝鮮半島の非核化を実現することに中国と共に取り組むと新大統領(文ジェイン)は言った。
    South Korea is willing to work with China to realize the goal of denuclearization of the Korean Peninsula through measures such as restarting the six-party talks as early as possible, the new president said.

    韓国は、中国が提案している一帯一路を高く評価し、韓国や中国を含む一帯一路の周辺国に繁栄をもたらすことを期待していると文ジェインは言った。
    South Korea is highly appreciative of China-proposed Belt and Road Initiative, and expects it to bring prosperity to countries and regions along its routes, including South Korea and China, Moon said.
    ******************

    韓国報道では明らかになっていなかったが、習近平との電話会談では、六者会談という具体的な対話の場にまで話が及んでいたようだ。

    また、中国が韓国を一帯一路フォーラムに招待するかについて過去記事に書いたが、上の文ジェインの発言からすれば、中国からフォーラムに招聘があり、韓国側での調整が必要なため一旦留保するも、前向きに望むという姿勢を示したのではないかと思われる。

    Global Times, Chinese president talks with South Korean president by phone, http://www.globaltimes.cn/content/1046423.shtml

    北朝鮮タンカー、ウラジオストックで原油(かLNG)積み込み開始 (2017年5月11日)

    11日、12時25分頃Marine Trafficを確認したところ、ウラジオストック沖に停泊していた4隻の北朝鮮タンカーのうち、1隻(Ryesonggang-1)が原油あるいはLNGタンクからパイプラインが接続されている埠頭に着岸していた。このタンクに何が貯蔵されているのかについては、英語情報があれば、もう少し調べることができると思う。

    20170511 1225jst vlad resong
    Source: Marine Traffic, 2017/05/11 1225JST

    同じ場所をGoogle Earthでみるとこうなっている。(日時が異なり、停泊している船も異なる)
    20170511 gomap dprktanker vlad
    Source: Google Earth

    対馬海峡を航行していた北朝鮮タンカーは、AIS受信設備の関係で見えなくなっている。北朝鮮の港に入港していなければ、ウラジオストックで数日以内に確認できると思う。

    「<情勢論解説>自主統一の明るい前途を明らかにした不滅の大綱」:「南朝鮮」非難する記事なく、交流を求める (2017年5月11日 「労働新聞」)

    11日の『労働新聞』に「自主統一の明るい前途を明らかにした不滅の大綱」という「情勢論解説」が掲載された。北朝鮮メディアは、文ジェイン政権誕生について一切報道していないが、この「情勢論解説」は、新政権を意識して書かれている。

    まず、現朝鮮半島情勢について、

    ****************
    朝鮮半島は、一時的な停戦状態にあり、軍事分解線をはさんで双方が緊張した状態で対峙している。米帝と南朝鮮傀儡一味は、いわゆる「北核脅威」について騒ぎ立てながら、それに対処するという口実の下、大規模な武力増強と北侵合同軍事演習にしがみつきながら、朝鮮半島の緊張状態を激化している。少し前にも、米国と傀儡抗戦凶共は、核航空母艦をはじめとした戦略兵器を投入し「トクスリ」合同軍事演習を発狂的におこなった。世界的に最もホットな朝鮮半島で、平和と安全を保証できないのなら、それにともなう不安定な情勢は、我々の生存と発展を危うくし、結局、神聖な祖国の地に戦争の残酷な災難をもたらすであろう。これは、絶対に許すことはできない。
    조선반도는 일시적인 정전상태에 있으며 군사분계선을 사이에 두고 쌍방이 첨예하게 대치하고있다.미제와 남조선괴뢰패당은 그 무슨 《북핵위협》에 대해 떠들며 그에 대처한다는 구실밑에 대규모적인 무력증강과 북침합동군사연습에 매달리면서 조선반도의 긴장상태를 격화시키고있다.얼마전에도 미국과 괴뢰호전광들은 핵항공모함을 비롯한 핵전략자산들을 투입하여 《독수리》합동군사연습을 발광적으로 벌리였다.세계적으로 가장 위험한 열점지대인 조선반도에서 평화와 안전을 보장하지 못한다면 그로 인한 불안정한 정세는 우리 민족의 생존과 발전을 위협하고 나중에는 신성한 조국강토에 전쟁의 참혹한 재난을 불러오게 될것이다.이것을 절대로 허용할수 없다.
    ***********

    と、「傀儡戦争凶」を非難しつつも、これまでの「やるならやっってやる」という表現は使わず、「祖国の地に戦争の残酷な災難を引き起こすことは・・・絶対に許せない」としている。

    そして、韓国新政権に対しては、

    ************
    南朝鮮当局は、外部勢力に追従し、それと野合し、同族に反対する無分別な政治軍事的挑発と戦争演習という反民族的な犯罪行為を止めなければならない。国の統一を武力行使ではなく、平和的方法で実現する最も正当な方法は、連邦制方式の統一である。それは、北と南にお互いに異なる思想と制度が長い間、固着してきた現実的条件に全的に符合する。

    남조선당국은 외세에 추종하며 그와 야합하여 동족을 반대하는 무분별한 정치군사적도발과 전쟁연습을 벌리는 반민족적인 범죄행위를 걷어치워야 한다.나라의 통일을 무력행사가 아닌 평화적방법으로 실현하는 가장 정당한 방도는 련방제방식의 통일이다.그것은 북과 남에 서로 다른 사상과 제도가 오래동안 고착되여온 현실적조건에 전적으로 부합된다.
    ***************

    とし、「南朝鮮当局」に米国との合同軍事演習を中止することを求めている。「傀儡一味」ではなく、新「南朝鮮当局」であるところに注意しておく必要がある。「連邦制」は、「首領様」の時代から言われていることであるが、「革命武力」で「傀儡一味を掃討」して、「祖国統一を必ずや達成する」とこのところずっと言ってきた北朝鮮が、「統一は、武力行使ではなく、平和的方法で実現する(のが)最も正当な方法」と言い出しているのも、新政権誕生を受けてのことであろう。

    その上で、

    ***********
    南朝鮮当局は、同族対決観念を捨て、相手側に対する態度から正さなければならない。相手方を刺激するあらゆる敵対行為を中止しなければならず、反共和国ビラ飛ばしをはじめとした審理謀略策動を止め、民族の和解と団合を遮る法律的、制度的装置をなくさなければならない。

    남조선당국은 동족대결관념을 버리고 상대방을 대하는 태도부터 바로가져야 한다.상대방을 자극하는 온갖 적대행위들을 중지하여야 하며 반공화국삐라살포를 비롯한 심리모략책동을 걷어치우고 민족의 화해와 단합을 가로막는 법률적, 제도적장치들을 없애버려야 한다.
    *************

    としている。この「情勢論解説」では、旧「傀儡一味」に対しては、「同族対決観念」が滲み出ている表現を使っているが、新「南朝鮮当局」に対しては、「相手方を刺激する」言動は控えている。

    *************
    北と南は、軍事的緊張状態を緩和し、全ての問題を対話と交渉の方法で解決しなければならない。軍事分解線と西海熱戦地域から軍事的緊張と衝突の危険を減らすための措置を取り、信頼の雰囲気が造成されれば、範囲を拡大していかなければならない。北と南は、各分野で各種・各クラスの対話と交渉を積極的に発展させなければならない。

    북과 남은 군사적긴장상태를 완화하며 모든 문제를 대화와 협상의 방법으로 해결해야 한다.군사분계선과 서해열점지역에서부터 군사적긴장과 충돌위험을 줄이기 위한 조치를 취하며 신뢰분위기가 조성되는데 따라 그 범위를 확대하여야 한다.북과 남은 여러 분야에서 각이한 급의 대화와 협상을 적극 발전시켜야 한다.
    ****************

    と南北対話を求めている。西海熱戦地帯の緊張緩和は、「将軍様」と盧武鉉が進めようとしていたが、頓挫した課題である。過去記事で、盧武鉉と「将軍様」の会談スクリプトを全訳したが、確か、その中でそんな話がされていた。この、最後の訴えなど、一気に金大中・盧武鉉時代にタイムスリップしたような雰囲気さえある。

    北朝鮮としては、少しずつこうした提案をしながら、韓国側の出方をうかがうのであろう。注意しなければならないのは、その交流の鍵となる「核」をどうするのかについては、何も言っていないことである。敢えて避けているのだろうが、それを考慮することなく、南北対話が進むことがないことは、北朝鮮も承知しているはずである。

    『労働新聞』、「자주통일의 휘황한 앞길을 밝힌 불멸의 대강」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2017-05-11-0037

    11日付けの『労働新聞』には、「傀儡一味」を非難するような記事は、ざっと見た限り見当たらない。

    文ジェインに10日夜、トランプが電話、その時トランプはツイッターで国内政治のもめ事をツイート、日本首相の祝賀コメントは早かった (2017年5月11日 「聯合ニュース」)

    10日夜、文ジェインにトランプが電話をしたと『聯合ニュース』が伝えた。同ニュースが伝える主要な通話内容は以下。

    文:「韓米同盟は、韓国の外交・安保政策の根幹であり、これからもそうである」
    トランプ:「韓国と米国の同盟関係は、単純なよい関係ではなく『偉大な』同盟関係」

    文:「早い時期に特使代表団を派遣、トランプ大統領と直接会い意見交換できることを望む」
    トランプ:「(文大統領の)早期に訪米で首脳会談を希望。高級諮問団が訪韓し、訪米協議」

    『聯合ニュース』、「한미 정상, 조기 정상회담 추진…트럼프 "文대통령 공식초청"(종합)」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/05/11/0501000000AKR20170511000851001.HTML?template=2085

    北朝鮮メディアは、現時点で一切、韓国新大統領について報じていない。トランプと文ジェインの公開された通話内容には、北朝鮮を刺激するようなことは含まれていないので、「米国のボスに制裁・圧迫を直ぐに懇願」というような非難報道は出てこないと思うが、どうだろうか。

    一方、日本時間の昨夜、トランプは多くのツイートをしているが、国内政治のもめ事についてだけ。

    フランスでマクロンが大統領に当選したときには、当選が報じられた(BBC)約5時間後にトランプは、マクロン当選を祝賀するメッセージをツイートしている。

    FOX NEWS, Emmanuel Macron: Trump tweets congratulations to French president-elect, http://www.foxnews.com/politics/2017/05/07/emmanuel-macron-trump-tweets-congratulations-to-french-president-elect.html

    安保理常任理事国のフランスと韓国の国としての重要性の違いなのか、文ジェインが気に入らないのか、この辺りは分からない。フランス選挙にしても、トランプは対立候補のルペンを称賛していただが。

    『日本経済新聞』、「トランプ氏、仏大統領選ルペン候補を称賛」、http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H09_S7A420C1NNE000/

    昨日の記事に習近平の祝電について書いたが、日本首相安倍は、文ジェインが当選した当日(9日)に祝賀コメントを出している。習近平よりもずっと早かったわけだが、隣国の首相としてはよいことをしたと思う。

    日本外務省、 韓国の大統領選挙に関する安倍総理大臣コメント、http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page3_002092.html

    「テレビ連続劇 防弾壁」:再び見ているが、やはりおもしろい (2017年5月10日 「朝鮮中央TV」)

    やはり、何回見てもおもしろい。

    日帝特務隊長のハトヤマが、抗日遊撃隊工作員の父チョン会長を、日帝特務に潜入したチョン会長の娘オックムの忠誠心を試すために射殺させるシーン。ハトヤマは、日帝特務学校の卒業試験として、同じ特務学校に在学していた自分の恋人を毒殺していると。歌もまたよい。日本語字幕付き。

    Source: KCTV, 2017/05/10

    「社会主義文明国建設を支える産業美術図案(3)」:大同江ビールの缶ビール登場 (2017年5月10日 「朝鮮中央TV」)

    10日、「朝鮮中央TV」で放送された「社会主義文明国建設を支える産業美術図案(3)」という、製品デザインやロゴを紹介する番組の中で、大同江ビールの缶ビールが写った。過去記事で、炭酸含有量を増やしたアルミ缶入りのジュースを紹介したが、大同江ビールのアルミ缶入りも登場したようだ。

    20170510kctvasf_013810627.jpg
    Source: KCTV, 2017/05/10

    国情院長、2000年と2007年訪朝、開城工団開設に尽力した人物、北食堂12人の女性従業員はどうなるのか、「核放棄」を前提条件としない南北首脳会談も (2007年5月10日 「YTN」)

    10日、文ジェイン政権の新人事が発表されている。YTNによると、国情院長は、2000年と2007年に金大中、盧武鉉と共に平壌を訪問した人物で、開城工団開設に尽力した人物と。北朝鮮による「傀儡国情院」評価も変わるかも知れない。

    特に、「国情院チンピラに拉致・誘拐された12人の朝鮮食堂女性従業員」の扱いがどうなるのか。

    ソ・フン国情院長内定者
    20170510ytnsaehun.jpg
    Source: YTN, http://www.ytn.co.kr/_hd/hd_live.html

    「南北間の緊張関係を大変緩和することができれば、核問題を解決する糸口となれば、南北首脳会談もあり」と内定直後の記者会見で発言。首脳会談の前提条件として「核放棄」を言っていないところに注目。

    習近平、文ジェインに祝電、世界のリーダーでは最初か (2017年5月10日 「Global Times」)

    トランプがくだらないツイートをしている一方で、10日9時40分(北京時間)のタイムスタンプがついたGlobal Timesによると、習近平が文ジェインに祝電を送った。主要国のリーダーからの祝電は、これが初めてではないだろうか。

    習近平は、中韓関係の改善に努力しようと祝電で呼びかけた。

    Global Times, Xi congratulates Moon Jae-in on election as S. Korean president, http://www.globaltimes.cn/content/1046208.shtml

    ウラジオストックに向かう北朝鮮タンカー (2017年5月10日)

    10日、ウラジオストック沖に停泊している北朝鮮タンカーが1隻増えていた。それだけではなく、南京に向かうと予想していたChon Myong1は、壱岐と対馬の間を航行しており、やはりウラジオストックに向かっているものと思われる(北朝鮮の東海岸の港の可能性もあるが)。これまで、対馬海峡を通り抜ける北朝鮮タンカーをMarine Trafficのライブで確認するのは今回が初めてである。

    ウラジオストック沖にやって来た新たな北朝鮮タンカーSam Jong2
    20170510 vadi 1245jst
    Source: Marine Traffic, 2017/05/10 1245JST

    対馬海峡を通過するChon Myong1。なお、山東半島沖を通過しているのは、Jisong6であるが、Chon Myong1と同じ航路でウラジオストックに向かう可能性がある。
    20170510 1250 chonmyong1 to russia
    Source: Marine Traffic, 2017/05/10 1250JST

    ウラジオストック港では、石炭を積んで中国に向かい入港できずに停泊を続ける北朝鮮貨物船のように、港外でずっと停泊している。

    文ジェイン就任式で演説中、トランプ30分前にしょうもないツイート、文ジェイン状況次第で平壌にも行く (2017年5月10日)

    10日、12時から文ジェイン就任式をYTNで生中継している。一方トランプは、11時45分頃、民主党議員との喧嘩のしょうもないツイートをしている。

    文ジェイン、ワシントン、北京、東京に行き、状況次第で平壌にも行くと。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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