「朝鮮中央TV」が実に面白い映画を放映した。「花に込められた事情」という映画であるが、この時期の「花」といえば、いわずもがな「金正日花」である。この映画は、1992年に制作された映画で、調べてみるとYou Tubeにも昨年の夏辺りにはアップロードされている。全てをくまなく調べたわけではないが、アップロードしたのはuriminzokkiriではない。約1時間半の長い映画であるが、その内容を紹介していく。
この映画の舞台はほとんどが日本で北朝鮮が舞台になるのは時間にして10分少々である。もちろん、だからといって日本で撮影をしているわけではないが、総連系の会社が撮影したと思われる本当の日本の町並みなども取り込まれている。
一般家庭の庭で雨の中母親が庭いじりをしていると、マサヒデという子供が蛇の目傘を持って走ってくる。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
このマサヒデ(シモザワ・マサヒデ、以下、マサヒデ)という少年が「金正日花」の作者である主人公である。以下、Wikipedia情報であるが(慶應大の磯崎さんらが書いた本があるのだが、あいにく研究室に置いてあるので参照できない)、「金正日花」の本当の作者は加茂元照(1930年生まれ)さんということである。加茂さんは静岡県掛川市で菖蒲園などを営んでいたとのことであるが、この映画の主人公マサヒデも「富士山の近く」に住んでいることになっているので、モデルが加茂さんであることは間違いない。なお、加茂さんは「根負けして朝鮮人に花を譲ったが、金正日という人物も知らなかった」とのことである。
Wikipedia、「金正日花」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E6%AD%A3%E6%97%A5%E8%8A%B1
<追記>
この映画の主役マサヒデのモデルである加茂元照さんに関する信頼できるHPがあるという情報を頂いた。「花鳥園グループのホームページ」の中にある「自然と花鳥、伝統と革新 本学客員教授 加茂元照さんとの対話」という記事である。加茂さんは東京芸術大学の客員教授もされたようで、当時の同大学長である鷲山恭彦さんとの対話の中で色々とお話しをされている。
加茂さんは「戦後の農地解放で生活のすべを変える必要がありました」とした上で、「花菖蒲園として拡大整備しました」と述べている。これが、映画中での「ヨシダ社長の援助を受け菖蒲園経営を始めた」という部分の背景にあるのだろう。
北朝鮮との関係については「冷戦時代に、西ヨーロッパ諸国に花菖蒲を普及する反面、仮想敵国とされていたソ連のモスクワ、レニングラードの植物園、北朝鮮の平壌中央植物園に花菖蒲を植え、講演もしました。お陰で広く植物探索する許可が得られ、ノハナショウブの原産地である東部シベリア、北朝鮮での分布状態、変異を自分の足で見る機会を得ました。花チャンネルは世界中に通じているのです」と述べており、「冷戦時代」が何年頃を指しているのかにもよるが、「金正日はしらなかった」ということはないのではないだろうか。
このページには、加茂さんの写真も出ているが、眼鏡を掛けているという点でマサヒデと共通している。
加茂さんと哲学の関係だが、映画の中では「偉大な指導者金正日」という本を読むまでは、あまり関心がないような設定であるが、HPの対談ではフクロウ飼育との関係で「ドイツ人はヘーゲルの残した『ミネルヴァのフクロウは宵闇に飛び立つ』と言う言葉に想いを寄せているように見えます」とも述べており、哲学にも関心を持っておられたように思われる。
また加茂さんは「日本はアメリカから『本当でない現代』を学び過ぎたのではないですか。そういう愚かさをまだ重ねている。アメリカン・ドリームとかいって、自分中心主義の出世物語から決別していかないと。根本は社会性ですよ」とも述べている。この発言からすると、幅広く知識を得ようとする加茂さんが「主体思想」の本を読んだとしても不思議ではない。さらに、「中国は世界的大不況の中で発展している。経済政策のよさがでていますね。マルクス、レーニン、毛沢東と社会主義に拠ったが、ケインズも読み込んだ」と述べている。恐らく加茂さんは、何とか主義を超越し、良いことは取り入れるべきだと考えているのであろう。
中国の花鳥園との関連で「球根ベゴニアは華やかで、『中華』という雰囲気にぴったりと思うのですが、メインの花は何になさいますか」という問いに対し、加茂さんは「球根ベゴニアは高山性で中国の気候的に合いません。植物によい温度と、人によい温度が一致した植物を選びます」と答えている。この発想からすると北朝鮮の気候に合わないような「金正日花」を加茂さんが自ら北朝鮮に提供したのであろうかということになる。「20時報道」を見れば分かるように、「金正日花」は温室の中で育てている。それが、2月16日の光明星節に合わせて開花させるための育成方法なのかもしれないが、どうも加茂さんの「植物によい温度と、人によい温度が一致」という発想からは外れているようだ。だとすると、「金正日花」は北朝鮮の気候に合わないと提供を断ったにもかかわらず、朝鮮人に強く頼まれて「金正日花」をやむを得ず提供したということが想像される。
以上、全て類推であり、事実と異なる事項が含まれているかもしれない。しかし、この映画を見たタイミングで加茂さんの言葉が綴られているこのページを読むことができたのは、本当に大きな収穫だ。「俗説」というのがあるが、真実はやはり北朝鮮の主張と事実を照らし合わせてみないと分からないということをつくづく感じた。改めてこのページの存在を教えてくださった方に謝意を表する。
それはそうと、明日にでも子供と一緒に「花鳥園」に行ってみたくなった。
『花鳥園グループホームページ』、「自然と花鳥、伝統と革新 本学客員教授 加茂元照さんとの対話 今月のワシヤマ Vol.49より」
http://www.kamoltd.co.jp/kke/washiyama.htm
「蛇の目傘」はないだろうと思ったが、主人公のモデルが加茂さんで、この場面のマサヒデ5才ぐらいと考えれば、時は1935年ということで、蛇の目傘もありなのかもしれない。
人間がどう生きるのが美しいのかと「お日様」に尋ねたところ、「お日様」は「花のように行きなさい」と答えたという話をするマサヒデの母。「お日様」はこの映画のキーワードの一つである。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
時は流れて、大人になったマサヒデはある島にやってくる。島の居酒屋で登山家の老人と会って、アンデス山に連れて行ってくれるように頼む。左手前の帽子をかぶっている人が登山家、眼鏡を掛けて金を払っているのがマサヒデ。マサヒデは寿司2人前と「酒1本」を頼むが、出てきたのは1升瓶だった。マサヒデがカウンターで注文をするときの日本語は日本語話者(恐らく在日朝鮮人)によるものと思われるが、「酒1本」が1升瓶1本というのは考証が甘い。バックでは日本語の演歌が流れている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
しかし、登山家は自分の過去を振り返って案内を断る。その理由は、「探検番組」を撮影するというテレビ局に僅かな金で雇われて友人を山に連れて行き、その友人は崖から転落して死んでしまった。テレビ局はその模様を撮影して金を稼いだ悪人だから、もう山には登らないということだ。「金銭万能の腐敗した資本主義社会日本」の逸話その1である。この映画にはこうした「金銭万能の腐敗した資本主義社会日本」を語ったり見せたりするためのシーンがいくつも組み込まれている。
時は過去に遡る。マサヒデの母は病気にになり死んでしまう。マサヒデには自分がしてきた菖蒲の品種改良を続けてくれと付託する。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデは、父の友人である花草園社長ヨシダの助けで菖蒲園を開業し、母の菖蒲も完成させる。ヨシダはマサヒデの菖蒲園に来て、母の菖蒲の特許権を売ることを勧める。借金も抱えていたマサヒデは、「なんだかんだ言っても金がなければ駄目だ、金が」とヨシダにいわれて特許権を売ることを決意する。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデにはタケダという哲学者の友人がいる。タケダは自分の研究に挫折したが、主体思想の信奉者になり、後に主体思想研究所の理事になる。そのタケダが、マサヒデが母の菖蒲の特許権を売ったことを知り、喫茶店に呼び出して苦言を呈する。そして、主体思想の本を読むようにマサヒデに勧めるが、マサヒデは自分は学者ではないと乗り気ではない。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデはオペラ歌手の友人のコンサートを見た後、花を渡しにその友人の夫人(ダンサー?)の楽屋に行く。夫人は、花を渡されると激怒して花を放り投げる。楽屋にいた中年の女性がタバコを吸いながら、その理由を説明する(中年ぐらいで女性がタバコを吸うのは北朝鮮ではよろしくない。よって、腐敗した事例2)。その女性によると、菖蒲の特許権を買った人間が花を「椿姫」(椿姫は娼婦とも説明する)と命名したとのことである。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
そして、「最近は売春婦が客を誘うのに菖蒲を持って立っている」と話す。帰り道にマサヒデは菖蒲を持って立っている売春婦を目撃してショックを受ける。売春婦は「花を買って下さい(この部分は朝鮮語でコッサセヨ)」と通り過ぎる男性に声を掛けている。この「コッサセヨ」という朝鮮語、定かではないが80年代の韓国でも使われていたような記憶がある。すると、「腐った韓国」からの持ち込みであるが、朝鮮人民にとっては「腐った資本主義社会」であればどうでもいいわけで、腐った事例3となる。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデは母の霊前でこのことを報告し詫びる。そして、過去に母と一緒に反原爆女性集会のような場所に行ったことを思い出す。壇上でマサヒデの母は、米国は広島に原爆投下をした飛行士は、自分の母の名前「エノラゲイ」と原爆搭載機に名前を付けたと演説している。米国の非人間性を非難するシーンであるが、この映画を作った当時、北朝鮮は既に核計画を推進していた。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
<追記>
こちらについても情報を頂いた。映画に出てくるこの集会はやはり反原爆系の集会で「日本母親大会 第1回大会」であろうことが判明した。「日本母親大会」の集会の様子は下記のページに出ているが、コメントを下さった方も書かれているように、映画でも雰囲気はなかなか良く再現している。ただ、映画に出てくる壇上の人々は、どちらかというと北朝鮮の集会の構成となっているのも面白い。
『日本母親大会』、「写真で見る母親大会」
http://hahaoyataikai.jp/05_photo/index5.html
母の死からこれまでの逸話を話した上で、マサヒデは登山家にアンデス山に連れて行ってくれるよう懇願する。登山家はマサヒデの情熱に打たれ、案内することを承諾する。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
2人は南米に飛び、アンデス山に登る。山は吹雪で、登山家は持って行った酒をまいてお祈りをする。このお祈りシーンが日本人の行動を象徴するためのものかは不明であるが、手を合わせて山の神様に自分たちを守ってくれることをお願いしている。もしかすると、当時、生き神様である金日成以外の神様が事実上いない北朝鮮で、前近代的かつ非科学的なお祈りをする日本人の姿を見せたかったのかもしれない。吹雪の中、マサヒデはアゼリア(金正日花の原種)の球根をついに見つけ出す。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
帰宅したマサヒデは早速球根を植える。右端はマサヒデの娘ハナエだが、髪型が中国人のようだ。また、後方にある温室のドアに何か書かれている。全部は見えないが、「よりよい・・・それが・・・!」と書かれており、北朝鮮の工場などに書かれているスローガン的なものなのかもしれない。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
しかし、植えた球根は腐ってしまい、ショックを受けたマサヒデは倒れてしまう。入院したマサヒデの所に主体思想信奉者になった友人のタケダがやってきて、「まだ腐っていない球根はあるかもしれない」と話す。マサヒデはパジャマのまま家に戻り、土の中から腐っていない球根を探し出して喜ぶ。
マサヒデは、アゼリアの改良を続ける。水をやっているのは成長したハナエ。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
さらに成長したハナエには恋人イワイができる。イワイは銀行頭取の息子である。ハナエとイワイのデートシーンは、なぜか自分たちはゴルフもしていないのに、ゴルフ場を走り回ってはしゃいでいる。ゴルフなど知らぬ朝鮮人民にはどちらでもよいことなのであろう。金銭万能主義の国で金持ちがやりたい放題というは考えすぎであろう。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
その夜、主体思想信奉者のタケダが主体思想研究所の理事に就任し、東京に行くということでマサヒデの家族と共に送別会を開催する。ハナエがタケダに花束を贈呈するが、その時の挨拶言葉は何とも「熱烈に祝賀します(朝鮮語原文の和訳)」と北朝鮮式のところがアンバランスだ。タケダはマサヒデに「思想と制度が人間の花園をどう育てるのかを見てこい」と平壌訪問することを強く勧めると、マサヒデは「平壌といえば、あの朝鮮人少女のことを思い出すな」と語り、また回想シーンに戻る。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
(在日)朝鮮人少女の名前はエイミといい、学校を抜け出してマサヒデの花壇にやってきては花の世話をしている。しかし、ほとんど何も話をしない少女である。マサヒデは、少女の所に行き、自分が昔は母から聞いた「お日様」の話をしてやる。左が(在日)朝鮮人の少女エイミ。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
エイミは幼くして母を失い父親と二人暮らしであるが、生活は苦しく、夜道で花を売って生計を助けていた。マサヒデは、彼女が売春婦に花を売っていることに腹を立て、エイミを突き飛ばす。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
エイミが道路に倒れたところにオートバイが走ってきてエイミは轢かれてしまう。なぜか、オートバイはそのまま走り去ってしまうのだが・・・エイミは病院に運ばれて応急措置は受けるが、入院費用を払うことができないので帰宅させられる。マサヒデは医師の所に行き「今治療をやめたら、彼女は一生足が不自由になってしまう」と治療継続を依頼するが、医師は「手術はするとしても、これから入院を続ければもっと金がかかる」と答える。医療費が全て無料の北朝鮮と違い、命に関わる医療までが金次第という金銭万能主義ということで、事例4である。下の写真は医師と話をするマサヒデであるが、白衣を着ている。「20時報道」に登場する病院訪問者は、しばしば白衣を肩から掛けている。きちんと着るわけでもなく、マサヒデのように肩から掛けているだけのケースが多い(特に、指導者)のであるが、なぜなのだろうか。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデの財力ではエイミの入院費を払うことはできなかったが、しばらく後でお詫びの金を持ってエイミの家を訪ねたら、既にエイミと父は北朝鮮に帰っていた。マサヒデの刑事責任も民事責任も全く無視した展開であるが、そこは深く追求しないことにする。
ここまでで回想シーンは終わり、また時は「今」に戻る。ハナエがイワイの家に遊びに来て話をしていると、イワイがハナエに抱きつこうとする。しかし、ちょうどイワイの妹が部屋に入ってきて、それを見てからかう。登場人物が日本人という設定であったも、北朝鮮映画ではここまでが精一杯か。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
そこにイワイ(イチロウ)の父が取引があるアサノ社長の妻か母と入ってくる。そして、イチロウに自分の会社と取引があるアサノ社長の娘と見合いをするから支度をしろと話す。資本主義社会の政略結婚ということで、事例5。
イチロウが「私たちは愛し合っています」というと、「銀行頭取の息子が花商人の娘と結婚するだと」と見下す。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
ハナエは家に帰り、その日の経験をマサヒデに泣きながら話す。「お父さん、お金さえあれば人格でも権力でも欲しい物を手に入れられるのに、金がなければ踏みにじられるのが私たちの現実です」と資本主義社会を痛烈に批判する、事例6。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデを助けるヨシダがやってきて、マサヒデに娘の幸せを考えるよう説教する。そして、マサヒデが品種改良したアゼリアの特許権を売って金を稼ぐよう勧める。
悩んだマサヒデは、その夜、主体思想研究所理事長のタケダに電話をするが、タケダは体調を崩して横たわっている。
するとマサヒデの夫人がやってきて、友人であるオペラ歌手のヤマグチから電話があったと伝える。なぜか二人はディスコで会う。背景には洋楽らしき曲が流れており、手前には酔っ払った若者がコップを持ったまま寝ている。退廃的な資本主義の酒場ということで、事例7。ヤマグチは、仕事が来なくなって困っているから金を貸してくれとマサヒデに頼む。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
そんな話をしている、踊り場の方で金持ちと思われる若者が電話で「金はいくらでも払うから、ある花を全部持ってこい」と話している。花が届くその若者は踊っている仲間に渡すが、仲間は花などに関心はなく投げ捨て踏みつぶす。それを見たマサヒデは花を拾いに行くが、若者に「俺たちが金を払って買った花だ。文句があるのか」と絡まれる。マサヒデが「花を踏みつぶすのは野蛮人のすることだ」というと、若者たちは怒り出す。店の主人とヤマグチが間に入り、マサヒデは店の外に出る。金持ちのやりたい放題で、事例8。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデがよって家に帰ると、テレビでタケダ主体思想国際研究所理事長が死去したというニュースが流れている。主体思想国際研究所理事長の死去がニュースになることもないが、何ともテレビの画面がニュースらしくない。もう少し演出が欲しいものだ。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデは新幹線に乗って、タケダの通夜に向かう。ここで本当の新幹線が走る画像を使うが、朝鮮人民にとってあの速度で走る列車というのは驚きであろう。腐敗した資本主義と新幹線をどうつなげたのかを知りたいものだ。
通夜が終わった後、マサヒデはタケダ夫人と話をする。タケダ夫人によれば、タケダはマシヒデを平壌に行かせることができなかったことが、心残りだと話していたとのことである。そして、タケダは自分が書いた金正日秘書の本をマサヒデに渡すよう夫人に付託したという。夫人は、戸棚の中から箱入りの本を持ってくる。箱を開けると出てきたのがこの本である。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
映画では未来社の「偉大な指導者金正日」はタケダの著書ということになっているが、amazonで検索すると著者は卓珍となっている。名前からすると朝鮮人のようでもあるが、この人がタケダのモデルであろうか。
マサヒデはこの本を熟読し、タケダの意を汲み平壌行きを決意する。マサヒデはアエロフロート機に乗って平壌に到着するが、平壌空港の到着掲示板の表示が面白い。上の2つが高麗航空でそれぞれハバロフスクと北京、次の2つがアエロフロートでモスクワとハバロフスク、一番下の掲示板は回転中であるが、なんとソウルが入っている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデは植物学研究所のシム・ヨンミ博士に案内してもらうことになる。マサヒデはこの時、博士が誰か分からないが、後で彼女が彼が突き飛ばして怪我をさせた少女エイミであることを知る。金日成と金正日が世界の指導者からもらった植物を展示してある植物園を博士と共に見学し「これが全部ただで見られるのですか」と驚くマサヒデ。マサヒデは、ここで「金日成花」を実際に目にすることになる。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデは「30代の女性が博士というのは大変でしょう。博士というからには、試験場を何百平米お持ちですか」と尋ねる。すると博士は「先生の仰ることは分かります。しかし、私は博士になるまでお金を払ったことがありません。国が全て面倒を見てくれたのです」と答える。マサヒデは理解できず「では、国はその対価として何を受け取るのですか」と尋ねる。博士は「私が作った花を見て人民が楽しめば、それが国の富となるのです。私もそれで満足を得ることができますし」と答える。続けて「国が全て面倒を見てくれ、みんなが楽に暮らしているので、大金など必要ありません」と話す。これまで批判してきた「金銭万能の腐敗した資本主義社会日本」と正反対の「人民の楽園」がこの部分で語られてる。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
続いて人民文化宮殿と人民大学習堂に話が及び、マサヒデが「どこに行っても人民という表現が多いですね」というと、博士は「人民のために奉仕しなければならないという我が党の高い意志が盛り込まれています」と宣伝が続く。
その後、博士他数人と食事をしている席でマサヒデが始めた在日朝鮮人少女の話から博士がその少女であることを知り、過去を謝罪する。
マサヒデは「本当にこの国は、全ての人々を一つの胸に抱く花を咲かせる人間花園であることを、私は心臓で確認した」語る。
平壌のホテルのマサヒデの机の上には「偉大な指導者金正日」の本が置かれている。次に主体塔のカット、そしてマサヒデが映画冒頭で母親と話した「お日様」の声が流れ、下のカットが映る。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
マサヒデは帰国数飛行機の中で「お母さん、私はお母さんが夢の中で願っておられた人生の『お日様』を見つけました」と心中で語る。もちろんここでいう「お日様」とは、「人民の太陽」である金日成・金正日であり、それを具現した「主体思想」である。
若干疲れてきたので、以降簡単に書くがマサヒデは帰宅して家族に平壌がいかに素晴らしいところであったのかという話をする。マサヒデの妻と娘は、マサヒデの気持ちを理解する。マサヒデは、金正日にアゼリアを贈呈することを決め、手紙を書く。そして、その発表式で金正日花が公開される。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?ptype=movie2&no=13467
最後の部分の説明で手抜きをしたが、大体の内容はお分かりいただけたと思う。この時期にこの映画を放映したのもちろん光明星節(金正日の誕生日)が近づいているからではあるが、敢えて日本が登場する映画を選んだのには訳があると思っている。それについても書きたいが、回を改めて書くことにする。
<追記>
本記事に関する貴重なコメントを頂いたので、記事に反映させておく。