FC2ブログ

    「米国務省報道官定例記者会見」(2012年4月10日「US Department of State」)

    米国務省報道官による定例記者会見で昨日の「北朝鮮への記者派遣」についてのフォローアップがあった。

    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/04/187686.htm#DPRK

    今日は、国務省ではなくホワイトハウスの官僚が「(衛星発射取材目的の)記者の北朝鮮入りは北朝鮮に利用されるだけ」と発言したという情報について、国務省はこうした発言があった事実を把握しているのかについて質問された。これに対しヌーランド報道官は、「そうしたことは聞いたことがない」とした上で、「報道の自由はあり、あなた方が適切であると考えるように報道すれば良い。我々が憂慮することは、報道機関が大々的に報道することが北朝鮮に利用されることである」と答えた。

    記者は、「北朝鮮は、(西側の報道機関が扱おうが扱うまいが)プロパガンダとして利用するのではないのか」と質問したのに対し、ヌーランドさんは「確かにそうだが、報道されればされるほど、北朝鮮の衛星発射に関する記事が新聞の一面に掲載され、それは平和と安全につながらない」とした。記者は、北朝鮮の衛星発射は西側記者がいようがいまいが新聞の一面に載ることであるのに何を憂慮することがあるのか、より多くの報道をすることが衛星発射の「問題点をより明確にする」のではないのかなどとたたみかけた質問をしたのに対し、ヌーランドさんは「well」と言葉を一時失ってしまった。そして「北朝鮮について多くの報道がなされることこそが、まさに北朝鮮が望んでいることである。北朝鮮はあなたがたから北朝鮮の状況について大変注目されている」と本音を漏らした。さらに、記者がたたみかけて質問をしたのに対し「それはホワイトハウスに問い合わせてくれ」と逃げてしまった。

    日本の報道機関がどのような基準で訪朝を決めたのか分からないということは昨日の記事にも書いたが、このような問題についてオープンにやり合うのは確かに米国報道機関の素晴らしい点であろう。しかし、西側記者の訪朝について連続して取り上げたのは、何も米国の記者魂を称賛するためではない。

    既に多くの北朝鮮研究者によって指摘されていることであるが、北朝鮮は「核とミサイル」がなければ多くの旧東側最貧国同様、国際社会、特に米国には無視され続けていたはずである。韓国との小規模な武力衝突が発生したとき一時的に注目されるにしても、それは国際社会、とりわけ米国にとっては直接的な脅威にはならないし、いちいち北朝鮮「ごとき」に関わっていられないというのが米国の本音であろう。

    北朝鮮政権にとって最も重要なことは体制維持であり、そのためには米国との平和条約締結が必須であると北朝鮮は考えている。そのために北朝鮮が選択したのが「核とミサイルの開発」という道である。「核とミサイル」を持てば、さすがに米国も「北朝鮮ごとき」と無視し続けることはできないだろうという彼らの目論見は見事に功を奏し、米国と国際社会を北朝鮮に注目させることに成功した。

    「核とミサイル」が厳しい経済制裁を誘発し、北朝鮮を国際的に孤立させたが、一方で対内的には「大国であり敵である米国と堂々と渡り合う金日成(金正日・金正恩)将軍」という宣伝材料となり、対外的には「核とミサイル」で揺さぶりながら援助を引き出すことに成功した。

    長々と書いたが、米国としては北朝鮮が「悪枢軸国」としてであれ「良き交渉相手」としてであれ、注目されて欲しくないのである。だからといって、報道の自由を公然と否定することもできないし、事態が進展すればするほど大きく報道される。まさにジレンマである。

    米国の記者がそこまで読み込み済みでヌーランドさんを「いじめて」いるのであれば、これは大変立派である。

    「朝鮮人民軍次帥称号崔龍海、玄哲海に授与」(2012年4月10日「朝鮮中央通信」)

    労働党代表者会を前に昇格人事の第一弾が発表された。「朝鮮中央通信」によると、4月7日に朝鮮労働党中央軍事委員会と朝鮮民主主義人民共和国国防委員会の共同決定として、大将の崔龍海さん、玄哲海さんが次帥に昇格した。

    今後、さらなる昇格人事が発表されるであろうが、決定は最高司令官司令ではなく、委員会の機関決定となっている点にまず注意をしておく必要がある。

    過去記事のも書いた、私が北朝鮮人脈バイブルとして愛用している平井久志著『北朝鮮の指導体制と後継』(岩波書店、2011年)によると、崔龍海さんは一度は「平壌市の上下水道担当の党書記」に左遷されたものの、復活を果たした張成沢さんに連なる金正恩推戴勢力に属するという。(pp.69-70)金正日葬儀委員会の名簿では、序列18位であった。

    もう一人の玄哲海さんであるが、同書をざっと見た限りでは写真が見つからなかった(どこかに書かれているのかもしれないが、探すのが大変である)。残念ながら、同書は文庫本サイズということもあり項目や人名インデックスが存在しない。重版するのであれば、是非とも人名インデックスを付けていただきたいものである。玄哲海さんは金正日葬儀委員会名簿では、序列59位であった。

    「朝鮮で国家図書、美術展覧会、産業美術展示会開幕」(2012年4月10日「朝鮮中央通信」)

    金日成さんの誕生記念日「太陽節」が近づき、北朝鮮では様々な記念行事が行われている。その一つである「産業美術展示会」の様子を伝える動画が「朝鮮中央通信」で配信された。この展覧会は、金正恩さんも視察しており「大変満足」したとの報道がある。

    <追記:2012年4月12日 08:19>
    今、4月11日の「20時報道」を見ていて気がついたのだが、正確には金正恩さんは「産業美術展示会」を視察し、この記事で紹介している動画は「美術展覧会」の様子である。「美術展覧会」を金正恩さんが視察したという報道はない。

    金正恩視察「朝鮮中央TV」報道:
    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=9282

    過去記事にも書いたが、この種の報道には平壌市民の自然な姿が映し出されているので興味深い。ミサイル発射と国際的な非難を受けながら衛星発射を強行しようとしている「国家」とこの動画に映し出される(少なくとも平壌の)「人々」の日常とのアンバランスが何とも言いがたい。だから北朝鮮とつきあうのは難しいのであろうが、ミサイルや核の一方に「人々」がいることも忘れてはならないと思う。

    女子大生であろうか、サッカーをする子供の絵を見ながら、「멋이 있구나(かっこいいね)」などと言う声も聞こえてくる。

    絵を見る女子大生
    太陽節美術展覧会.flv_000084118
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    久しぶりに見たが、手をつないで歩いている大人の男。実は、80年代中頃に韓国にいたときに手をつないで歩いている男たち、しかも軍人を多く目撃した。正直、初めは韓国にはゲイがたくさんいるなと思ったのだが、実はそうではなく韓国では親しい人たちが、男同士であれ女同士であれ普通に手をつないで歩いているのである。最近は、韓国に行っても仕事だけして帰ってくることが多くなり、このような情景を目撃することはなくなったが、今でもこうしているのだろうか。北朝鮮での短い滞在期間では目撃しなかったが、この動画を見ていて「やはり同じ民族なんだな」と思った次第である。

    手をつないで歩く人(右の方の黒い服を着た男性二人)
    太陽節美術展覧会.flv_000098358
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    過去記事にも携帯電話で写真を撮る市民の話は書いたことがあるが、今回も携帯で写真を撮っている人が複数映し出されている。北朝鮮において100万台ともいわれる携帯電話の普及と共に性能も向上してきているのであろうか。

    携帯で写真を撮る人
    太陽節美術展覧会.flv_000117598
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    そして、この絵である。金日成さんの絵であるが、この足の開き方といい恰幅といい金正恩さんそのものである。ここまで似ていると、遺伝というより、意図的にまねているとしか言いようがない。

    金日成さんの絵
    太陽節美術展覧会.flv_000044278
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    金正恩さん(「朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志が東海岸前方哨所を守る麗島防御隊を視察された」)
    2012-04-06-11-yflv_000266120.jpg
    Source: http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=9171

    「朝鮮宇宙空間技術委員会関係者と各国の宇宙科学技術部門専門家、記者の座談会進行」(2012年4月10日「朝鮮中央通信」)

    衛星発射に関する記者会見がもたれたことは外国のメディアが伝えていたが、「朝鮮中央通信」がその様子を動画で配信した。記者会見の様子は、日本のテレビでその一部を見たが、この「朝鮮中央通信」の動画配信は、2分20秒であるが今まで見たものでは最も長い。外国メディアでも北朝鮮のuriminzokkiriでもよいので、You Tubeにでもフルバージョンをアップロードして欲しいものである。依然として、「朝鮮中央通信」の記事や動画のURLの張り方が分からないが、下記からそれらしい写真をクリック、そしてビデオカメラのボタンをクリックすれば見られる。

    http://www.kcna.kp/

    記者会見は、記者たちが宿泊していると思われる羊角島国際ホテル内の会議場で行われた。このホテルは、外国人の北朝鮮観光の際に使われる2つあるいは3つのホテルの一つで、私も宿泊したことがあるが宿泊施設として特に不満なことはなかった。ホテルの写真はネット検索をすればいくらでも出てくると思うが、自分で撮ったものを掲載しておく。

    羊角島国際ホテル全景
    IMGP7925.jpg

    客室内
    IMGP7899.jpg

    カレンダー!
    IMGP7901.jpg

    浴室
    IMGP7902.jpg


    それにしても、「酷い」記者会見である。「酷い」というのは、その内容ではなく、記者会見場の設備の話である(そもそも、2分半の映像では、内容の判断などできない)。記者会見にもかかわらず、少なくとも「朝鮮中央通信」で配信された動画を見る限りでは、ハウリングが酷くて何を言っているのだかよく分からない部分もある。何とかならなかったのだろうか。

    この動画は、北朝鮮が編集したものなので記者会見のやりとりがどこまで反映されているのか分からないが、北朝鮮担当者は、「衛星ロケットと弾道ミサイルはある程度共通点もあるが、異なる点もたくさんある」、「地球観測衛星開発を継続推進しようとしている」、衛星発射に続いて核実験をするのではないかという質問に対しては「光明星3号の打ち上げはミサイルの実験ではないし、核実験については私が担当する部門ではないのでよく分からない」と答えている。記者は「北朝鮮が禁止された・・・」などと安保理決議と関連した質問もしているようであるが、それに対する北朝鮮担当者の発言はカットされている。

    動画の最後で米国の記者が登場するが、その記者は下の写真のような銀河3号の模型を手にしていた。記念に配られたのであろうか。

    衛星記者会見.flv_000131118
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    <追記:2012年4月11日 09:40>
    Yahoo Newsを見ていたら、こんな記事があった。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120411-00000081-san-pol

    要は、北朝鮮が明日、衛星発射に踏み切るかもしれないので自衛隊が厳戒態勢に入ったとのことだが、過去記事にも書いたように、よほど天候条件が悪くならない限り、14日に発射すると私は見ている。

    また、今回は外国人記者などに「歴史的瞬間」を目撃させることを北朝鮮は重視しているので、かなり早い段階で発射日時の予告をするはずである。記者に平壌の管制施設で発射を見せるのか、また発射場まで連れて行って見せるのかは分からないが、特に後者の場合は、発射場まで列車で5時間かかるとのことなので、少なくとも発射前夜には予告するのではないだろうか。可能性としては、記者の安全確保などを理由に平壌の管制施設での参観の可能性が高いが、北朝鮮が「威力」を誇示したいのであれば、後者の方が圧倒的に高い効果が期待できる。ただ、目に見える段階での失敗の可能性も否定できないので、発射場にいられては困るという事情もあるのであろう。

    <追記2:2012年4月11日 13:44>
    「労働新聞」を読んでいたら、「彼ら(記者たち)は、平壌にある衛星管制総合指揮所も見て、安全な場所で光明星3号の発射実況を見ることになる」と書いてあった。やはり、発射場ではなく平壌のいずれかの場所でテレビ画面を通じて衛星発射を見ることになるのであろう。テレビ画面に映し出される映像は、本物なのか、そしてライブなのか。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-04-11-0029

    「米国務省報道官定例記者会見」(2012年4月9日「US Department of State」)

    米国では先週金曜日から始まった長いイースター週末が終わり、やっと月曜日に国務省報道官定例記者会見が開かれた。まず最初のトピックは、北朝鮮問題である。

    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2012/04/187595.htm#DPRK

    まず、米国は北朝鮮に対して「発射をするな」というメッセージを発する以上のことをするのかという質問に対して、ヌーランド報道官は、六者会談参加国に対して影響力を行使するよう求めているとした上で、特に中国に「非核化された朝鮮半島」を実現するためにより多くの影響力を行使するように要請していると答えた。

    やはり、現時点で北朝鮮に衛星発射を断念させる国があるとすれば、中国しかないということであろう。非常に皮肉な現実ではあるが、国際社会、特に米国がそのような状況を作り出してしまったのである。過去の記事にも書いたが、殆ど全ての経済制裁を受けている北朝鮮は、バックドアの鍵を握っている中国以外に「(経済制裁を実施されるのが)怖い」国はないのである。だから、発射を思いとどまらせる説得をする国、つまりバックドアを何とかしろと説得する国は、北朝鮮ではなく中国になってしまっている。中国が、北朝鮮に対してどのような説得をしているのか分からないが、衛星発射を認めるのと引き替えに核実験放棄を求めているのではないだろうか。そして、北朝鮮は中国に「ならば、米国に栄養援助を中止しないように伝えろ」と要求していることも考えられる。そう考えると、中国が反対することで、北朝鮮衛星発射後の安保理制裁決議は実現せず、「議長声明」という形にトーンダウンされる可能性も高い。

    日本は、どうやら北朝鮮の衛星発射を既成事実とした上で、制裁決議に向けて動いている節がある。G8会合でも足並みをそろえるよう関係国に求めるのであろう。私の理解では、日本は「北朝鮮の衛星が単に領空を通過しただけでは打ち落とす意思はなく、日本の領域に部品であれ本体であれ落下し、人的・物的被害が予想される段階で迎撃する」としているはずである。しかし、海外の報道であたかも「領空を通過すれば打ち落とす」かのように書かれているのをいくつか目にした。日本国民の生命や財産を守るために、例え極めて低い可能性であっても自衛隊がそれに備えることはよいことであると思うが、では、北朝鮮が「発射する」と宣言した上で打ち上げる「人工衛星運搬ロケット」ではなく、不意に飛んでくる、最悪核弾頭、そうでなくても生物化学兵器を装着したノドンミサイルにはどのように対応するのであろうか。今回の迎撃態勢は、その時に向けた「実戦訓練」という性格が強い。特に、飛翔体補足で米軍との連携を確かめる絶好の機会であろう。私は軍事専門家ではないが、恐らく、現状の装備では日本のどこに落ちるのか分からないノドンミサイルを迎撃するのは不可能であろう。ならば、そのような事態にならぬようにという発想もあってしかりだと思うが、どうもそのあたりが見えてこない。

    北朝鮮に入国したメディアについて、前の記事に書いたが、この記者会見でもそれが話題になった。北朝鮮が米国のジャーナリストも招待したのかという質問に対して、ノーランドさんは「その答えは分からない。しかし、明らかに我々はそれを思いとどまるよう求めたであろう」と答えている。これに記者がかみつき「何を思いとどまるのか?」と質問したところ、ノーランドさんは「あなたがたが打ち上げを祝い・・・」と言いかけたところで、「祝い?祝いですか目撃しに・・・」「取材だ」と記者がいい、ノーランドさんは「取材によるレポートはたくさんありますよ」と言ったのに対して、「このプロパガンダが?」と記者が問い詰めている。結局、記者が「我々の取材は問題と考えていませんね」と問うたのに対し「我々は記者が何をするか言う立場にない」とノーランドさんは逃げてしまった。

    さて、こんなに長々とこのやり取りを書いたのかというと、昨日の記事にも書いたように日本の言論機関は、どのような対応をすることにしたのか非常に気になるからである。どこかに、それについて書かれたものがあるかもしれないが、私はまだ目にしていない。

    北朝鮮に関する最後の質問で記者が「米朝和解ムードが作られ、そしてそれが壊されるという悪循環から抜け出す方法はないのか」と質問し、ヌーランドさんは「そのような悪循環に陥ることは落胆させること(disheartening)」とした上で、「我々が憂慮するのは、人々がますます孤立し、生活改善ができないなか、政権が国際社会に参加する道ではなく孤立する道に固執することを決めたようであるということである」と答えているが、この記者の質問に対しては直接的な回答は与えていない。米国も制裁と人道の間で悩んでいるのであろう。それが米国の良い点でもあるのだが。

    「世界各国の宇宙科学技術部門専門家と記者、西海衛星発射場を参観」(2012年4月9日「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮が、衛星発射場を招待した記者と専門家に8日公開した。昨日は外国の記者入国の報道があったが、そこでは「専門家」には触れられていなかった。

    「専門家」も別途入国したのであろうか。そうであるとすれば、中国、イラン、パキスタンなどが考えられる。しかし、ミサイル実験を危惧する国ほど専門家を派遣して情報収集した方が良いと思うのであるが、なぜ日本も米国も専門家を派遣しないのであろうか。日本は駄目であろうが、米国辺りは記者に紛れてCIA要員を潜入させているかもしれない。北朝鮮もその辺りは当然十分考慮した上での公開であろうが、それでも見ないより直接見た方が良いに決まっている。

    「朝鮮中央放送」の報道では、昨日の記事にも書いたとおり、招請に応じたのはNHKと共同通信だけであったが、民間放送や新聞社はどうしたのであろうか。「招請応じない」という政府方針に従い、共同取材の形を取ったのであろうか。そうだとすれば、言論機関としての使命を半ば放棄しているといわざるを得ない。官製ツアーであろうが何だろうが、記者の鋭い目はたくさんあった方が良いし、その方が国民が受け取るメッセージの幅が広がるというものである。もちろん、大挙入国して北朝鮮の宣伝に利用されるという側面はあるが、それでもである。国民は、北朝鮮の官製メディアと外国人記者の目を通してしか、現実を「見る」ことができないのであるから。北朝鮮が発射場視察ツアーを既に実施したのであれば、既にスケジュールはスタートしており、これからの入国では遅すぎるであろう。

    「朝鮮中央通信」によれば、「我が国の宇宙科学技術が人工地球衛星の試験的な段階を超え、実用段階に入っており、衛星発射位置と発射方向を思うままに選ぶことができる水準に達していることについて驚きを禁じ得なかった」としているが、それにしては下の写真の通り、シンプルな管制施設だと思うのだが。これは公開用疑似施設で別途軍部隊内に本施設でもあるのだろうか。

    発射場全景図
    発射場概況
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    「銀河3号」ロケット
    銀河3号
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    「光明星3号」
    光明星3号2
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    管制施設
    管制施設
    Source: KCNA, http://www.kcna.kp/

    「各国の記者到着」(2012年4月8日「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」によると、「朝鮮宇宙空間技術委員会の招請」により各国の記者が取材に訪れたという。米国からは、AP通信、CNN、NBC、日本からは共同通信、NHK、英国からはロイター通信、BBCなどの記者が6日から7日にかけて空路入国したという。

    「宇宙技術者」については、触れていないので現状では米国の求めに応じて各国とも派遣していないようである。記者が北朝鮮でどのような取材活動を許されるのか分からないが、衛星発射だけではなく、そのほかの行事や街の様子のリポートに期待している。

    「この朝鮮無窮強大であれ 新たな主体100年代の門を開きながら」(2012年4月7日「労働新聞」)

    「労働新聞」にこのようなタイトルの政論が掲載された。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-04-07-0029

    この政論には、「主体100年」間を総括し、次の100年間に向けた抱負が記されている。

    最初の部分で「亡国から強国に、文明の地獄から宇宙の最先端に!」と早速「宇宙」という言葉が登場する。そして、2回の大戦を経て一極化の時代が到来したものの、資本主義と帝国主義は衰退し、多極化の時代が到来したという認識を示している。社会主義の衰退に言及したくないのか、二極化の時代には触れていない。

    そして、「主体は、我らの首領様が人間のために、人民と人類のために抱かれてきた生命の太陽光であり、その人民を愛の衛星に乗せて無窮の幸福の宇宙に終わりなく抱き上げた、負けることを知らぬ強力な推進力であった」とし、再び「衛星」や「宇宙」という言葉を使い、さらに金正日さんを「もう一人の偉大な太陽」と称賛し、「宇宙には我々の衛星が飛び、地上にはたぐいまれであることこの上ない万寿台通の不夜城が広がった」としている。

    「民心は核より強い」と一新団結を強調することも忘れていない。

    再び「三段階で宇宙に進入する衛星のように、我々の革命は開拓と継承から、その全面的完成へと疾風のように進んでおり、今や世界が目にする朝鮮が前進する速度は千里馬に宇宙速度を加えた光明星速度になるであろう」と宇宙や衛星が出てくるが、「三段階」という言葉が使われているように、今回の銀河3号も三段式のロケットであることが読み取れる。千里馬とは、金日成さんが展開した1950年代末から1960年代初めにかけての大躍進的運動であるが、それに「宇宙速度を加えた光明星速度」を世界が目にするとしており、これは「主体の新世紀」に入り、新たな大躍進的運動が展開されることを予言しているのであろうか。

    それは、「我々は早い速度で走らなければならない。我々は、強盛国家建設構想を年代別に実現するのではなく、年代と年代を飛び越え、飛躍しながら実現していかなければならない」としていることからも想像される。過去記事にも書いたように、「強盛国家」は「主体100年」間では実現することができなかったことを認めつつ、、「年代と年代を飛び越え」と再び記している。単なる記述の違いかもしれないが、過去記事に書いた「労働新聞」の「社説 偉大な金正日同志の遺訓を掲げ主体革命の新たな勝利を達成しよう」には「年代と年代を飛躍」と書かれており、達成できなかった「強盛国家建設」を続けると解釈したが、この記事では「年代別に実現するのではなく、年代と年代を飛び越え」と書かれていることから、「主体100年」間の強盛国家建設目標は早期達成したので、それで満足することなく次の「年代」の目標まで先に達成しようというスローガン的意味合いが含まれているのかもしれない。

    北朝鮮の今後の発展について「世界の専門家や研究者は、今後、人々に注目される発展をする可能性が最も高い国は朝鮮であると予測した」としているが、確かに緩やかにであれ中国式の「改革・開放」を進めていけば、現在の非常に低いGDPは成長「率」という点では、「人々に注目される発展」をすることになるであろう。

    「帝国主義の圧殺と制裁により多くのことが困難な状況の中でも、2回の成功裏な核実験と衛星発射、それも他国は極秘に行うものを、その全てにおいて公開するという大胆さと余裕綽々な姿勢だけでも我々は強大な国である」としている。北朝鮮は、今回の衛星発射については、「公開」としているが、それ以前の衛星発射やましてや核実験など「予告」こそしたものの、少なくとも今回のような「公開」はしていない。是非とも、衛星発射だけではなく「核開発」についても2.29米朝合意通りに「公開」して欲しいものである。

    ここまで「労働新聞」に書いているところからして、技術的な問題がない限り、北朝鮮は衛星発射をすることは確実であろう。目に見える段階で爆発でもしなければ、衛星発射は成功ということになり、いずれ「衛星写真」も公開しなければならないであろう。(爆発してしまった場合は、「米CIAの陰謀を主張する」とAndrei Lankovさんが「Asia Times」に書いていたが、実に「あり得る」ので、思わず笑ってしまった。"World impotent as North Korea shoots" http://www.atimes.com/atimes/Korea/ND05Dg01.html)話がそれたが、衛星発射は既定条件とし、その後をどうするのかLankovさんも彼の記事の中で主張しているが、「その時」をきちんと考えておかなければならない。米国務省報道官談話も日米外務担当者協議でもこの点については、報道を見る限りではオブラートがかかっている。それは当然のことで、「制裁はしない」などともいえないからであるが、そのオブラートの中身が必ずしもこれまでの繰り返しにならないような処方であることに期待をする。

    米朝合意の発表を前に「ボールは双方のコートにある」とデービス特使が述べていたが、現在も基本的にその状況は変わっていないのではないだろうか。

    「朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志が東海岸前方哨所を守る麗島防御隊を視察された」(2012年4月5日「朝鮮中央TV」)

    久しぶりに金正恩さんの軍部隊視察報道があった。前回は西海岸の部隊視察報道であったが、今回は東海岸である。南の板門店、ヨンピョン島を砲撃した西海の部隊と今回の東海岸部隊の視察で敵と対峙する三方の視察は行った形である。

    http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=9171

    同「労働新聞」記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-04-05-0001

    オバマ大統領がソウル核サミットに出席するついでに板門店視察をした時の写真を見て直ぐに思ったのだが、オバマさんが双眼鏡で北側を眺める写真はどうもよろしくない。というのは、オバマさんは分厚い防弾ガラスの後ろに立っており、「腰抜け」「臆病」ぶりを十分にアピールするだけの効果があるからである。防弾ガラスをおいた警護当局の意図は十分に理解できるが、オバマさんが(防弾チョッキをジャケットの下に着ていたかどうかは分からないが)空軍のジャケットまで着て板門店を訪問するというのは、韓国政府と国民に対しても米国民に対しても、そして何よりも北朝鮮に対して「強いオバマ」を演出することにその重要な目的があったに違いない。それなのに、である。あのとき、オバマさんは、北朝鮮の経済状況や技術について辛らつな言葉でこきおろしたが、その効果も防弾ガラスで薄れてしまう。もっとも、板門店は50年前(正確には60年といった方がよいが)の状況でストップしているわけであるが。さらに、北朝鮮にとっては、板門店を訪問した金正恩さんの方が、公開された写真を見る限りでは、「勇敢」ということになる。案の定、「Asia Times」で「北朝鮮・金正日スポークスマン」の金ミョンチョルさんが「腰抜け」ぶりについて書いている。

    http://www.atimes.com/atimes/Korea/ND05Dg02.html

    話を金正恩さんの東海岸部隊の視察に戻す。金正恩さんはこの部隊の高齢の防衛隊長(報道では、25年の軍務)に対して「戦いの準備の完成と軍人のために誠実な汗を流した彼の努力が顔の全てのしわが語っている」と述べ、麗島の守りを鉄壁にした後で「平壌に来て自分と一緒に仕事をしようと言い、自分の横にはチョン・チェクォンさんのような人がいなければならない」と称賛したそうである。チョンさんにとっては、きつい離島での軍務から解放され、家族共々平壌で暮らせるということは、何よりも大きな報償である。金正恩さん直々の「お言葉」であるし、それが「労働新聞」で報道されているのだから、それが実現することは間違いない。

    もしかすると、このような「お言葉」報道は、来週開催される党代表者会や最高人民会議での高齢軍人の処遇を暗示しているのかもしれない。何回も書いてきたが、若い金正恩さんは彼らの処遇について相当に腐心しているはずである。それは、チョン・チェオクさんと話をする金正恩さんの手の位置にも現れているのではないだろうか。

    2012-04-05-12-yflv_000621040.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/download.php?categ1=12&no=9171

    「【コラム】平壌がボタンを押す前に(1)(2)」(2012年4月2日「中央日報日本語版」)

    「中央日報」に文正仁(문정인)、延世大学教授の寄稿が出た。

    http://japanese.joins.com/article/698/149698.html?servcode=100§code=120
    http://japanese.joins.com/article/699/149699.html?servcode=100§code=120

    対北朝鮮強硬論が多い「中央日報」にしては珍しい内容であったし、同感する点も数多くあったので、文教授にメールを出しておいた。以下がその主要部分。

    안녕하십니까? 중앙일보에 실린 교수님 글 "평양이 단추를 누르기 전에"를 읽었습니다. 중앙일보에 실린 글들은 비교적 대북 강경책을 주장하는 것이 많은데 교수님 글은 좀 달랐습니다.
    (こんにちは。「中央日報」に掲載された先生の記事「平壌がボタンを押す前に」を読みました。「中央日報」に掲載さえる記事は、比較的対北強攻策を主張するものが多いのですが、先生の記事は少し違いました。)

    저도 이번 북한 위성발사 사태에 대해 여러가지 생각하고 있습니다만 지금으로서는 역시 교수님이 주장하시는 길외에는 없다고 봅니다. 글에 쓰신 대로 북한은 지금 현다계에도 있는 비군사적 제재들을 거의 다 받고 있는 상황입니다. 남은 것은 미국이 주장하는 금융제재이기는 하지만 그것마저 얼마나 제재로서 실효성이 있는지 의문입니다.
    (私も今回の北朝鮮の衛星発射問題について色々と考えていますが、現段階ではやはり先生が主張される道以外にないと思います。記事に書かれているとおり、北朝鮮は現段階でも非軍事的な制裁のほとんど全てを受けている状況です。残るものは、米国が主張する金融制裁ではありますが、それさえどれだけ制裁として実効性があるか疑問です。)

    물론 중국이 "뒷문"을 완전히 닫으면 북한은 상당히 어려운 상황을 면치 못 할 것입니다. 그러나 북한의 안정을 최우선적인 국가이익으로 삼는 중국이 이 번에도 그러한 음직임에 나선다고는 생각하기가 어렵습니다.
    (もちろん、中国が「裏門」を完全に閉鎖すれば、北朝鮮は相当困難な状況に直面することは避けられないでしょう。しかし、北朝鮮の安定を最優先的な国家利益とみなす中国が今回もそのような動きに出るとは考えにくいです。)

    저는 교수님이 주장하시는 대로 "북핵"이 "미싸일"보다 한국과 일본뿐만 아니라 국제적으로도 위험하다고 봅니다. 미국으로서는 자기 나라 땅에 도달하는 미싸일을 북한이 가지게 될지 안 될지는 군자적으로도 미국 국내 정치적으로도 큰 문제이겠지만 동북아 나라들에게는 그 위협 단계는 미리 오래 전에 넘었습니다.
    (私は、先生が主張されるとおり「北朝鮮の核」が「ミサイル」よりも韓国と日本だけではなく、国際的にも危険であると思います。米国としては、自国の地に到達するミサイルを北朝鮮が持つことになるのかならないのかは、軍事的にも米国の国内政治的にも大きな問題であるでしょうが、東北アジア諸国にとっては、その危険レベルは既にかなり前に超えています。)

    그래서 이 번에는 일단 핵과 미싸일을 분리시켜 대응할 수밖에 방법이 없다고 생각합니다. 북한이 미싸일 발사를 강행한다해도 지금은 북한이 더 이상 핵을 개발하지 못하는 상황을 만드는 일에 집중해야 할 것입니다. 그 것은 군사적 핵뿐만 아니라 그야 말로 이번 서울핵안전회의의 중심과제인 핵물질 관리까지 포함된 광범위적인 북핵문제 대응이어야 합니다.
    (したがって、今回はいったん、核とミサイルを分離して対応する方法しかないと考えます。北朝鮮がミサイル発射を強行するとしても、今は北朝鮮がこれ以上核を開発できないような状況を作ることに集中しなければならないと思います。それは、軍事的な核だけではなく、まさに今回のソウル核安全会議の中心課題である核物質管理まで含む広範囲な北朝鮮の核問題への対応でなければなりません。)

    최후까지 북한 미싸일 발사를 포기하게 할 노력은 계속하면서도 만약에 발사한다고 해도 과민반응에 나서지 말고 그래도 북하이 2.29로 합의한 핵에 대한 약속을 지킬 의도가 있는가를 확인한 다음 안보리제재등 강경 대응책을 써도 늦지 않을 것입니다.
    (最後まで北朝鮮のミサイル発射を自制させる努力を続けながら、もし発射をしても過剰反応をすることなく、北朝鮮が2.29に米朝で合資した核に関する約束をまもる意思があるのかを確認してから安保理制裁など、強硬な対応策を講じても遅くないと思います。)

    교수님 주장대로 과거의 과오를 되풀이하는 것만은 하면 안 됩니다.
    (先生の主張どおり、過去の間違いを繰り返すことだけはしてはなりません。)

    <追記:2012年4月4日 06:45>
    文正仁教授からお送りしたメールに対するお返事を頂いた。一気に書いた、韓国語の間違いも多い雑文に対して、直ぐにお返事を頂いたわけだが、まるで金正恩さんから「感謝文」を受け取った朝鮮人民のような心情である。ご多忙にもかかわらず、海の物とも山の物とも分からぬメールにお返事を下さった文教授に感謝する。

    文教授は、メールでご自身が編集されるアジア情報サイト(英語版)をご紹介下さった。上に提示した「中央日報」の記事と関連する文先生の記事もある。

    http://www.globalasia.org/
    http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/03/29/the_land_of_lesser_evils

    <追記:2012年4月5日 11:50>
    あまり書くような記事もないので、文教授へのメールを和訳しておいた。

    「朝鮮労働党代表者会が11日に開かれる」(2012年4月2日「朝鮮中央通信」)

    いよいよ、朝鮮労働党代表者会が開催される日にち、4月11日が発表された。この記事では、「朝鮮人民軍、道(政治局)党代表会などでは、全ての党員と人民軍将兵、人民の総意と念願を込め、我々の党と国家、軍隊の最高指導者金正恩同志を朝鮮労働党第4次代表者会代表として高く推戴した」としているので、11日の代表者会で「総秘書」に推戴されることはほぼ確実とみてよいであろう。

    「労働新聞」の記事:
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-04-02-0001

    そして、その2日後の4月13日に最高人民会議が開催されることになっているが、国防委員長にも就任するのか、それとも憲法改正をして(あるいはそれを前提として)、国防委員長を国家主席のように「永久化」する措置をとるのか。

    衛星発射は12日から16日と予告しているので、気象条件さえ整えば、最高人民会議開催後の4月14日辺りになるのではないだろうか。「強盛大国」や「強盛国家」の経済的な「大門」が4月15日には開かれないことは、過去記事にも書いたように既に認めているので、光明星3号発射という「科学的」な大挙で4月15日の太陽節(金日成生誕日)を迎えるのではないだろうか。

    ここ数日、韓国などのメディアを通じて北朝鮮の衛星発射準備状況が伝えられてこないが、どうなっているのであろうか。ドイツでの米朝接触で米国が「衛星発射なら栄養援助中止」という警告を発し、「衛星発射をロシアか中国に依頼してはどうか」と提案したそうだが、北朝鮮は拒否したそうだ。

    http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20120402-00000004-ann-int

    「(米国などが)衛星発射の資金を提供するなら、ロシアか中国に頼む」という展開はあるかとも思っていたのだが、北朝鮮は「南朝鮮がロシアの技術を使っても失敗した衛星発射を独自の技術でやる」ことを主張しているので、やはり発射以外の選択肢はないのであろうか。

    米朝接触については、月曜日(米国時間)の米国務省報道官記者会見で、その内容が語られるはずなので、注目しなければならない。

    <追記:2012年4月3日 07:59>
    米国務省の4月2日、報道官定例記者会見の記録が出たが、ヌーランド報道官は、ドイツでの米朝接触に関する記者の質問に対し、「トラック2(別経路)の米朝接触なので、政府として関与していない」とそこでの協議内容等については一切語らなかった。

    <追記2:2012年4月7日 12:13>
    やはり衛星発射は14日なのか。
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120407-00000015-yom-int

    「衛星発射はどう見ても平和的なものである」(2012年3月31日「労働新聞」

    「労働新聞」に「Asia Times」を引用した記事が掲載された。

    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-03-31-0022

    調べてみると、確かに「Asia Times」にこの記事は掲載されている。

    http://www.atimes.com/atimes/Korea/NC22Dg01.html

    「労働新聞」の記事では「中国のインターネット新聞」とされているが、実は、香港・タイを本拠地とするインターネット新聞のようである。この新聞には、北朝鮮に関する記事がかなり掲載されているが、ざっと読んだ限りでは批判的なものが多いようである。北朝鮮は、読者が記事を投稿できるという点を利用して、北朝鮮はこの新聞を宣伝媒体として利用している形跡がある。「労働新聞」は、過去にも「Asia Times」の引用記事を多く紹介しているし、この記事(North Korea launches satellite of love)を書いているのは北朝鮮の人で、著者紹介では「北朝鮮と金正日の非公式なスポークスマン」となっている。

    「労働新聞」にも引用されているように、衛星発射に際して「世界で最も若く優秀な政治家である金正恩が朝鮮宇宙空間技術委員会に外国の宇宙科学技術のエキスパートとジャーナリストを招くよう命令した」とし、その目的として「透明性の確保」を挙げている。

    次に、「パブロフの犬(条件反射的な)のような反応は核実験を招く」とし、米国に対して2.29合意に示されているように非敵対的な姿勢を示すよう要求しながら、「米国は北朝鮮の衛星発射をジェントルマンのように祝福し、宇宙でランデブーできるような衛星発射を準備する」よう再考するように求めている。

    そして、ワシントン、ソウル、東京が敵対的な姿勢を崩さないのであれば、北朝鮮は「追加的な核実験と次の段階として米国の大都市上空の宇宙空間か太平洋と大西洋の公海上で水爆を爆破させることも考えるであろう」とし、「IAEA係官の入国は認められず、ウラン濃縮は再開・拡大されるであろう」と威嚇した上で、「しかし、金正恩政権が最も望まないことは、2.29米朝合意が危険にさらされることである」と、ウラン濃縮中断とIAEAによる査察受け入れなど米朝合意履行と引き替えに衛星発射を認めるよう主張している。

    北朝鮮は、光明星3号は3つのメッセージを発するとしている。第一に、光明星3号が「北朝鮮を新たなアジアン・エコノミック・タイガーとし、経済大国のエリート・クラブの新たなメンバー」として輝かせるとし、さらに独自の技術で完成させた軽水炉ができれば、北朝鮮はローコストの衛星発射ロケットと軽水炉を諸外国に提供することができるようになるであろうとしている。

    第二に、「米国が衛星発射に対して否定的であろうが肯定的であろうが、成功裏な衛星発射は、長期的には韓国における米軍のプレゼンスを無力化させる方向に向かう」としている。その理由として、北朝鮮が核とミサイルの開発を続け、米国の都市を「脅しではなく実際に蒸発させる」能力を持てば、米国は「非核化ではなく、核削減交渉」を北朝鮮としなければならないであろうと主張し、どのみち北朝鮮は核・ミサイル戦力を増強させるのであるから、そうなる前に北朝鮮との平和協定を締結する方向に動くよう要求している。

    第三に、光明星3号は「金正恩が朝鮮半島から米軍を撤退させ、南北の二体制による平和統一へと導くイニシアティブを持ったことを韓国と世界の人々に示す」と主張している。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

          dprknow

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    Visitors
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    QRコード
    QR