「<朝鮮記録映画>敬愛する金正恩元帥様が各部門の事業を現地指導、2014.7-8」:「元帥様」の足の状態、「自留地」、フライトアテンダント、珍しいアングル、「最上の質」、一段飛ばし、 (2014年9月9日 「朝鮮中央TV」)
放送から1週間ほど経過してしまったが、コメントでも話題になったので、記事にしておく。モランボン楽団「新作音楽会」の動画でも金正恩が写らなかったが、金正恩の「革命活動報道」は、9月4日の「新作音楽会」を最後に報道されていない。彼の活動としては、9月8日の「金正恩同志がシリア大統領に祝電を送られた」、9月11日の「金正恩同志が故金ナムオ同士の霊前に花輪を送られた」(いずれも「朝鮮中央通信」の報道日)という2つが伝えられているが、現地指導に関する報道は一つもない。
これまで、金正恩が現地指導で人前に出てこなかった期間がどれほどあったのかは確認していないが、7月、8月の『労働新聞』を見ると、ほぼ毎日、彼の「革命活動報道」(現地指導・視察)を伝えている。その総集編が表題とした「朝鮮記録映画」であるが、その中で見られる彼の様子を確認しておくことにする。
7月6日に『労働新聞』(以下、同新聞準拠)で報道された「松島園国際少年団野営所現地指導」では、左足に問題があったようで、右足で支えながら歩いている。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
7月11日の「平壌国際飛行場航空駅舎建設場現地指導」でも、左足をかばっている。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
7月20日の「第17回アジア競技大会に参加する国家総合チーム男子サッカー検閲競技を指導」では、フィールドに降りて選手たちに囲まれるシーンがある。この時は、監督かコーチと思われる男性が金正恩の左腕を掴んでいる。「元帥様」と腕組みをするシーンはしばしば見られるが、この時は腕組みというよりも彼を支えているように見える。サッカーの監督かコーチなので、「元帥様」の足の不調を感じて、自然に取った行動なのかもしれない。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
7月24日の「コサン果樹農場現地指導」では、少し足の状態がよくなったようで、「新たに建設された展望台」への階段を上るシーンも紹介している。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
それだけではなく、階段を早足で降りるシーンも見せている。この時の歩行シーンを見る限りでは、足はだいぶ回復したように見える。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
番組では「元帥様」が「退役軍人夫婦の家庭を訪問し、新築住宅への入居を祝賀する」場面も紹介している。下の場面では、このこの夫婦の家の液晶テレビをチェックしている。「元帥様」は、「新居に入居した農場勤労者に天然色テレビをプレゼントしよう」と語ったという。平壌の住宅にある液晶テレビよりは小画面であるが、この夫婦の住宅にあった液晶テレビは自分で買ったものなのなのか、あるいは「元帥様」訪問準備のための飾りなのか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
羅先シリーズで「自留地」について書くといっておきながら、まだ書いていないが、ちょうど「元帥様」が記念写真を撮ったシーンによい場面があったので紹介しておく。「新しく建設された」住宅のためか、かなり広い「庭」があり、そこに農作物が植えられているように見える。羅先では、家の周りにトウモロコシやヒマワリを植えている家屋を多く見た。
根拠となる法令を調べてみると、「朝鮮民主主義人民共和国土地法」、「第2章 土地利用権」の第13条に「朝鮮民主主義人民共和国の土地は、国家だけが支配することができ、それを人民の利益と幸福のために協同農場をはじめとした機関、企業所、団体及び公民が様々な方面で利用することができる」とある、そして同条に付け加えられたように「協同農場の自留地は、協同農場規約により20~30坪とする」と書かれている。「土地法」は、1977年4月29日に「最高人会議法令第9号として採択」されており、1999年6月16日に「最高人民会議常任委員会制令第803-1号として修正」されている。99年の改定でこの部分が付け加えられたのであれば、時期的には農民に「自留地」の利用を許可して食糧増産を図ったのか、既に「自留地」生産が一般化していたので、それを法律で追認したということであろう。いずれにせよ、「元帥様」の背景に「20~30坪」の「自留地」が広がっていても、法律的には問題がないということのようだ。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
7月26日の「元山靴工場現地指導」では、さらに足の状態がよくなっているように見える。意図的にかどうかは不明であるが、この「朝鮮記録映画」では、金正恩が階段を上るシーンを多く出している。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月3日の「千里馬タイル工場現地指導」でも、階段を上がっている。足の状態はよい。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月7日の「平壌靴下工場現地指導」でも、歩行はほとんど問題ない。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月10日の「民用航空総局と陸海運省間の男子バレーボール競技観戦」には、歩く場面は出てこない。この女性たちは「高麗航空」のフライトアテンダントであろうか。過去記事で紹介した高麗航空のホームページには、赤い制服を着た女性が出ていた。フライトアテンダントだとすると、運航便数と比して多すぎるように見える。平壌空港のターミナル工事もしているので、今後、運行便数を増やすための施策であろうか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月12日の「第17回アジア競技大会に参加する国家総合チーム女子サッカー検閲競技を指導」でも、フィールドに降りることはなかった。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月13日の「完工段階に至った金策工業大学教育者住宅建設場現地指導」では、「2号棟5階1号」を視察したとして、階段を上るシーンを使っている。エレベーターはまだできていないようなので、「5階まで歩いて上がった」という話であろう。歩行はほとんど問題ない。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
この「現地指導」紹介では、建設中の建物を背景に「元帥様」を見上げるように撮影するという珍しいアングルも使っている。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
同日、「平壌育児院、愛育院建設場を再び現地指導」でも階段を上る「元帥様」が出る。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
「最上の質」というスローガン。「速度」や「量」を強調したスローガンは多いが、「質」を強調したスローガンも登場しているようだ。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
長い階段を見せた後、再び階段を上る「元帥様」。しかも、一段飛ばしで上っている。彼が、これまでの「現地指導」で一段飛ばしをやったのかは記憶にないが、ここまで見せるというのは、やはり「足不調」が回復したことを訴えたいからであろうか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月15日の「新たに操業したカルマ食料工場現地指導」でも、足の状態はよい。下は、同工場の労働者との記念撮影であるが、労働者がなぜかリラックスしているように見える。「親近なる元帥様」ということであろうか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月18日、「ヨンプン科学者休養所建設場を現地指導」で坂を上る「元帥様」

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月31日、「我が国の産業施設のお手本、標準として立派に建設された10月8日工場を現地指導」では、再び足の状態が少し悪くなったような歩き方をしているが、

Source: KCTV, 2014/09/09放送
階段も上っている。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
静止画では分かりにくいかのしれないが、「元帥様」は左膝を伸ばしたまま前に振り出すような歩き方で階段を上っている。膝に何か問題があるのだろうか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
ということで、8月末になりまた左足(膝)の状態が悪くなったのであろうか。冒頭に書いたとおり、9月4日の「新作音楽会」でも「元帥様」の入退場場面はなく、その後の動向は報道されていない。この「記録映画」では、民間部門に対する「指導・視察」のみを紹介しているが、その間に軍に対する「指導・視察」も行っている。暑い時期に、活動し過ぎたので休養しているのか、それとも体調が悪くなったのか、しばらく注目する必要がありそうだ。
これまで、金正恩が現地指導で人前に出てこなかった期間がどれほどあったのかは確認していないが、7月、8月の『労働新聞』を見ると、ほぼ毎日、彼の「革命活動報道」(現地指導・視察)を伝えている。その総集編が表題とした「朝鮮記録映画」であるが、その中で見られる彼の様子を確認しておくことにする。
7月6日に『労働新聞』(以下、同新聞準拠)で報道された「松島園国際少年団野営所現地指導」では、左足に問題があったようで、右足で支えながら歩いている。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
7月11日の「平壌国際飛行場航空駅舎建設場現地指導」でも、左足をかばっている。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
7月20日の「第17回アジア競技大会に参加する国家総合チーム男子サッカー検閲競技を指導」では、フィールドに降りて選手たちに囲まれるシーンがある。この時は、監督かコーチと思われる男性が金正恩の左腕を掴んでいる。「元帥様」と腕組みをするシーンはしばしば見られるが、この時は腕組みというよりも彼を支えているように見える。サッカーの監督かコーチなので、「元帥様」の足の不調を感じて、自然に取った行動なのかもしれない。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
7月24日の「コサン果樹農場現地指導」では、少し足の状態がよくなったようで、「新たに建設された展望台」への階段を上るシーンも紹介している。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
それだけではなく、階段を早足で降りるシーンも見せている。この時の歩行シーンを見る限りでは、足はだいぶ回復したように見える。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
番組では「元帥様」が「退役軍人夫婦の家庭を訪問し、新築住宅への入居を祝賀する」場面も紹介している。下の場面では、このこの夫婦の家の液晶テレビをチェックしている。「元帥様」は、「新居に入居した農場勤労者に天然色テレビをプレゼントしよう」と語ったという。平壌の住宅にある液晶テレビよりは小画面であるが、この夫婦の住宅にあった液晶テレビは自分で買ったものなのなのか、あるいは「元帥様」訪問準備のための飾りなのか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
羅先シリーズで「自留地」について書くといっておきながら、まだ書いていないが、ちょうど「元帥様」が記念写真を撮ったシーンによい場面があったので紹介しておく。「新しく建設された」住宅のためか、かなり広い「庭」があり、そこに農作物が植えられているように見える。羅先では、家の周りにトウモロコシやヒマワリを植えている家屋を多く見た。
根拠となる法令を調べてみると、「朝鮮民主主義人民共和国土地法」、「第2章 土地利用権」の第13条に「朝鮮民主主義人民共和国の土地は、国家だけが支配することができ、それを人民の利益と幸福のために協同農場をはじめとした機関、企業所、団体及び公民が様々な方面で利用することができる」とある、そして同条に付け加えられたように「協同農場の自留地は、協同農場規約により20~30坪とする」と書かれている。「土地法」は、1977年4月29日に「最高人会議法令第9号として採択」されており、1999年6月16日に「最高人民会議常任委員会制令第803-1号として修正」されている。99年の改定でこの部分が付け加えられたのであれば、時期的には農民に「自留地」の利用を許可して食糧増産を図ったのか、既に「自留地」生産が一般化していたので、それを法律で追認したということであろう。いずれにせよ、「元帥様」の背景に「20~30坪」の「自留地」が広がっていても、法律的には問題がないということのようだ。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
7月26日の「元山靴工場現地指導」では、さらに足の状態がよくなっているように見える。意図的にかどうかは不明であるが、この「朝鮮記録映画」では、金正恩が階段を上るシーンを多く出している。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月3日の「千里馬タイル工場現地指導」でも、階段を上がっている。足の状態はよい。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月7日の「平壌靴下工場現地指導」でも、歩行はほとんど問題ない。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月10日の「民用航空総局と陸海運省間の男子バレーボール競技観戦」には、歩く場面は出てこない。この女性たちは「高麗航空」のフライトアテンダントであろうか。過去記事で紹介した高麗航空のホームページには、赤い制服を着た女性が出ていた。フライトアテンダントだとすると、運航便数と比して多すぎるように見える。平壌空港のターミナル工事もしているので、今後、運行便数を増やすための施策であろうか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月12日の「第17回アジア競技大会に参加する国家総合チーム女子サッカー検閲競技を指導」でも、フィールドに降りることはなかった。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月13日の「完工段階に至った金策工業大学教育者住宅建設場現地指導」では、「2号棟5階1号」を視察したとして、階段を上るシーンを使っている。エレベーターはまだできていないようなので、「5階まで歩いて上がった」という話であろう。歩行はほとんど問題ない。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
この「現地指導」紹介では、建設中の建物を背景に「元帥様」を見上げるように撮影するという珍しいアングルも使っている。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
同日、「平壌育児院、愛育院建設場を再び現地指導」でも階段を上る「元帥様」が出る。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
「最上の質」というスローガン。「速度」や「量」を強調したスローガンは多いが、「質」を強調したスローガンも登場しているようだ。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
長い階段を見せた後、再び階段を上る「元帥様」。しかも、一段飛ばしで上っている。彼が、これまでの「現地指導」で一段飛ばしをやったのかは記憶にないが、ここまで見せるというのは、やはり「足不調」が回復したことを訴えたいからであろうか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月15日の「新たに操業したカルマ食料工場現地指導」でも、足の状態はよい。下は、同工場の労働者との記念撮影であるが、労働者がなぜかリラックスしているように見える。「親近なる元帥様」ということであろうか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月18日、「ヨンプン科学者休養所建設場を現地指導」で坂を上る「元帥様」

Source: KCTV, 2014/09/09放送
8月31日、「我が国の産業施設のお手本、標準として立派に建設された10月8日工場を現地指導」では、再び足の状態が少し悪くなったような歩き方をしているが、

Source: KCTV, 2014/09/09放送
階段も上っている。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
静止画では分かりにくいかのしれないが、「元帥様」は左膝を伸ばしたまま前に振り出すような歩き方で階段を上っている。膝に何か問題があるのだろうか。

Source: KCTV, 2014/09/09放送
ということで、8月末になりまた左足(膝)の状態が悪くなったのであろうか。冒頭に書いたとおり、9月4日の「新作音楽会」でも「元帥様」の入退場場面はなく、その後の動向は報道されていない。この「記録映画」では、民間部門に対する「指導・視察」のみを紹介しているが、その間に軍に対する「指導・視察」も行っている。暑い時期に、活動し過ぎたので休養しているのか、それとも体調が悪くなったのか、しばらく注目する必要がありそうだ。