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    「<録画実況>朝鮮労働党創建67周年慶祝国立交響楽団音楽会」:最近の出来事色々まとめて(2012年10月21日 「朝鮮中央TV」)

    記事にすべき出来事は色々あるのだが、雑用が多くなかなか記事にできない。そんな時、「国立交響楽団音楽会」の「録画実況」がアップロードされたので、聞いていた。

    「<実況録画>国立交響楽団音楽会」:
    http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-21-16.flv

    モランボン楽団も良いのだが、こちらも高尚でなかなかよい。私は音楽を評する能力など持ち合わせていないが、「国立交響楽団」の水準は高いのではないだろうかと勝手に思っている。

    やはり、フィナーレは「パルコルム」であったが、これ、なかなか私にとっては元気が出る曲である。「金大将」の歩みには期待を寄せているが、まだ腕を組んで、肩を組んで歩みを共にする判断には至っていない。

    韓国の「中央日報(日本語版)」に「改革・開放の動き見せた金正恩が「従来路線」を強調 なぜ?(1)(2)」という記事が出ていた。これは、10月16日の「労働新聞」社説で「金正日(キム・ジョンイル)時代の連続性を強調した」として、北朝鮮で改革・開放に向けた動きが後退しているのではないかという内容の記事である。

    「中央日報」記事:「改革・開放の動き見せた金正恩が「従来路線」を強調 なぜ?(1)」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121022-00000017-cnippou-kr
    同記事:「改革・開放の動き見せた金正恩が「従来路線」を強調 なぜ?(2)」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121022-00000018-cnippou-kr

    「労働新聞」記事:「생눈길을 헤치는 정신으로 창조하며 승리해나가자」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-16-0001&chAction=L

    「中央日報」の記事では、「労働新聞」の社説が金正恩さんの言葉を引用しながら、「従来路線」への回帰を示唆していると評しているが、私はそう読まない。過去にも書いた「1970年代のように」もそうであるが、やはり「大元帥様たち」の過去の業績は切って捨てることができないということだ。「中央日報」が問題にした記事も「ㅌ.ㄷ」すなわち「打倒帝国主義同盟」を組織することを金日成さんが提起したことと結びつけた記事であり、その系では「従来路線」を強調するのは当然である。そもそも、金正恩さんは従来路線の放棄などと、一度も言っていない。

    それは、主体で先軍であれ、はたまた名前を変えた金日成-金正日主義であれ、金正日愛国主義であれ、従来路線を継承してこそ、白頭の血統が受け継がれ、金正恩さんの正統性が保障されるのである。なので、それを否定することなどできようもない。これまで書きためたことを一気に書いているような気もするが、万景台革命学院と康磐石革命学院に送った、その後「労作」となる手紙の中でも、金正日さんの言葉を引用しながら、「血だけで遺伝はするが、思想は遺伝しない」と述べている。この言葉を、金正日さんがどこでどのように使ったのかはきちんと確認していないが、実にややもすれば「白頭の血統」の否定に繋がる言葉でもある。それを敢えて出して、思想も盤石にすることを金正恩さんの手紙の中で伝えたのは、「大元帥様たちの思想を学習すべし」というメッセージを伝えたかったのであろう。

    そして、それが今回の「従来路線」と同じ脈絡であり、すぐさま「改革・開放の放棄」とするのはやや短絡的である。また、「中央日報」の記事では「新しい雪道」(未踏の雪道)という言葉が、「従来路線」を継承完成するための「新しい雪道」と解釈しているが、「新しい雪道」とは必ずしも「従来路線」の継承完成ではなく、文字通り「是まで誰も歩んだことのない雪道」と解釈すれば、社会主義の枠組みの中で進める中国式とはことなる「改革・開放」という読み方もできる。北朝鮮の「改革・開放」は中国式でもベトナム式でもない、「新しい雪道」の「改革・開放」であると私は考えているし、この点については、奇しくも過日の中国におけるシンポジウムで発表した中国人学者の認識と共通している。

    それが、実態としてどのような「改革・開放」となるのかについては、未だに見えない。しかし、上記の「労働新聞」社説では、「時代的要求に合った革新」というような言葉は繰り返し使っているので、「革新」という言葉を使いながら、何かをしようとしていることは十分に考えられる。

    これがまさに「従来路線を堅持しながら」を標榜しつつ、進める「革新」の最も難しいところではないのかと思う。

    韓国の「脱北者団体」が北朝鮮に向けて風船ビラを散布することを計画したが、韓国警察に阻止されて霧散した。背景には、北朝鮮の「ビラ散布の場合には即時報復」という「通告状」への対応策と言うことであろう。にもかかわらず、この団体は別の場所からビラを散布したということであるが、北朝鮮がピンポイントで指定した「坡州市の臨津閣」からのビラ散布ではなかったので、北朝鮮による攻撃はなかった。「坡州市の臨津閣」から散布しても、いつものように北朝鮮が「笑止」する可能性は十分にあるが、別の場所からの散布であれば、後の非難こそあれ、インスタントな攻撃に結びつかなくとも、北朝鮮は恥をかくことにならない。

    「労働新聞」記事、「通告状」:「반공화국삐라살포행위를 물리적으로 진압해버릴것이다 조선인민군 서부전선사령부 공개통고장」
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-10-20-0024&chAction=L

    「時事通信」:「非難ビラ、別の場所から散布=北朝鮮の反発必至―韓国団体」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121022-00000131-jij-int

    色々と書いたが、話を戻すと「国立交響楽団」の「パルコルム」が一気に溜まっていたことを書く契機を作ってくれたわけで、やはり「パルコルム」は私にとって元気の出る曲ということであろうか。あとで、ウリミンゾクキリにコメントでも書いておくことにする。

    そういえば、過去記事でも話題となった、モランボン楽団のリーダーの名前であるが、間違ったままでウリミンゾクキリのコメント欄に掲載されている。チェックが入らなかったのか、それとも「尊厳」に関わらない間違いについては、そのまま見逃しているのであろうか。

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    No title

    韓国の雑誌「民族21」に北の演奏家、指揮者に関する記事がありました。既にご覧になったかもしれませんが。。。

    No title

    パラゾさん仰るとおり民族21で特集していました.最近は李雪主さんの特集もよくやっています.ほかに,総聯で出している祖国という雑誌でも演奏団体や指揮者について今年に入ってから特集を組んでおります.ご参考までに.
    この国立交響楽団の内容もなかなか興味深いものですね.ご参考までに.

    国立交響楽団・「民族21」

    コメント、ありがとうございます。「民族21」という雑誌の名前は知っていたのですが、オンラインで読めるとは知りませんでした。ご紹介頂いたリンクから関連記事を読んでみました。

    昨日、研究室で国立交響楽団の動画を見ていたら、院生が来ました。この院生、学部時代までは大学のオーケストラ団員でチェロ奏者、オーケストラについての見識が深そうだったので、国立交響楽団についての意見を求めてみました。

    しばらく演奏を聴いた後、「うまい」との評価。チェリストだけあって、「下手な楽団だとバイオリンのばかりが出しゃばって、チェロの音など全く聞こえないが、この楽団は、チェロを複数使っていることを差し引いても、きちんとチェロの音色を聞かせている」と言っていました。次に彼が私に聞いたのは、「外国人はいるんですか?」と。私は「中国人が混ざっていても分からないが、基本的には朝鮮人で構成された楽団だ」と答えました。すると彼、「外国人の指導者がいなければ、特に西洋の楽曲はできないはず。でなければ、楽団員が留学しているはず」だと。私は、ご紹介頂いた記事を読む前だったのですが、「旧ソ連や東欧、中立国のオーストリアあたりへの留学経験者は相当にいるはず」と答えておいたのですが、記事を読むと当たっていたようです。また、楽団員のパフォーマンス(演奏自体ではなくて、演奏する動き)についても、「パフォーマンスを見せるべき奏者は、それらしい動きをしている」と評していました。実に、「民族21」の記事で専門家が評している内容と重複する部分が多く、「音楽を知っている人が見ると、やはりそうなのだ」と今朝「民族21」の記事を読みながら妙に感心してしまいました。

    ついでに院生にモランボン楽団も見てもらいました。これ、電子チェロについての意見を聞きたかったのですが、彼によると「電子チェロは、そもそも音を出せない環境での練習用で自分たちも使った」と言っていたのですが、モランボン楽団の演奏を見て「電子楽器のメリットを活用している」と指摘しました。つまり、モランボン楽団の楽器構成では、十分な音量を得るためには「電子楽器を使わざるを得ない」とのこと。また、モランボン楽団のリーダーについては、「相当な腕前で、クラシック楽団での経験を踏んでいるはず」と言っていました。「金正恩さんの奥さんの友達だから選ばれたみたいだよ」と返してみたら、「そうだとしても、友達だけというだけで選ばれていることは絶対にない」との評。

    もう1名の院生も加わり、ミッキーマウスを見ながら北朝鮮音楽談義をしていたら、「アジア経済論」の勉強時間がほとんどなくなってしまったというお粗末な話でした。

    > 韓国の雑誌「民族21」に北の演奏家、指揮者に関する記事がありました。既にご覧になったかもしれませんが。。。

    総連・「祖国」

    コメントありがとうございます。「民族21」は、パラゾさんへのコメントにも書いたとおり、今朝、初めて読んだのですが、同感する部分が多々ある雑誌だと思いました。おもしろかったのは、拙ブログで話題にした北朝鮮の遊園地のバイクゲームの正面に貼ってあったポスターのスローガンに近い言葉「발은 자기 땅에 붙이고 있지만 눈은 세계를 향해 열려 있어야 하는 것이다.(足は自国の地に置いているが、目は世界に向かって開いていなければならないということだ)」 と討論に参加している金ジウンさんが語っている点でした。斜め読みをした時は、スローガンをそのまま引用しているのかと思って驚いたのですが、今コピペをして読み直したら、字句は少し違っていました。韓国でも類似したスローガンがある(あった)のでしょうか。

    「祖国」は、総連から直接購入できるのでしょうか。amazon.comでは扱っていないようでした。

    > パラゾさん仰るとおり民族21で特集していました.最近は李雪主さんの特集もよくやっています.ほかに,総聯で出している祖国という雑誌でも演奏団体や指揮者について今年に入ってから特集を組んでおります.ご参考までに.
    > この国立交響楽団の内容もなかなか興味深いものですね.ご参考までに.

    Re: 国立交響楽団・「民族21」

    「民族21」の記事:「세계적 추세’ 반영하지만 ‘주체’는 고수
    낯설어 촌스럽기는 하지만 음악의 대중화 주목된다
    [기획 좌담회] 모란봉악단 공연을 통해 본 북의 음악」
    http://www.minjog21.com/news/articleView.html?idxno=5372

    No title

    「祖国」は購入できるかは不明です.私は総連に近い某ルートから入手しました.
    国立交響楽団には留学組も多くいますが,やはりアメリカそしてロシアとの演奏交流の影響が多いと私は見ています.明らかに2007年ごろの演奏交流以後の演奏はそれこそ演奏時の姿勢はもちろんのこと,音色そのものが全く以前とは異なります.また,若手指揮者も活躍し始めており,このあたりは銀河水管弦楽団と共通点ですね.牡丹峰楽団のリーダーはもちろん留学組ですし,銀河水管弦楽団でのソロ演奏者も留学組です.牡丹峰楽団で電子楽器を使っていますが,院生さんの着目点はすばらしいと思います(私も示範公演時に気づきました,因みに私はヴィオラという弦楽器経験者です).私は更に,もう一つ別の点も考えていて,一斉型ではなく個別の練習が可能であるということです.このあたり,実は現在まとめているところですので,詳しくは書けませんが,いずれ明らかにしたいと思っているところです.

    楽譜

    コメントありがとうございます。「祖国」は宣伝雑誌の性格も持ち合わせているのでしょうから、総連に問い合わせれば、簡単に購入することができるかもしれませんね。

    私は、自分の子供のピアノ入門用楽譜を見てスラーとタイの違いもよく分からないぐらいの音楽音痴でして、楽器を演奏できる方は本当に羨ましいです。そうなので、同音を連続2回弾く場合のスラーは絶対にあり得ないのかと未だに悩んでおります。

    今進めておられるご研究、結果が出ましたら是非拝読させて頂きたく思います。

    > 「祖国」は購入できるかは不明です.私は総連に近い某ルートから入手しました.
    > 国立交響楽団には留学組も多くいますが,やはりアメリカそしてロシアとの演奏交流の影響が多いと私は見ています.明らかに2007年ごろの演奏交流以後の演奏はそれこそ演奏時の姿勢はもちろんのこと,音色そのものが全く以前とは異なります.また,若手指揮者も活躍し始めており,このあたりは銀河水管弦楽団と共通点ですね.牡丹峰楽団のリーダーはもちろん留学組ですし,銀河水管弦楽団でのソロ演奏者も留学組です.牡丹峰楽団で電子楽器を使っていますが,院生さんの着目点はすばらしいと思います(私も示範公演時に気づきました,因みに私はヴィオラという弦楽器経験者です).私は更に,もう一つ別の点も考えていて,一斉型ではなく個別の練習が可能であるということです.このあたり,実は現在まとめているところですので,詳しくは書けませんが,いずれ明らかにしたいと思っているところです.

    No title

    http://pann.news.nate.com/info/254105849
    '자기 땅에 발을 붙이고 눈은 세계를 보라!'は、金正日が09年12月に金日成総合大学の電子図書館を現地指導した際の言葉がスローガンになったもののようです。

    スローガン:海外情報 vs. 主体・先軍

    コメントありがとうございます。ご教授いただいたページを参照し、写真を見ました。看板には「金日成朝鮮を世界が羨むようにしよう!」とも書いてありますね。このスローガンを読むと、やはり主体思想・先軍思想でしっかり武装しなさいと言っているように思えます。海外からの情報も重要だが、主体・先軍で武装した上でということなのでしょうか。

    > http://pann.news.nate.com/info/254105849
    > '자기 땅에 발을 붙이고 눈은 세계를 보라!'は、金正日が09年12月に金日成総合大学の電子図書館を現地指導した際の言葉がスローガンになったもののようです。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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