平昌五輪と南北関係 (2018年1月3日)
「元帥様」が「新年の辞」で平昌オリンピックへの選手派遣の可能性を表明、韓国大統領文在寅がそれを「歓迎して肯定的」に受け入れ、「元帥様」の「委任」で北朝鮮の祖国平和統一委員会委員長が韓国大統領を「文在寅大統領」と呼びながら評価した。北朝鮮はこれまで、呼び捨てにしたり、実名で呼ぶことはなく「南朝鮮当局者」と呼んできた。さらに、「新年の辞」前までは「20時報道」の最後の方で、「南朝鮮の反政府デモ」などの様子を伝えていたが、昨夜は未確認ながら、今夜は南朝鮮に関する否定的報道はなかった。
「元帥様」が言いだし、韓国大統領が受け入れた形になっているので、しばらくは北朝鮮の平昌オリンピックに向けて南北の話し合いは進んでいくのだと思う。韓国側が「核・ミサイル」を持ち出せば、話し合いは霧散することは明らかなので、北朝鮮のオリンピック参加とは取りあえず分けて話をするはずである。
その系で重要なことが、オリンピック期間の米韓合同演習の成り行きである。北朝鮮も、今のところ言葉には出していないが、米韓合同演習の中止、そうでなければ少なくとも先送りを前提にしているはずで、予定どおり実施することになれば、「戦争の黒煙が漂う中でオリンピックなどできない」と高い確率でテーブルを蹴って出て行くであろう。もちろん、韓国側も北朝鮮の要求を受け入れるだけではなく、北朝鮮に対してオリンピック期間の軍事演習やミサイル発射の中断を要求するはずで、この要求は北朝鮮にとってはそれほど受け入れ難いものではないはずである。
米韓合同演習の中止あるいは延期と北朝鮮の核・ミサイル活動中断が実現すれば、中国が提案している「ダブル・フリーズ」に近い状態になり、ましてや朝鮮半島の当事者間の関係改善は、中国にとっては望ましいことなので、この状況を歓迎するであろう。もちろん、まずそうした提案をした「元帥様」はある程度評価されることになり、中国の対北朝鮮制裁の実態も緩和されることになろう。
問題は米国で、韓国の演習延期提案を今のところ受け入れないという態度である。「合同」軍事演習ではなく、米国の単独軍事演習というパターンがあり得るのかもしれないが、仮にあるとしても、米軍基地内など特定の場所を除いて、韓国の主権が及ぶ地域で「定例的」な形で行うことは不可能であろう。米軍の単独演習があった場合、北朝鮮は「米帝により南北の平和的な関係が阻害された」とオリンピック参加を取りやめるか、「南朝鮮に責任はない」と米国単独の演習があってもオリンピックに参加するのかは、判断しがたい。ただ、南北当事者が「融和」を目指しているときに、米国が明らかに水を差すような構図となるので(中露がまずそれを言い出すであろう)、北朝鮮にとっては有利な状況となる。
もちろん、全ての目論見が外れた場合のシナリオも準備しており、昨今、米国メディアが報道している「北朝鮮、近々、ミサイル発射情報」など、北朝鮮が明らかに意図的に見せているからこそ、流れてきているのであろう。つまり、「米帝のせいで」南北関係が好転しなければ、いつでもミサイル発射の準備はできていることを示しているということである。ミサイルを発射すれば直接的には北朝鮮が非難の対象にはなるが、「そうさせたのは米帝」という構図の下での発射となり得る。
「元帥様」は、「核武力完成」を宣言、後は「大量生産、実戦配備」とも言っているので、取りあえず、ミサイル発射「実験」をしばらくやる必要はないという名分もできている。
北朝鮮に乗せられている感じはするものの、ともかくも朝鮮半島問題の当事者である南北が問題解決の糸口を作ることは悪いことではない。
「元帥様」が言いだし、韓国大統領が受け入れた形になっているので、しばらくは北朝鮮の平昌オリンピックに向けて南北の話し合いは進んでいくのだと思う。韓国側が「核・ミサイル」を持ち出せば、話し合いは霧散することは明らかなので、北朝鮮のオリンピック参加とは取りあえず分けて話をするはずである。
その系で重要なことが、オリンピック期間の米韓合同演習の成り行きである。北朝鮮も、今のところ言葉には出していないが、米韓合同演習の中止、そうでなければ少なくとも先送りを前提にしているはずで、予定どおり実施することになれば、「戦争の黒煙が漂う中でオリンピックなどできない」と高い確率でテーブルを蹴って出て行くであろう。もちろん、韓国側も北朝鮮の要求を受け入れるだけではなく、北朝鮮に対してオリンピック期間の軍事演習やミサイル発射の中断を要求するはずで、この要求は北朝鮮にとってはそれほど受け入れ難いものではないはずである。
米韓合同演習の中止あるいは延期と北朝鮮の核・ミサイル活動中断が実現すれば、中国が提案している「ダブル・フリーズ」に近い状態になり、ましてや朝鮮半島の当事者間の関係改善は、中国にとっては望ましいことなので、この状況を歓迎するであろう。もちろん、まずそうした提案をした「元帥様」はある程度評価されることになり、中国の対北朝鮮制裁の実態も緩和されることになろう。
問題は米国で、韓国の演習延期提案を今のところ受け入れないという態度である。「合同」軍事演習ではなく、米国の単独軍事演習というパターンがあり得るのかもしれないが、仮にあるとしても、米軍基地内など特定の場所を除いて、韓国の主権が及ぶ地域で「定例的」な形で行うことは不可能であろう。米軍の単独演習があった場合、北朝鮮は「米帝により南北の平和的な関係が阻害された」とオリンピック参加を取りやめるか、「南朝鮮に責任はない」と米国単独の演習があってもオリンピックに参加するのかは、判断しがたい。ただ、南北当事者が「融和」を目指しているときに、米国が明らかに水を差すような構図となるので(中露がまずそれを言い出すであろう)、北朝鮮にとっては有利な状況となる。
もちろん、全ての目論見が外れた場合のシナリオも準備しており、昨今、米国メディアが報道している「北朝鮮、近々、ミサイル発射情報」など、北朝鮮が明らかに意図的に見せているからこそ、流れてきているのであろう。つまり、「米帝のせいで」南北関係が好転しなければ、いつでもミサイル発射の準備はできていることを示しているということである。ミサイルを発射すれば直接的には北朝鮮が非難の対象にはなるが、「そうさせたのは米帝」という構図の下での発射となり得る。
「元帥様」は、「核武力完成」を宣言、後は「大量生産、実戦配備」とも言っているので、取りあえず、ミサイル発射「実験」をしばらくやる必要はないという名分もできている。
北朝鮮に乗せられている感じはするものの、ともかくも朝鮮半島問題の当事者である南北が問題解決の糸口を作ることは悪いことではない。