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    27探査隊員:10月延吉報告 (2017年10月26日)

    1.柳京ホテル
    10月中旬に延辺大学で国際会議があり、再び延吉を訪れた。今年、3回目の延吉だった。会議期間中は、主催者側が提供してくれたホテルに泊まっていたが、帰国便調整のために1日延泊した時に泊まったのは、例によって柳京ホテルだった。今回は事前予約することなく、宿泊当日の朝、朝市見学がてら予約を入れた。朝行くと、朝鮮語より中国語の方が得意そうな茶髪の女性がいるが、どうやら彼女は夜間・早朝勤務の朝鮮族のようだ。髪型・髪色も服装も「思想・精神的」によろしくなく、清廉な朝鮮人民とは思えない。

    実は、8月に柳京ホテルに宿泊した際、スーツのズボンを部屋に忘れた。帰国後、スーツケースを開けて気付いたので、駄目元で電話をしてみた。そしたら忘れ物として保管してあり、次に来るときまで保管してくれるとドンム。

    9月に日帰りで長春から延吉に行き、柳京ホテルにも立ち寄ったのでその時に受け取れば良かったのだが、慌ただしくて忘れてしまった。そんなこともあり、今回、受け取ろうと「思想・精神的」によろしくない朝鮮族に話したところ、「誰に伝えたんですか。誰かが届けてくれるでしょう」と実に適当な返事。まあ、内容的には中国の安ホテルでは普通なものだったので、「そうですか」と引き下がった。

    念のため、「また、来られたんですね」と声をかけてくれた朝鮮のドンムに聞いてみたところ、「9月に来られたときに受け取られたのでは」と、まあ正確に来た時期まで覚えている。その時の事情を話すと「では、探してみて部屋に届けます」とのこと。

    そして、その夜、1階のコーヒー店で「大同江ビール」を飲みながら「朝鮮中央TV」を見ていると、ビニール袋に入ったズボンをドンムが届けてくれた。言ってはみたものの、十中八九処分されているだろうと思っていたので、きちんと出てきたときにはとても感動した。この辺り、ものを大切にする朝鮮人民だからなのか、誠実に顧客に対応する朝鮮人民だからなのかは分からないが、素晴らしい。

    ホテルには宿泊客はほとんどおらず、夕食時間帯の来客もほとんどゼロ。よって、音楽公演も中止。酔っ払った朝鮮語を話すオッサン(在中朝鮮人か朝鮮族)が、ドンムに絡んで泣かせる場面を目撃するぐらいのことしかなかった。ともあれ、白頭山から指令された工作活動(内容は極秘)でドンム達と「友誼・親善関係」を構築し、友好的日本人民には快適にだった。

    中国の独自制裁が継続すれば、1月には撤退しなければならない柳京ホテル。来年また泊まれるのか心配になってしまう。

    2.千年白雪会館
    8月には、1階の食堂に行った千年白雪会館であるが、今回はもう1人の探査隊員と2階のバーに行った。やはり、行くべきは2階である。もう1人の探査隊員が去年そこで朝鮮楽曲が収録されたDVDを大量に購入したこともあり、ドンムが我々を覚えていた。日曜日だったこともあり、2階のバーにはそれなりの人がいた。やはり、例によって朝鮮族のグループが多かったが、韓国人のグループもいた。客の入りがよかったからなのかも知れないが、去年同様、ほぼ1時間おきに何回も公演を繰り返していた。
    歌も演奏もレベルは高い。今回は、「モランボン楽団」が使うような電子チェロを演奏するドンムがおり、なかなか見ごたえがあった。しかし、この演奏は巧妙な工作で、金満中国人や人の良い南朝鮮人民が、ドンム達に花かごを贈呈する。工作資金が乏しい27探査隊員は、お陰で公演を無料で満喫できるので良いことだ。また、公演に触発された客がカラオケを歌い始めるという効果もある。花かごの値段は分からないが、カラオケ1曲100元(約1500円)なので、それと同額であろう。

    今回、歌を歌っていたのは、南朝鮮人民のようだった。古い民謡のような歌を歌っていたが、当然盛り上がりに欠ける。100元ということもあり、ドンムが一緒に歌ってくれるが、今一つの感じ。今回は、探査を前に現地での工作で若干の工作資金を獲得できていたので、100元のカラオケに挑戦することにした。当然、金正恩時代の朝鮮楽曲は豊富にあり、こちらのリクエストに何でも応じてもらえると思ったのだが、朝鮮楽曲がリストアップされている紙を見たら20~30曲ほどしかなく、新曲は少なかった(「戦争の3年間」を歌いたかったのだが)。選んだ曲は「告白」。デュエットしてくれたドンムは流石に歌手だけあり、上手にハモらせていた。歌い終わったときは、たくさんのドンムが友好的日本人民を見に集まっており拍手をパチパチ、明らかに南朝鮮人民の時とは違う対応。27探査隊員は任務遂行中であることを忘れて有頂天に。再び南朝鮮人民が古い歌を歌い、工作資金の浪費を覚悟で27探査隊員はまた1曲。結局、2曲だったか3曲だったか忘れてしまったが、楽しく歌わせてもらった。そして会計をしようとすると、ドンムが「1曲分、サービスしておきました」と。本当なのだと思うが、2人で340元払って店を出た。朝鮮楽曲だったからサービスがあったのかどうかは不明ながら、悪い話ではない。

    千年白雪会館も当然、中国の独自制裁の対象となっているはずなので、下手をするとこれが最後。良い思い出にしてしまうのは残念な気がする。

    3.潰れた「モランボン食堂」と狗肉食堂のドンム
    今回、歩いていたら潰れた「モランボン食堂」を発見した。北朝鮮系の食堂かどうかは不明ながら、店名からはそうであろう。看板があったので、一応、夕方確認してみたが、営業している様子はなかった。一方、例によって「ケ・コギ(犬肉)」料理を提供する朝鮮族経営の「英子狗肉食堂」に昼食を食べに行った。これまで数回行ったが、その時は、漢族と朝鮮族の経営者と思われる女性しかいなかったが、今回はドンム達がたくさんいた。実は9月に行ったとき、2階で宴会が開かれており、上手な女性の歌声が聞こえてきていたのだが、どうやらその時に歌っていたドンム達が、普段はウェイトレスとして働いているようだ。この店は、有名な狗肉料理店のようで、いついっても客がたくさん入っている。朝鮮族経営の食堂なので閉店に追い込まれることはないだろうが、ドンム達は、遠からず帰国することになるのであろう。

    4.厳しいチェック、万里馬速度は平壌だけ
    もう何回も行っているのだが、定点観測という意味で、会議主催者側が準備した防川ツアーに参加した。しかし今回は、防川に向かう道での中国当局によるチェックがこれまでとは異なり厳しかった。高速道路の出口にはチェックポイントがあり、警官がパスポートチェックをしたりバスに乗り込んできて乗客の様子を確認していた。警備が強化された理由が中国共産党大会との関連なのか、中朝関係の悪化によるものなのかは不明ながら、このようなことはことは初めてであった。

    防川から眺める朝鮮は相変わらず静かだった。図們江を行き交うボートがあり、対岸では何かの工事が行われていたが、コンクリートの構造物が作られただけで、去年と比べて工事が大きく進展した様子はなかった。どうやら、「万里馬速度」は朝鮮全土の話ではなく、平壌だけの話のようだ。

    2016年9月に撮影した写真。今回は、カメラを持参しなかったので撮影できなかった。手前が中国、対岸が北朝鮮、橋の向こうはロシア。遠くに見えるのは日本海。
    20160920 P9200180

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    柳京ホテル

    先生、探査お疲れ様です。
    柳京ホテル、心配です。部屋では、朝鮮中央テレビは見られるのでしょうか?
    一階で見られるならば、再度見られるようになったかも知れませんね。
    8月に行った時、『思想・精神的』によろしくない茶髪嬢は、スマホばかりいじってましたね。
    ドンムたちが精神汚染されないことを祈ります。
    防川、数年前からうるさくなりましたね。
    朝鮮側に桟橋が出来たと聞いてます。

    Re: 柳京ホテル

    今年、最後の探査になりそうです。12月に南方の探査に行けるかも知れないのですが、日程調整中というところです。

    部屋での中央TVは依然として駄目です。コーヒー店では、ネットを使って見ているとのことで、過去記事で紹介したマンバンを使っていました。しかし、ネットワークの状態があまりよくないようで、しばしばストリーミングが停止していました。

    「思想・精神的」によろしくない女性は、客と話しながらもスマホをチラチラ。そしてスマホの着メロが、また「思想・精神的」によろしくない楽曲でした。さらに、旅券をコピーするための機械の調子が悪く、なぜか私に対して不機嫌でした。夜間・早朝勤務をドンムにやらせないのは、「傀儡国情院のチンピラ」に誘拐されるのが心配だからなのかもしれませんね。

    防川、昨年と比べてかなり厳しくなっていました。あれが「桟橋」と呼べるのかは疑問ですが、コンクリートの構造物がありました。まだ、周囲では工事をやっているようでしたよ。





    > 先生、探査お疲れ様です。
    > 柳京ホテル、心配です。部屋では、朝鮮中央テレビは見られるのでしょうか?
    > 一階で見られるならば、再度見られるようになったかも知れませんね。
    > 8月に行った時、『思想・精神的』によろしくない茶髪嬢は、スマホばかりいじってましたね。
    > ドンムたちが精神汚染されないことを祈ります。
    > 防川、数年前からうるさくなりましたね。
    > 朝鮮側に桟橋が出来たと聞いてます。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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