「金正恩同志が中国の党と国家指導者たちに祝電を送られた」:金正恩が送った過去の祝電、嫌味を込めた答礼か、10月10日に中国からの来賓があるのか (2015年9月30日 「朝鮮中央通信」)
30日、「朝鮮中央通信」が、金正恩が中国の「建国66周年」に際して祝電を送ったと伝えた。内容はいたってシンプルで「我々は、中華人民共和国創建66周年に際し、朝鮮労働党と朝鮮民主主義人民共和国政府と人民の名で、あなたと、あなたを通じて中国共産党と中華人民共和国政府と人民に祝賀を送ります。中華人民共和国の富強繁栄と貴国人民の幸福を祝願します」だけである。祝電は、朴奉珠内閣総理と連名で出されている。
「元帥様」が外国の指導者に送った祝電を振り返ってみると、次のとおりである。(「朝鮮中央通信」HPにて「祝電(축전)」で検索)
・2015年9月8日: シリアのアサド大統領に50才の誕生日を祝う祝電
かなり長文で「私は、偉大な首領様達が作られた朝鮮とシリアの同志的友誼と伝統的連帯性の関係が、我々の共同の努力によりさらに強化されると信じており、あなたが健康で責任ある事業でより大きな成果を出すことを心よりお祈りします」と締めくくっている。
・2015年8月20日: 朝鮮とキューバの修交55周年を祝う祝電をラウル・カストロ首相に
「私は、反帝自主、社会主義のための共同闘争の中で結ばれ、強固に発展してきた両国間の兄弟的な親善協力関係が今後、さらに強化発展すると確信しており、あなたの責任ある事業でより大きな成果が出ることを心よりお祈りします」と締めくくっている。
・2015年6月12日: ロシア連邦建国記念日に際しプーチン大統領に祝電
「私は、長い歴史と伝統がある朝露親善関係が、新しい世紀に入り、最高位級で採択された共同文献の精神に合致するように、立派に発展していることについて喜ばしく思い、親善の年である今年に双方の関係がさらに高い段階に拡大発展すると確信しています」と。
・2015年6月3日: キューバのラウル・カストロ首相に誕生日の祝電
「私は、あなたの誕生日に際し、熱烈な祝賀と温かい同志的挨拶を送り、あなたがこれからも健康でキューバ革命の勝利的前進のための責任ある事業でより大きな成果を出すことを心よりお祈りいたします」と。
・2015年5月9日: ロシアの祖国戦争勝利70周年に際しプーチン大統領に祝電
「私は、長い歴史的伝統がある朝露親善関係が両国の人民の志向と念願に合致するよう、新たな高さに拡大発展すると確信しており、強力なロシアを建設するためのあなたと貴国人民の事業でより大きな成果があることを心よりお祈りいたします」と。
・2015年4月16日: シリア独立69周年に際しアサド大統領に祝電
・2015年3月6日: ラオスのサイニャーソン主席の79才の誕生日に際し祝電
「私は、両党、両国間の伝統的な親善協力関係が反帝自主、社会主義のための共同闘争の中でさらに発展、拡大していくと確信しており、あなたが健康で、党の強化発展と国の繁栄のための責任ある事業で新たな成果を出されることを心よりお祈りいたします」と。
・2015年2月2日: 各国首脳に年賀状、記載順序はロシア大統領、中国主席の順。
・2015年2月2日: ベトナム共産党創党85周年に際しグエン・フー・チョン書記長に祝電
「私はこの機会に、両国の先代首領達が作られ、花咲かせた、両党、両国人民間の伝統的な親善協力関係が社会主義偉業の勝利のための道でさらに強化発展するという確信を表明し、あなたの健康と党第11大会決定のための党の活動でより大きな成果があることを心よりお祈りいたします」と。
・2014年12月31日: キューバのラウル・カストロ首相にキューバ革命56周年に際し祝電
・2014年12月2日: ラオスのサイニャーソン主席にラオス建国39周年に際し祝電
・2014年11月15日: シリアのアサド大統領にシリアの是正運動44周年に際し祝電
・2014年9月8日: シリアのアサド大統領の49才の誕生日に際して祝電
・2014年6月12日: ロシアのプーチン大統領にロシア建国記念日に際し祝電
「私は、親善と協力の長い歴史がある朝露関係が、両国人民の利益に合致するよう拡大、発展していることについて喜ばしく思い、この伝統的な関係が双方で合意された共同文献の精神に合致するよう今後さらに強化されるという確信を表明します」と。2015年にある「最高位級」という文言がない。ロシアの戦勝記念日に崔龍海「特使」が訪露し、金正恩とプーチン間で「最高位級の文献」が交換されたということであろう。
・2014年6月5日: シリアのアサド大統領が再選されたことに祝電
・2014年6月3日: キューバのラウル・カストロ首相に誕生日の祝電
・2014年3月7日: シリアのアサド大統領にシリアの「3月8日革命」51周年に際し祝電
・2014年3月6日: ラオスのサイニャーソン主席の78才の誕生日に際し祝電
・2013年12月1日: ラオスのサイニャーソン主席にラオス建国38周年に際し祝電
・2013年11月13日: シリアのアサド大統領に「是正運動」43周年に際し祝電
「朝鮮中央通信」HPの過去データ検索で表示されるのはここまでである。シリア、キューバ、ラオスには多くの祝電を送っているが、年賀状を除いて、今回、9月30日に「祝電」が出されるまで中国に対する祝電がなかったのには改めて驚いた。中国の「戦勝記念日」に崔龍海が金正恩の祝電を携えて行ったのかは不明であるが、過去記事で紹介したように、天安門の入り口で握手をして記念撮影をしただけで、祝電などの伝達はなかったのかも知れない。
2014年の65年という節目の年の中国建国記念日に祝電を送らず、敢えて66周年という半端な年に祝電を出しているということは、10月10日に中国からの「大物」の出席を希望しているからかもしれない。また、他の「祝電」は、各国の指導者宛に金正恩が出している形になっているが、今回の祝電は朴奉珠との連名にし、習近平(主席=党と国家指導者)、李克強(総理=政府の代表)、張徳江(全人代委員長=国会議長)に送る形を取っている。こうした形で「祝電」を送っているのは、金正恩と中国指導者の人的関係が樹立していない中、何とか党あるいは政府レベルで10月10日に「大物」を派遣して欲しいというメッセージなのか、時期的には既に決定しているかもしれないので、嫌味を込めた答礼なのかもしれない。
2013年6月の「祖国解放戦争60周年記念行事」には、副主席の李源潮が参席したが、今回は誰が来るのであろうか。
「元帥様」が外国の指導者に送った祝電を振り返ってみると、次のとおりである。(「朝鮮中央通信」HPにて「祝電(축전)」で検索)
・2015年9月8日: シリアのアサド大統領に50才の誕生日を祝う祝電
かなり長文で「私は、偉大な首領様達が作られた朝鮮とシリアの同志的友誼と伝統的連帯性の関係が、我々の共同の努力によりさらに強化されると信じており、あなたが健康で責任ある事業でより大きな成果を出すことを心よりお祈りします」と締めくくっている。
・2015年8月20日: 朝鮮とキューバの修交55周年を祝う祝電をラウル・カストロ首相に
「私は、反帝自主、社会主義のための共同闘争の中で結ばれ、強固に発展してきた両国間の兄弟的な親善協力関係が今後、さらに強化発展すると確信しており、あなたの責任ある事業でより大きな成果が出ることを心よりお祈りします」と締めくくっている。
・2015年6月12日: ロシア連邦建国記念日に際しプーチン大統領に祝電
「私は、長い歴史と伝統がある朝露親善関係が、新しい世紀に入り、最高位級で採択された共同文献の精神に合致するように、立派に発展していることについて喜ばしく思い、親善の年である今年に双方の関係がさらに高い段階に拡大発展すると確信しています」と。
・2015年6月3日: キューバのラウル・カストロ首相に誕生日の祝電
「私は、あなたの誕生日に際し、熱烈な祝賀と温かい同志的挨拶を送り、あなたがこれからも健康でキューバ革命の勝利的前進のための責任ある事業でより大きな成果を出すことを心よりお祈りいたします」と。
・2015年5月9日: ロシアの祖国戦争勝利70周年に際しプーチン大統領に祝電
「私は、長い歴史的伝統がある朝露親善関係が両国の人民の志向と念願に合致するよう、新たな高さに拡大発展すると確信しており、強力なロシアを建設するためのあなたと貴国人民の事業でより大きな成果があることを心よりお祈りいたします」と。
・2015年4月16日: シリア独立69周年に際しアサド大統領に祝電
・2015年3月6日: ラオスのサイニャーソン主席の79才の誕生日に際し祝電
「私は、両党、両国間の伝統的な親善協力関係が反帝自主、社会主義のための共同闘争の中でさらに発展、拡大していくと確信しており、あなたが健康で、党の強化発展と国の繁栄のための責任ある事業で新たな成果を出されることを心よりお祈りいたします」と。
・2015年2月2日: 各国首脳に年賀状、記載順序はロシア大統領、中国主席の順。
・2015年2月2日: ベトナム共産党創党85周年に際しグエン・フー・チョン書記長に祝電
「私はこの機会に、両国の先代首領達が作られ、花咲かせた、両党、両国人民間の伝統的な親善協力関係が社会主義偉業の勝利のための道でさらに強化発展するという確信を表明し、あなたの健康と党第11大会決定のための党の活動でより大きな成果があることを心よりお祈りいたします」と。
・2014年12月31日: キューバのラウル・カストロ首相にキューバ革命56周年に際し祝電
・2014年12月2日: ラオスのサイニャーソン主席にラオス建国39周年に際し祝電
・2014年11月15日: シリアのアサド大統領にシリアの是正運動44周年に際し祝電
・2014年9月8日: シリアのアサド大統領の49才の誕生日に際して祝電
・2014年6月12日: ロシアのプーチン大統領にロシア建国記念日に際し祝電
「私は、親善と協力の長い歴史がある朝露関係が、両国人民の利益に合致するよう拡大、発展していることについて喜ばしく思い、この伝統的な関係が双方で合意された共同文献の精神に合致するよう今後さらに強化されるという確信を表明します」と。2015年にある「最高位級」という文言がない。ロシアの戦勝記念日に崔龍海「特使」が訪露し、金正恩とプーチン間で「最高位級の文献」が交換されたということであろう。
・2014年6月5日: シリアのアサド大統領が再選されたことに祝電
・2014年6月3日: キューバのラウル・カストロ首相に誕生日の祝電
・2014年3月7日: シリアのアサド大統領にシリアの「3月8日革命」51周年に際し祝電
・2014年3月6日: ラオスのサイニャーソン主席の78才の誕生日に際し祝電
・2013年12月1日: ラオスのサイニャーソン主席にラオス建国38周年に際し祝電
・2013年11月13日: シリアのアサド大統領に「是正運動」43周年に際し祝電
「朝鮮中央通信」HPの過去データ検索で表示されるのはここまでである。シリア、キューバ、ラオスには多くの祝電を送っているが、年賀状を除いて、今回、9月30日に「祝電」が出されるまで中国に対する祝電がなかったのには改めて驚いた。中国の「戦勝記念日」に崔龍海が金正恩の祝電を携えて行ったのかは不明であるが、過去記事で紹介したように、天安門の入り口で握手をして記念撮影をしただけで、祝電などの伝達はなかったのかも知れない。
2014年の65年という節目の年の中国建国記念日に祝電を送らず、敢えて66周年という半端な年に祝電を出しているということは、10月10日に中国からの「大物」の出席を希望しているからかもしれない。また、他の「祝電」は、各国の指導者宛に金正恩が出している形になっているが、今回の祝電は朴奉珠との連名にし、習近平(主席=党と国家指導者)、李克強(総理=政府の代表)、張徳江(全人代委員長=国会議長)に送る形を取っている。こうした形で「祝電」を送っているのは、金正恩と中国指導者の人的関係が樹立していない中、何とか党あるいは政府レベルで10月10日に「大物」を派遣して欲しいというメッセージなのか、時期的には既に決定しているかもしれないので、嫌味を込めた答礼なのかもしれない。
2013年6月の「祖国解放戦争60周年記念行事」には、副主席の李源潮が参席したが、今回は誰が来るのであろうか。