「<記憶に残る映画>新政権の誕生」:宗派との戦い、金日成役は?、「動揺階層」 (2015年4月12日 「朝鮮中央TV」)
4月12日に「朝鮮中央TV」で放送された「新政権の誕生 第1部・第2部」という「朝鮮芸術映画」を見た。韓国統一部の資料では、この映画は2006年3月に初めて放送され、その後、2009年まで毎年、2013年から再び毎年放送されている。ここ数年、毎年放送されていたので、どこかで見ていたのかもしれないが、今回のように腰を据えて見たことはなかった。
「新政権の誕生 第2部」

Source: KCTV, 2015/04/12放送
この映画は、抗日革命闘争期を時代背景とした映画で、オクスピョンに設立された共産政権(ソビエト政権)の女性区党秘書と金日成が派遣した抗日遊撃隊の小隊長の間での朝鮮革命のあり方巡る葛藤を主題としている。抗日革命闘争期を時代背景とした北朝鮮映画では、絶対的な無産革命を主張する勢力と民族主義的朝鮮革命を主張する金日成の対立がしばしば描かれる。この映画でも無産革命を主張する勢力は「宗派」という扱いで、女性区党秘書が小隊長の生き様を見ながら金日成の民族主義的朝鮮革命のあり方に目覚めるというストーリーになっている。
遊撃隊小隊長と区党秘書

Source: KCTV, 2015/04/12放送
この映画は、「太陽節」など、「名節」前後に放映されることが多いが、金日成が登場するからであろう。もちろん、本人ではなく役者である。
左から、金日成、区党秘書、国際(共産)党員

Source: KCTV, 2015/04/12放送
金日成

Source: KCTV, 2015/04/12放送
この映画を見ていて気になったことは、映画終わりのクレジットに金日成がどのように表記されるのかということであった。「金日成同志 XXX」とでも出てくるのかと思ったが、金日成役の役者の紹介はなかった。
「配役 チュヒョク(小隊長の名前)・・・功勲俳優 金グァンムン、ロンメ(女性区党秘書の名前)・・・功勲俳優 オ・ミラン」などと出ているが、最後まで「金日成」は出てこない。どうやら、恐れ多くて「首領様」の配役など紹介できないということなのだろう。「首領様」が登場する「朝鮮芸術映画」は他にもたくさんあるが、顔を見る限りはいつも同じ役者が「首領様」を演じているようだ。その他の映画のクレジットは未確認であるが、同じ扱いであるならば、永遠の影武者の「功勲俳優」とでもいったところであろうか

Source: KCTV, 2015/04/12放送
もう一つこの映画を見ていて面白かったのは、ソビエト式共産主義者が富農をブルジョアとして徹底攻撃しているのに対して、金日成主義者が「地主や日帝の手先の富農でなければ、動揺階層だ」と言っている点である。今まで「動揺」という意味を社会主義北朝鮮の中で資本主義に「動揺」するものとばかり捉えていたが、少なくとも初期の「動揺」は、封建主義社会の富農も民族主義的「新政権」の下では社会主義に「動揺」するという意味で使われていたようだ。
「新政権の誕生 第2部」

Source: KCTV, 2015/04/12放送
この映画は、抗日革命闘争期を時代背景とした映画で、オクスピョンに設立された共産政権(ソビエト政権)の女性区党秘書と金日成が派遣した抗日遊撃隊の小隊長の間での朝鮮革命のあり方巡る葛藤を主題としている。抗日革命闘争期を時代背景とした北朝鮮映画では、絶対的な無産革命を主張する勢力と民族主義的朝鮮革命を主張する金日成の対立がしばしば描かれる。この映画でも無産革命を主張する勢力は「宗派」という扱いで、女性区党秘書が小隊長の生き様を見ながら金日成の民族主義的朝鮮革命のあり方に目覚めるというストーリーになっている。
遊撃隊小隊長と区党秘書

Source: KCTV, 2015/04/12放送
この映画は、「太陽節」など、「名節」前後に放映されることが多いが、金日成が登場するからであろう。もちろん、本人ではなく役者である。
左から、金日成、区党秘書、国際(共産)党員

Source: KCTV, 2015/04/12放送
金日成

Source: KCTV, 2015/04/12放送
この映画を見ていて気になったことは、映画終わりのクレジットに金日成がどのように表記されるのかということであった。「金日成同志 XXX」とでも出てくるのかと思ったが、金日成役の役者の紹介はなかった。
「配役 チュヒョク(小隊長の名前)・・・功勲俳優 金グァンムン、ロンメ(女性区党秘書の名前)・・・功勲俳優 オ・ミラン」などと出ているが、最後まで「金日成」は出てこない。どうやら、恐れ多くて「首領様」の配役など紹介できないということなのだろう。「首領様」が登場する「朝鮮芸術映画」は他にもたくさんあるが、顔を見る限りはいつも同じ役者が「首領様」を演じているようだ。その他の映画のクレジットは未確認であるが、同じ扱いであるならば、永遠の影武者の「功勲俳優」とでもいったところであろうか

Source: KCTV, 2015/04/12放送
もう一つこの映画を見ていて面白かったのは、ソビエト式共産主義者が富農をブルジョアとして徹底攻撃しているのに対して、金日成主義者が「地主や日帝の手先の富農でなければ、動揺階層だ」と言っている点である。今まで「動揺」という意味を社会主義北朝鮮の中で資本主義に「動揺」するものとばかり捉えていたが、少なくとも初期の「動揺」は、封建主義社会の富農も民族主義的「新政権」の下では社会主義に「動揺」するという意味で使われていたようだ。